「金利が高い国にお金を預け、借入金を元手に運用益だけを得る」というスキームに魅力を感じる方は少なくありません。特にブラジルのように金利が8%以上ある国では、一見すると非常に効率的な投資方法に見えます。しかし、実際にそれが現実的で安全な方法かといえば、必ずしもそうではありません。本記事では、そうした高金利国の預金活用と借入戦略の落とし穴について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
一見魅力的な「借入×高金利預金」の仕組み
例えば日本で年利2%のローンを10億円借り、それを年利8.5%のブラジルの銀行に預ければ、金利差6.5%で年間6,500万円以上の利ザヤが得られるという考え方です。このスキームは理論的には成立しそうに見えます。
しかしこのようなスキームは、「為替リスク」や「資本規制」「カントリーリスク」など、数多くの隠れた問題を抱えています。
最大の敵は「為替リスク」
日本円からブラジルレアルへ換金し、運用後にレアルを円に戻す時点で為替が大きく変動していた場合、想定していた利回りが吹き飛ぶどころか損失を出す可能性もあります。
例えば、10億円を預けたときに1レアル=20円だった為替レートが、1年後には1レアル=15円に下落していたら、為替差損だけで25%もの損失が発生します。これでは8.5%の金利では到底カバーできません。
ブラジル特有の「カントリーリスク」も無視できない
高金利にはそれ相応のリスクがあります。ブラジルはインフレや政治不安、急な政策変更が頻繁に起きる国です。政府が突然、海外送金に規制をかけることや、銀行システムが一時的に凍結されるリスクもゼロではありません。
こうしたカントリーリスクは、どんなに利回りが高くても投資全体を台無しにしてしまう要因です。
実際の事例:アルゼンチンやトルコの例に学ぶ
高金利国として有名だったトルコでは、国内通貨リラの急落により、外貨建て投資家が大きな損失を出しました。また、アルゼンチンでは資本流出を防ぐために外貨の持ち出しに厳しい制限が設けられ、事実上、海外からの資金の回収が困難になりました。
これらは、たとえ金利が高くても安全に利益を持ち帰る保証がないということを示す重要な事例です。
借入金での投資は「レバレッジ投資」と同じ
銀行などから借金をして行う投資は、自己資本を使うよりも大きなリターンを狙える一方で、リスクも何倍にも膨らむ「レバレッジ投資」と同義です。
もし為替や政策、経済状況により思った利益が出なかった場合、元本はそのまま返済義務があり、利子や手数料なども含めて自分で穴埋めしなければなりません。つまり、「儲からなかったら自己破産の可能性もある」ほど危険なのです。
安全に資産を増やすために知っておきたいこと
投資は基本的に「ハイリスク・ハイリターン」が原則です。高金利にはそれだけの理由があります。確実に資産を増やしたいのであれば、長期積立のインデックス投資や分散投資など、より現実的でリスクを抑えた方法を検討すべきです。
また、海外預金に関しては、預入先の銀行の信頼性、現地法規制、税務上の問題なども事前に十分調査し、金融庁や公的機関に相談するのも大切です。
まとめ:高金利投資は「儲かる」前に「守れるか」を考える
ブラジルのような高金利国での預金投資は、一見すると非常に魅力的に映ります。しかし、その背後には大きな為替リスクや国の経済・政治的なリスクが潜んでいます。さらに借金をして投資するという行為は、リターンが出なかった場合に大きな損失を招く可能性があるのです。
手っ取り早く儲かりそうな話ほど、裏にリスクが潜んでいます。安易な判断を避け、堅実な資産形成を目指しましょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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