コートジボワールのカカオ豆生産と輸出のギャップに迫る|なぜ生産量が多いのに輸入されにくいのか

経済、景気

カカオ豆の生産国として知られるコートジボワールは、世界最大のカカオ豆生産国です。その生産量は年間で200万トンを超えることもあり、世界全体の生産量の約4割を占めています。しかし、日本などの先進国への直接的な輸入量はそれほど多くありません。この背景には、複雑な国際貿易の構造や流通経路、品質・規格の問題などが関係しています。

コートジボワールはなぜカカオ豆の生産が多いのか

西アフリカに位置するコートジボワールは、赤道近くの高温多湿な気候がカカオの栽培に非常に適しており、カカオ豆の主要産地として発展してきました。農村部の多くの小規模農家がこの作物に依存しており、国家経済にとっても重要な輸出品となっています。

たとえば、農家の平均的な栽培面積は2~3ヘクタール程度ですが、国家全体で見ると生産量は圧倒的です。これにより、世界市場に大きな影響力を持つ国として知られています。

生産量が多いのに輸入量が少ない理由とは

主な理由のひとつは、「コートジボワールのカカオ豆は、直接消費国へ輸出されるのではなく、加工業者の多い第三国(オランダ、ベルギーなど)へまず輸出されている」という点にあります。

つまり、原料としてのカカオ豆は主にヨーロッパの加工拠点へ送られ、そこでカカオバターやカカオマスなどに加工された後に、日本やアメリカなどに再輸出されるケースが多いのです。

中間業者と貿易ルートの構造

カカオ豆の国際取引では、大手の多国籍商社(たとえばカーギルやバリーカレボーなど)が買い付けを行い、グローバルな流通網に乗せます。これらの企業が加工施設を保有している欧州にカカオ豆を運び、付加価値を付けて製品化されます。

このため、原料産地のコートジボワールから直接日本にカカオ豆を輸出するというルートは、コスト面や取引慣行の点で現実的に少なくなっています。

品質や認証の問題も影響

日本の輸入業者は、品質や残留農薬の基準、フェアトレードやサステナブル認証などに厳しい基準を設けていることが多いため、コートジボワールのような発展途上国の農家がその要件を満たすには大きなハードルがあります。

たとえば、有機JAS認証やレインフォレストアライアンス認証など、日本で好まれる規格に対応するためには、農法の改善やトレーサビリティの確保が必要です。これらの対応が整わない限り、輸入ルートは限られてしまいます。

加工国での統一規格と再輸出の流れ

オランダやベルギーなどの加工拠点では、世界中のカカオ豆が一括で加工され、標準化された製品としてチョコレートメーカーへ提供されます。この中でコートジボワール産の豆も混合されることが多く、出荷段階では「原産地:オランダ」といった表記になる場合もあります。

その結果、日本の輸入統計ではコートジボワールからの直接輸入が少なく見えるものの、実際には加工品の形で広く流通しているのです。

まとめ:生産国=輸出先ではない現代のグローバル取引

カカオ豆のような農産物は、必ずしも「生産国=輸出先」という単純な構造では成り立ちません。流通、加工、品質管理、価格調整など多くの要因が関与し、最終的な製品が届くまでには多くのステップを経るのが実情です。

コートジボワールのカカオ豆は、そのほとんどが加工国を経由して世界中に流通しているため、輸入統計上は少なく見えることがある点に留意しましょう。

経済、景気
最後までご覧頂きありがとうございました!もしよろしければシェアして頂けると幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました!もしよろしければシェアして頂けると幸いです。
riekiをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました