楽天証券などの証券会社で「特定口座(源泉徴収あり)」を利用していると、利益が出たときには税引後の金額が入金され、損失が出たときは売却額がそのまま入金されるため、損益通算が適用されていないように見えることがあります。しかし、実際には1年間を通じて自動的に損益通算が行われています。本記事では、その仕組みとタイミングをわかりやすく解説します。
特定口座(源泉徴収あり)の基本仕組み
まず、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。源泉徴収ありの口座では、利益が確定した時点で税金(約20.315%)が自動的に差し引かれます。これにより、原則として確定申告が不要になるメリットがあります。
一方で、損失が発生した際は税金が発生しないため、課税もされず、そのままの金額が入金されます。これが、「損益通算されていないのでは?」と感じる原因です。
損益通算が行われるタイミング
実際の損益通算は、同じ年の12月31日時点での年間のトータル損益に対して行われます。楽天証券を含む多くの証券会社では、毎営業日ベースで損益が記録され、年末に「年間取引報告書」が発行される際に損益通算後の結果が反映されます。
つまり、年間トータルで損失が出ていれば、その分過剰に徴収された税金は翌年の1月に「還付」されます。楽天証券では自動で処理され、通常は1月中旬〜下旬頃に証券口座に返金されます。
実例:年間トータルで損益が相殺された場合
たとえば、以下のような取引をしたとします。
- 1月:株Aを100万円→120万円で売却 → 20万円の利益 → 税金約4万円が自動徴収
- 8月:株Bを200万円→160万円で売却 → 40万円の損失 → 税金は徴収されない
この場合、年間損益は「+20万円 − 40万円 = −20万円(損失)」です。本来不要だった税金4万円は、翌年に自動で還付されます。
損益通算されないケースや注意点
以下のような場合は、損益通算が適用されないこともあるため注意が必要です。
- 異なる証券会社間の取引(A社で利益、B社で損失など)
- 源泉徴収なしの特定口座や一般口座での取引
- 先物取引やFXなど、株式とは異なる所得区分の商品
これらの場合は、自分で確定申告を行うことで初めて損益通算や税金還付が可能になります。
損失繰越と確定申告について
もし年間を通じて損失が出てしまった場合、その損失は翌年以降3年間にわたり繰り越して、将来の利益と相殺することができます。ただし、この「損失繰越控除」を適用するには、源泉徴収ありの特定口座であっても確定申告が必要です。
たとえば、2024年に30万円の損失があった場合、2025年・2026年・2027年にそれぞれ利益が出れば、その分の課税所得を減らせます。
まとめ
楽天証券の特定口座(源泉徴収あり)では、損益通算は取引のたびではなく、年末のタイミングで自動的に行われます。そのため、損失時に税金の還付がないように見えても、年間を通じて損益を通算し、必要があれば翌年に還付処理がなされる仕組みです。必要に応じて確定申告を活用することで、損失の繰越も可能となります。

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