近年、米国債の格下げや長期金利の上昇が話題となり、これに伴い株価も下落する現象が見られます。従来、債券と株式は逆相関の関係にあるとされてきましたが、なぜ同時に下落するのでしょうか。本記事では、マクロ経済の視点からその背景を解説します。
債券と株式の伝統的な関係
一般的に、債券と株式は逆相関の関係にあります。つまり、株価が下がると債券価格は上がり、逆もまた然りです。これは、投資家がリスク回避のために資金を株式から債券へ移す傾向があるためです。
しかし、この関係は経済状況や市場の期待によって変動します。特にインフレや金利の動向が影響を与える要因となります。
米国債格下げの影響
2025年5月、ムーディーズは米国の信用格付けを「Aaa」から「Aa1」へと引き下げました。これにより、30年物米国債の利回りは5%を超え、投資家の間で不安が広がりました。格下げは、米国の財政赤字や債務の増加に対する懸念を反映しています。
格下げにより、米国債の信用リスクが高まったと見なされ、投資家はより高い利回りを要求するようになります。これが債券価格の下落と利回りの上昇を招きます。
株式市場への波及効果
債券利回りの上昇は、企業の借入コストの増加や消費者の支出減少を引き起こし、企業の収益性に悪影響を及ぼします。その結果、株価が下落する可能性があります。
さらに、米国債の格下げは、投資家のリスク回避姿勢を強め、株式市場からの資金流出を招くことがあります。これにより、株価の下落が加速する可能性があります。
インフレと金利の影響
インフレ率の上昇は、中央銀行による金利引き上げを促し、債券利回りの上昇を引き起こします。これにより、債券価格は下落します。
同時に、金利の上昇は企業の借入コストを増加させ、消費者の支出を抑制するため、企業の収益性が低下し、株価の下落要因となります。
まとめ
債券と株式が同時に下落する現象は、米国債の格下げやインフレ、金利の上昇など、複数のマクロ経済要因が重なった結果です。従来の逆相関の関係が崩れることもあり得るため、投資家は市場の動向を注視し、多角的な視点からリスク管理を行うことが重要です。

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