株式投資で損失が出た年があっても、翌年以降の利益と相殺できる「損失繰越控除」という制度があります。しかし、これには確定申告が必須で、条件を満たさないと控除の適用を受けることができません。本記事では、特定口座で株取引をしている方向けに、損失繰越の仕組みと注意点を解説します。
損失繰越控除とは何か?
損失繰越控除とは、株式などの譲渡損失を最大3年間繰り越して、翌年以降の利益から控除できる制度です。これにより、将来の譲渡益にかかる税金を軽減できます。
たとえば、2022年に30万円の損失、2023年に10万円の損失、2024年に50万円の利益が出た場合、損失を繰り越していれば、2024年の課税対象は10万円(50万円−30万円−10万円)になります。
確定申告をしていないと損失繰越はできない
この制度を利用するには、損失が出た年の翌年に確定申告を行うことが必須条件です。確定申告をしていない場合、繰り越しは無効となり、過去の損失を後年に使うことはできません。
つまり、2022年・2023年に損失があっても、2023年・2024年にそれぞれ確定申告をしていなければ、2024年や2025年の利益と相殺することはできません。
遡って損失繰越申告はできるのか?
税法上、確定申告の期限は原則として翌年の3月15日までですが、5年間の更正の請求が可能な場合があります。ただしこれは還付申告が前提であり、未申告の損失を遡って繰り越すことは認められていません。
つまり、過去に確定申告を一度もしていない場合、その損失を現在から申告して遡って繰り越すことはできません。
申告していた場合の損失繰越の適用例
次のような申告を継続していれば、損失繰越の適用が可能です。
- 2022年に30万円の損失→2023年に確定申告
- 2023年に10万円の損失→2024年に確定申告
- 2024年に50万円の利益→差額10万円が課税対象
その後、2025年の利益に対しても、まだ使い切れていない損失があれば控除の対象となります。
還付を受けたい場合の注意点
「2022年と2023年の損失があるから、その分を還付してもらえるのでは?」と思う方もいますが、損失繰越は将来の利益から引ける制度であり、損失単体では還付の対象にはなりません。
つまり、2024年や2025年に利益があったとしても、過去に確定申告をしていないと、損失を差し引けず、そのまま利益に対して課税されることになります。
今からできる対処法と今後の備え
- 2024年の利益が出ているなら、2025年の申告時にしっかり申告して節税対策を。
- 損失が出た年は必ず確定申告を行うというルールを守ることが重要です。
- 今後の税負担を軽減するためにも、年間取引報告書の管理や、損益の把握を習慣化しましょう。
まとめ:損失繰越には計画的な確定申告が不可欠
損失繰越は、株取引で損失を出した年にきちんと確定申告をしていれば、翌年以降の利益と相殺できる非常に有用な制度です。しかし、未申告の損失は繰り越せず、遡って申告して適用することも原則できません。
これからは利益が出た年だけでなく、損失が出た年も税金対策の一環として、忘れずに確定申告を行うよう心がけましょう。

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