日産自動車の2024年度連結決算を見て、「営業利益+経常利益+特別利益-特別損失」では当期純損失の金額に合わない……そんな疑問を抱いた人は多いはずです。本記事では、数字が合わない原因をわかりやすく解説し、決算書の読み方も丁寧に説明します。
まずは決算の全体像を確認
2024年度の日産の主な連結業績は以下の通りです。
- 営業利益:698億円
- 経常利益:2,102億円(営業利益+営業外収益)
- 特別損失:6,238億円(減損・リストラ費用など)
- 当期純損失(親会社株主帰属):6,709億円:contentReference[oaicite:0]{index=0}
単純計算では「697.98+2,101.68+22.785−6,238=−3,820億円」となり、約3,820億円赤字です。しかし実際の当期純損失は−6,709億円となっています。
なぜ差が62百億円もあるのか?
この差額の主な原因は以下の項目です。
- 法人税等調整前当期純損失:4,136億円:contentReference[oaicite:1]{index=1}
- 法人税、住民税、事業税などの税負担や税効果会計の調整などが数百億円規模で減算されている
- 非支配株主持分:子会社などへの帰属分として、連結対象外株主に配慮した調整が加わる
このため、特別損失を差し引いた後でもさらに大きなマイナスが積み上がり、最終的に6,709億円の赤字になります。
決算書の構造を知るとすっきり理解できる
損益計算書の流れを整理すると。
- 営業利益→+営業外収益=経常利益
- +特別利益 – 特別損失=税引前損益(税金等調整前当期純利益:−4,136億円)
- −法人税等=税引後当期純利益
- さらに、非支配株主分を差し引いて親会社株主帰属額が決まる
実際に、PDF形式の決算資料や短信では、この流れに沿って各項目が順に記載されており、「当期純損失=税・非支配株主持分調整後」の数値になります:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
チェックポイント:決算閲覧時に注目すべき項目
- 営業外収益・費用:ここが経常利益とのズレの起点
- 税金等調整前当期純損益:ここで一旦損益全体の流れを確認
- 法人税等:税務調整が大きなマイナス要因になる
- 非支配株主持分:親会社帰属額との差分原因
これらを順番に追っていくと、「数字が合わない」という悩みは自然に解消されます。
まとめ:当期純損失の正しい理解には“税調整後・非支配株主持分調整後”を見ることが肝心
・単純な計算では当期純損失にならないのは、税金や非支配株主持分が反映されていないため
・決算書では「税引前→税引後→親会社帰属」の流れを順に確認することが重要
・特別損失だけでなく、税調整・非支配株主持分の扱いが最終数字の鍵
連結決算書の読み方に慣れれば、数字が合わないように見えるケースもスムーズに理解できるようになります。ぜひ流れを順に追ってみてください。

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