決算書を読む際、特に発行済株式数に関連する情報は重要です。しかし、発行済株式数や自己株式数、期中平均株式数がどのように変動するかは、投資家にとって疑問が残る点です。特に、自己株買いを行っている企業でも、株式数の増減があるため、その背景を理解することが大切です。
1. 発行済株式数(普通株式)とは?
まず、発行済株式数とは、企業が現在発行している全ての株式の数を指します。これには、自己株式も含まれます。自己株式とは、企業が過去に買い戻した自社の株式であり、通常、議決権や配当権を持たないため、企業の株主構成に影響を与えません。
例えば、企業が1,000万株を発行し、そのうち100万株を買い戻した場合、発行済株式数は1,000万株ですが、自己株式数は100万株になります。
2. 期末発行済株式数と自己株式数
決算書の2ページ目に記載されている「期末発行済株式数」は、決算期の最後における発行済株式の総数です。これには、企業が自社株買いを行った場合、発行済株式数が減少することもありますが、自己株式数も増加します。
一方、「期末自己株式数」は、決算期末時点で企業が保有している自社株式の数です。自己株式数が増加する場合、企業が株式を買い戻したことを意味しますが、これは企業の資金を使う行為であり、株主還元の一環と考えられます。
3. 期中平均株式数とその変動要因
「期中平均株式数」は、決算期中に発行されていた株式数の平均を示します。この数字は、株式の発行や買い戻しがあった場合に、加重平均で計算されます。期中平均株式数が増加する理由としては、新株発行や株式分割、ストックオプションの行使などが考えられます。
また、企業が株式を発行する場合、株主に対する希薄化(持株比率の低下)が発生しますが、この影響を受けるのが期中平均株式数です。自社株買いをしていても、株式の発行が行われると、期中平均株式数は増加する可能性があります。
4. 自社株買いをしているのに期中平均株式数が増える理由とは?
自社株買いを行うことで発行済株式数は減少するはずですが、期中平均株式数が増加している場合があります。これは、新たに株式を発行したり、ストックオプションの行使などで発行済株式数が増加した結果です。
例えば、企業がストックオプションを行使して従業員に株式を付与する場合、その分発行済株式数が増え、結果的に期中平均株式数が増加することになります。この場合、自己株買いによる発行済株式数の減少と、株式発行による期中平均株式数の増加が同時に発生します。
5. EPS(1株当たり利益)と株式数の関係
EPS(1株当たり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値です。自社株買いによって発行済株式数が減少すれば、EPSは増加する傾向にあります。しかし、期中平均株式数が増加している場合、EPSが減少することがあります。
例えば、企業が自社株買いを実施しても、新たに株式を発行したり、従業員にストックオプションを行使させることで、期中平均株式数が増加し、その結果、EPSが減少することがあるのです。このような場合、EPSの減少は株式数の増加によるものです。
6. まとめ:発行済株式数の変動を正しく理解する
発行済株式数、自己株式数、期中平均株式数の変動は、企業の株式政策や資本政策に深く関わっています。特に、自己株買いが行われる場合でも、期中平均株式数が増加することがあるため、全ての数値を総合的に理解することが重要です。
投資家としては、これらの数値の変動が企業の業績やEPSにどのような影響を与えるかを考慮しながら、投資判断を行うことが求められます。
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