「財源は無制限に使える」の誤解──なぜ 財務省 は 財政均衡を追うのか?

経済、景気

「財源はいくらでも作れるのに、財政均衡を言う財務省が悪いのでは?」という問いを見かけます。確かに一見「国が紙幣を刷れば財源は無制限」という理解はわかりやすいですが、実際には制度・経済・市場の制約があり、財務省が“均衡”や“健全化”を追うには理由があります。本記事ではその仕組みと誤解を丁寧に解説します。

財政法・財政収支・プライマリーバランスとは何か

まず日本の制度の枠組みから整理します。日本では 財務省 が、予算編成・国債管理・税制を通じて「財政の持続可能性」を維持する役割を担っています。 [参照]

代表的な指標として、「基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)」があります。これは税収等で「政策的経費(社会保障・公共サービス等)」をどれだけ賄えているかを示し、利払い費用を除いた収支です。 [参照]

また、財政のフロー(毎年の収支)だけではなく、ストック(累積債務残高)への影響も重視されており、〈債務残高対GDP比〉なども政策上の焦点です。 [参照]

「財源は無制限」という見方の背景と現実のギャップ

「国がお金を刷れば財源は無制限になる」「だから財務省は無理に均衡を言うな」という議論は、一部の学校級の理解として広まっています。しかし、実際には複数の制約があります。

例えば、無制限に紙幣を発行するとインフレや金利上昇、国債の信認低下などを引き起こす可能性があります。実際、財務省が「国債の円滑な消化」や「金利上昇の抑制」を重要課題としています。 [参照]

なぜ財務省は「均衡財政」「財政健全化」を追うのか

たとえば、財務省の資料では「収支均衡状態では今年の借金は過去の借金の元本返済にとどまり、債務残高が不変となる」と説明されています。 [参照]

つまり、税収・歳入で政策経費+利払い費を賄えていないと、毎年新たな借金が積み上がり、将来的なリスクが拡大するという構図です。だからこそ均衡・健全化の視点が重要とされているのです。

「すべて財務省が悪い」という見方のリスクと別視点

もちろん、「財務省がすべて悪い」という単純な議論にも問題があります。政府支出の優先順位、社会保障・教育・インフラの充実という政策目的もあります。

また、最近では「均衡財政」そのものが目的化してしまい、成長投資や景気対応が後回しになるという批判も出ています。 [参照]

実例:債務拡大と市場の反応

実際に、ある調査では金利上昇局面で「国債の買い手が減少」「国債利回りが上昇」「利払費が雪だるま式に増加」という構図が指摘されています。 [参照]

このような状況では、単に「財源はある」として発行を無制限に続けると、やがて資金調達コストや国際信認に影響が出る可能性があるため、制度面・市場面から慎重な運営が必要とされます。

まとめ

まとめると、「財源は無制限に使えるから財務省が均衡を言うのがおかしい」という見方は、制度・経済・市場の観点からみると一面的です。財務省は、税収・支出・債務のバランスを通じて“持続可能な財政運営”を目指しており、その役割には一定の合理性があります。

ただし、その均衡追求が過度に硬直化して、成長投資や景気支援を妨げるという別のリスクもあります。議論としては「財源/支出/借金」の三者をバランスよく考える視点が求められます。

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