株式市場には「夏枯れ相場」という言葉があります。これは7月から9月にかけて市場参加者が減少し、株価が軟調になりやすいというアノマリー(季節的傾向)を指すものです。しかし、果たしてこの通説は現在も通用するのでしょうか?この記事では、夏枯れ相場の理論背景から、近年の反例、投資家が取るべき対策まで詳しく解説します。
夏枯れ相場とは何か?その背景と由来
「夏枯れ相場」は主に7月から9月にかけての期間、株式市場の出来高が減少し、価格変動が小さくなる現象を指します。これは、欧米の機関投資家や日本の個人投資家が夏季休暇に入り、取引を控えることが一因とされています。
また、企業の決算発表や重要な経済指標の発表が少ない時期であることから、市場全体が静まりやすく、材料難による「様子見ムード」が強まることで株価が下落しやすいという傾向があります。
実際に下がった年とその理由
近年でも、たとえば2022年の夏は、アメリカの利上げ警戒感や中国の経済減速懸念から世界的に株価が軟調でした。日経平均株価も6月末から8月初旬にかけて調整局面を迎えています。
また、2020年はコロナ禍の影響が大きく、6月以降の不透明感から売り圧力が強まる場面も見られました。こうした年は「夏枯れ相場」が現実味を持って語られることになります。
逆に上昇した年はある?夏相場の反例
夏に株価が上がった年ももちろんあります。たとえば2013年のアベノミクス相場では、7月から9月にかけて日経平均が10%以上上昇しました。海外からの資金流入と日銀の金融緩和が背景でした。
また、2021年はオリンピック開催に伴う経済回復期待や、半導体・グロース株への資金流入が続いたことで、夏場に一部セクターは力強く上昇しました。
近年の統計データで見る7月〜9月の傾向
日経平均株価の過去10年間(2013年〜2022年)の月別平均騰落率を見ると、7月は比較的堅調なことが多く、9月が最もパフォーマンスが悪い傾向があります。実際に9月は月間下落率がプラスに転じた年は少なく、利益確定売りが出やすい月とされています。
ただし、年によってその傾向はばらつきがあり、「夏=必ず下がる」とは一概に言い切れないのが実情です。
投資家が夏枯れ相場に備えるためにできること
- 資金管理の徹底:市場のボラティリティが高まる可能性もあるため、ポジションを絞って運用する。
- ディフェンシブ銘柄の活用:医薬品やインフラ系など景気に左右されにくい業種を組み込む。
- 短期売買に傾かない:夏枯れ相場では材料不足から突発的な値動きに惑わされがち。長期視点を意識。
また、夏の間に投資本を読んだり、ポートフォリオを見直すなど、いったん“攻め”よりも“整える”期間として活用するのも良い戦略です。
まとめ:夏枯れ相場は傾向であり、絶対ではない
7月〜9月に株価が軟調になる「夏枯れ相場」は過去のデータからある程度傾向として見られますが、必ずしも毎年当てはまるわけではありません。逆に上昇する年もあります。重要なのは「季節性」だけに囚われず、その年の経済情勢・金利動向・企業業績など複合的に判断すること。情報を鵜呑みにせず、自分なりの分析とリスク管理を大切にした投資を心がけましょう。

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