IPOで株式を売却した場合の収益と課税の仕組みを徹底解説

株式

IPO(新規上場)に際して保有株式を売却する場合、役員や創業者は大きな利益を得ることもあります。しかし、売却価格や課税の仕組みについて正しく理解しておかないと、期待とは異なる実益に戸惑うことも。この記事では、IPOにおける売却益と税金の実際について、実例を交えて解説します。

IPOの「売出し」で得られる金額とは?

IPOに際し株主が保有株を売却する場合、それは「売出し(セカンダリーオファリング)」として市場に供給されます。この売出しで得られる金額は事前に決定した売出価格(公募価格)であり、初値とは無関係です。

たとえば1株1,000円で1万株を売却した場合、売出価格が1,000円であれば得られる額は1,000万円です。初値が2,000円になっても、売却した本人には影響がありません。

初値の影響を受けるのは誰?

初値が公募価格より高くついた場合、利益を得るのはIPOで株を取得できた投資家です。創業者などが売出しを通じて株を手放している場合、その時点で売却益が確定しているため、初値の上昇益は享受できません

例:公募価格1,000円で1万株を売却=1,000万円入金。初値が2,000円で寄り付いたとしても、創業者がその株を持っていない限り、2,000万円になることはありません。

IPOでの株式売却にかかる税金

IPOで株式を売却した際には、原則として譲渡所得税が課せられます。上場株式の場合、税率は以下の通りです。

税区分 税率
所得税 15%
住民税 5%
復興特別所得税 0.315%
合計 20.315%

つまり、1,000万円の売却益があった場合の実質的な手取りは以下の通り。

手取り=1,000万円 ×(1 – 0.20315)=約796万8,500円

売却株の取得原価によっても課税対象が変わる

税金がかかるのは、株を売却して得た金額すべてではなく、取得原価を差し引いた利益(譲渡所得)です。たとえば創業時に株式を1円で取得していたなら、譲渡益はほぼ全額となります。

ただし、贈与やストックオプション由来の株式などは特別な扱いがある場合もあるため、税理士などの専門家への確認をおすすめします。

売出し後も保有する株には含み益が生じる可能性

IPO後に売出しとは別に株を保有し続けている場合、その株式の価値は上場後の株価に左右されます。たとえば1万株を保有したまま、初値が2,000円となれば、含み益として2,000万円相当の資産価値を持つことになります。

ただし、この利益は売却して初めて課税対象になります。保有中の含み益には税金はかかりません。

まとめ:IPOで得られる金額と税引後の実利

IPOで株式を売却した際に得られる金額は、公募価格×売却株数です。初値がいくらになろうとも、売却済みの株にその影響はありません。税引後の実利は約20.315%の税金を差し引いた金額となるため、売却前に必ず手取り額を計算しておきましょう。

複雑な税務処理や将来の売却戦略については、IPO経験のある税理士やファイナンシャルプランナーへの相談が安心です。

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