新NISA制度の登場により、長期の資産形成を前提とした投資が注目を集めています。しかし「取り崩し期」に差し掛かった際、高リスク資産から安全資産へ移行する、いわゆる「スイッチング」が可能なのか、疑問を持つ方も多いようです。確定拠出年金(DC)に見られるこの手法は、NISAで再現できるのでしょうか?本記事ではNISAの運用後期における資産移行の戦略と実務的な代替策について解説します。
NISAには「スイッチング」機能は存在しない
結論から言えば、NISA制度そのものには確定拠出年金のようなスイッチング(非課税内での資産入れ替え)機能はありません。そのため、オルカンなどのハイリスク資産を一旦売却して、安全資産へ非課税で移行する方法は直接的には存在しません。
売却した時点でその年の非課税枠は再利用できず、新たな買付は課税口座または翌年のNISA枠での購入になります。ここがDCとの大きな違いです。
スイッチングに近い実務的な代替策
代替策としては、リスク資産を徐々に売却して、課税口座などで債券ファンドやMMFなどに切り替える方法が考えられます。非課税のメリットは継続しませんが、資産全体の安定化は実現できます。
また、毎年の非課税枠を活用し、取り崩しに備えた安全資産(たとえば日本国債ETFや社債ETF)を徐々にNISA内で買い付けていくのも1つの方法です。
「取り崩し期」に備えたポートフォリオの調整
投資の目的が「取り崩し」にある場合、ポートフォリオのリスク低減は必須です。具体的には、以下のような手段が挙げられます。
- リスク資産の比率を毎年少しずつ減らす
- 現金比率を高めて、2〜3年分の生活費を現金または債券に移す
- 安全資産もNISA枠で組み込み、リバランスを検討する
たとえば「毎年20%ずつオルカンを売却し、安全資産にリレーする」といった定期的な戦略が現実的です。
現実的な取り崩し方法の実例
実際に取り崩し期を迎えた投資家の中には、「分割売却による段階的リスク回避」を採用している方が多くいます。
ある50代の投資家は、60歳までにポートフォリオの株式比率を80%から40%へ縮小し、残りをインデックス債券ファンド(AGGやBNDなど)に移行。60歳以降は年率3%で毎月取り崩しを継続しています。
非課税メリットよりもトータルリスクの管理が重要
取り崩し期においては「NISAの非課税メリットを最大化する」よりも、資産の安定性と現金確保のしやすさを重視することが賢明です。売却益に課税されたとしても、安定した運用で生活を支える方が安心です。
まとめ:NISAでのスイッチングは不可、しかし戦略的移行は可能
NISAにはスイッチング機能がないため、DCと同様の資産移行はできません。しかし、取り崩し期に備えた段階的な売却と債券・現金比率の調整を通じて、現実的なリスク管理が可能です。
非課税枠の使い方にこだわり過ぎず、ライフステージに合った資産戦略を構築することが、安心して資産を活かすための鍵となります。

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