積立NISAを切り崩すとどうなる?利回りと取り崩し戦略をわかりやすく解説

資産運用、投資信託、NISA

積立NISA(新NISAを含む)は長期的な資産形成を支援する制度ですが、「切り崩して使った場合どうなるのか?」「利回りが高ければ取り崩しても減らないのでは?」といった疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、取り崩し時の挙動や資産が減る/減らないケースの違い、取り崩しのタイミングと利回りの関係についてわかりやすく解説します。

積立NISAの仕組みを簡単におさらい

積立NISAは、年間一定額までの投資信託などの投資利益(値上がり益・分配金など)が非課税になる制度です。2024年からは「新NISA」として制度が拡充され、つみたて投資枠と成長投資枠が併設され、年間最大360万円まで非課税で投資可能になっています。

ただし、非課税でいられるのは売却や取り崩しをしても含めて最大20年間(新NISAでは無期限)であり、その間に売却した利益も課税対象外です。

積立NISAを切り崩すとどうなるのか?

「切り崩す」とは、投資した資産を売却して現金化し、それを生活費などに充てることを意味します。切り崩しても積立NISA枠内での運用益であれば非課税ですが、運用資産の元本が減少するため将来の複利効果には影響が出ます。

例えば、1,000万円を運用していて年利10%なら理論上は年間100万円の利益です。この状態で毎月12万円を取り崩した場合、年間144万円の取り崩しになります。すると利益以上の金額を取り崩すため、元本が徐々に減っていきます。

運用利回りによって減らない場合もある?

理論的には、年利15%などの高利回りが安定的に続けば、元本を減らさずに取り崩すことも可能です。しかし現実には毎年同じ利回りを得るのは難しく、リーマンショックやコロナショックのような下落局面では大きく資産が目減りするリスクもあります。

例えば1年目に+15%、2年目に-10%、3年目に+20%と変動すれば、実質の平均利回りは単純な15%にはなりません。取り崩し中にマイナス年が続くと「取り崩しのタイミングリスク」が顕在化しやすく、想定より早く資産が尽きる可能性もあります。

積立NISAの取り崩し戦略で重要なポイント

  • 利回り>取り崩し額を維持できれば資産は減りにくいが、現実的には不確実
  • 下落相場中の取り崩しは長期運用の大敵となる
  • 資産寿命を延ばすには、部分的に預貯金や債券との併用も検討する
  • 「定率売却」と「定額売却」のどちらを選ぶかも重要

例えば、毎年資産の4%だけを取り崩す「4%ルール」などが有名ですが、日本のインフレ・円安リスクも踏まえて見直しが必要です。

取り崩しに適した投資信託とは?

積立NISAで扱える投資信託は、基本的に手数料が低く、長期運用に適したインデックス型が中心です。切り崩しを前提にする場合、以下のような点にも注目しましょう。

  • ボラティリティ(値動きの激しさ)が小さい商品
  • 分配金を再投資する「再投資型」より「受取型」を部分活用する
  • 為替ヘッジあり/なしの違いを理解して選ぶ

なお、リバランス機能があるファンド(バランス型投資信託)を選ぶことで自動的に資産配分が調整され、取り崩し時の下落リスクをある程度抑えることができます。

まとめ:積立NISAの切り崩しは戦略的に活用を

積立NISAを取り崩して生活費などに充てることは制度上問題ありませんが、将来の資産残高に大きな影響を与えるため、利回りとのバランスを見ながら慎重に判断する必要があります。取り崩しを前提とした設計をするなら、安定的な資産運用と複数年を見越した計画がカギです。

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