株式投資では、同じ銘柄でも「長期保有」と「短期売買」で分けて管理したいというニーズがあります。楽天証券などの一般的な証券口座では、同一銘柄を複数回に分けて購入すると取得単価が平均化されてしまうため、短期・長期を明確に区分して運用したい投資家にとっては管理上の悩みとなります。本記事では、楽天証券における株式の保有区分とその対処法について解説します。
楽天証券では同一銘柄の取得単価は平均化される
楽天証券では、同一銘柄を複数回購入した場合、自動的に取得価格が平均化（移動平均法）されます。たとえば、A社株を1000株保有後に500株を追加購入すると、すべての株が1,500株として平均単価で表示されます。
そのため、長期保有用と短期売買用の株を意図的に分けて保有することは、楽天証券の基本機能では対応していません。
取得価格を分けて管理する方法
取得価格を分けて管理したい場合、以下のような方法を活用することが考えられます。
- 別の証券口座を開設する：楽天証券とは別の証券会社（例：SBI証券や松井証券）に口座を開設し、そちらで短期売買用の株を購入することで、物理的に保有を分離できます。
- NISA口座と特定口座を使い分ける：NISA枠と特定口座では取得単価の管理が独立しています。例えば、長期目的の株をNISA口座で購入し、短期目的の株を特定口座で購入することができます。
ただし、NISA口座には年間投資枠があるため、すべてのケースに適用できるとは限りません。
取引メモを活用して自分で区分管理する
楽天証券では、保有銘柄ごとに「取引メモ」や「メモ機能」が用意されているため、どの株が長期・短期の目的で保有されたかを記録しておくことが可能です。
実際の売却時には、平均単価で損益計算がされてしまいますが、自分自身の投資目的や戦略の把握のためには有効な手段です。
将来的に損益計算を明確にするには
楽天証券では、特定口座（源泉徴収あり）を選択している場合、自動的に損益が計算されて納税も済ませてくれる便利な仕組みがあります。
しかし、取得価格が平均化されると、短期売買のつもりで買った株が長期株の単価を押し上げる／押し下げるという問題が起こるため、目的ごとに口座を分けることが最も確実な管理方法です。
実際の投資家の工夫事例
たとえば、Aさんは楽天証券で長期保有を行い、SBI証券を短期トレード用として併用しています。これにより、取得価格の混在を避け、売却損益の整理や管理がしやすくなったと語っています。
また、Bさんは楽天証券内のメモ機能を活用して、どの株がどの目的で買われたかを月ごとに記録し、Excelで自己管理しています。
まとめ：目的が異なる株は口座を分けるのがベスト
楽天証券では、同一銘柄を複数回に分けて購入すると平均取得単価となり、短期・長期の目的を口座内で区別して管理することはできません。
そのため、取得価格を区分して管理したい場合は、別の証券会社の口座を開設するか、NISAと特定口座を使い分けるといった工夫が必要です。自分の投資戦略に合った保有スタイルを確立するためにも、計画的な口座運用を心がけましょう。
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