株式=流動資産というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は一定の条件を満たせば「固定資産」として計上されることもあります。この記事では、株式が固定資産に分類されるケースやその判断基準、実務上の注意点をわかりやすく整理します。
まず知っておきたい「固定資産」とは?
会計上、固定資産とは「企業が長期間にわたり保有する目的で取得した資産」を指します。具体的には建物・機械設備・車両運搬具などの有形固定資産や、ソフトウェア・のれんなどの無形固定資産、さらには株式などの投資その他の資産も含まれます。
つまり、保有目的や保有期間に応じて株式も“固定資産”になるということです。
株式が「固定資産」に分類される具体例
株式のうち、以下のようなものは「投資有価証券」として固定資産に分類されます。
- 関係会社株式:子会社や関連会社の株式(持分法適用など)
- 長期保有目的の上場株式:売買目的でなく持ち続けることが明確な場合
- 戦略的提携先・取引先株式:業務上の関係性を維持するために取得
例えば、A社が安定取引を行うために仕入先B社の株式を保有する場合、それは短期売買目的でなく「事業上の安定」を狙った投資のため、固定資産としての投資有価証券に該当します。
流動資産に分類されるケースとの違い
一方、次のような株式は「流動資産」として分類されます。
- 短期売買目的の株式(=売買目的有価証券)
- 1年以内に売却予定の株式(=満期保有予定がないもの)
これらはキャピタルゲイン(売買差益)を狙っているため、資金運用性が高く、バランスシート上では流動資産として扱われます。
分類の判断基準と注意点
株式の分類は、「取得時の保有目的」「保有期間の見込み」「経営上の位置付け」などを総合的に判断して行います。
決算期末において、保有目的が変更された場合は、翌期からの分類変更や注記が必要となるため、会計処理にも注意が必要です。
実例で理解する:分類の違いと仕訳の影響
たとえばC社が持つトヨタ株式100株を、
- 短期トレード目的:売買目的有価証券→流動資産
- 取引強化を目的とする戦略保有:投資有価証券→固定資産
として処理した場合、評価損益の扱いや税効果会計上の処理に違いが生じます。固定資産に計上した場合、減損会計や時価開示も求められます。
まとめ:株式は保有目的次第で固定資産にもなる
株式はすべてが流動資産とは限りません。戦略的・長期的な保有が前提であれば固定資産(投資有価証券)として分類されることがあります。
企業会計や財務分析を行う際には、株式の性格と保有目的を正確に把握し、適切に分類・評価することが重要です。

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