経済学に興味を持つ方なら「中古品の売買はGDPに含まれない」という説明を一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、実際にモノやお金が動いているのに、なぜGDPにカウントされないのか疑問に思う人も多いでしょう。この記事では、中古品の取引がGDPに含まれない理由と、支出法によるGDP計算の仕組みについて詳しく解説します。
GDPとは何を測っているのか?
GDP(国内総生産)とは、ある国の中で一定期間内に新たに生み出された付加価値の合計を指します。つまり、すでに存在していた価値の再売買ではなく、「新しく生み出された経済活動」のみが対象になります。
たとえば、新車の販売や新築住宅の建設はGDPに含まれますが、中古車や中古住宅の転売はGDPに含まれません。
中古品がGDPに含まれない理由
中古品の売買は、すでに過去の時点でGDPにカウントされた財の再取引にすぎません。そのため、同じ価値を繰り返し計上すると二重計上となってしまい、GDPの正確性が損なわれます。
ただし、中古品を販売する際に発生する販売手数料や仲介サービスは新たな付加価値と見なされ、GDPに含まれます。
支出法でのGDP計算と中古品除外の仕組み
支出法によるGDPの算出は、以下の4つの合計で表されます。
- 民間最終消費支出(C)
- 民間投資(I)
- 政府支出(G)
- 純輸出(X−M)
この中の「消費(C)」や「投資(I)」には、新品や新規サービスに対する支出のみが計上されており、中古品の取引はデータ収集の段階で除外されています。
例えば、家計調査や企業の設備投資データは、新規購入品に限るよう設計されているため、構造的に中古品の取引は最初から含まれていないのです。
具体的な例で理解する:中古車の売買
たとえば、中古車を個人から30万円で購入した場合、これはGDPには含まれません。なぜなら、その車はすでに製造時(新車販売時)にGDPにカウントされているからです。
一方で、中古車販売店を通して購入した場合、その販売店が得た手数料(たとえば5万円)は「新たな付加価値」としてGDPに含まれます。
政府の統計処理と制度設計
日本のGDP統計を作成する内閣府や総務省などの機関は、収集する経済データにおいて「中古品を含めないような設計」をしています。たとえば、設備投資統計では「新規設備購入のみ対象」とし、リースや中古設備の再取得は除外されます。
このように、集計対象を制度的に明確に定義することで、中古品の分を初めから除く形になっています。
まとめ:GDPは「新たな価値の創出」を測る指標
中古品の売買がGDPに含まれないのは、過去にすでにGDPへカウントされており、二重計上を避けるためです。支出法によるGDPでは、統計上の処理やデータ設計の段階で中古品の支出が除かれるようになっており、制度的に整合性が保たれています。
経済の実態を正しく把握するには、新たな価値の創出に着目したGDPの定義を理解することが大切です。

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