VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)をNISA口座で一括購入し、その後全額売却した際に「評価損益よりも受渡金額が10万円以上少なかった」という経験をされた方も多いかもしれません。特に初心者にとっては「なぜこんなに差があるのか」が理解しづらいポイントです。この記事ではその仕組みと原因をわかりやすく解説します。
評価損益と受渡金額の違いとは
まず前提として、証券口座に表示される「評価損益」は、現在の株価を基にした理論的な評価にすぎません。一方、売却後に得られる「受渡金額」は、実際の売却価格・為替・手数料をすべて反映したリアルな金額です。
そのため、表示された評価益よりも実際の手取りが少なくなるケースはよくあります。特に米国ETFであるVTIでは、為替の影響が大きな差異を生み出す要因になります。
主な差額の原因① 為替レートの変動
米国ETFの売却にはドルから円への換金が伴います。評価損益はリアルタイムのレートに基づくことが多い一方、実際の売却で適用される為替レートは売却手続き後のものになる場合があります。
例えば、評価損益表示時のレートが1ドル=150円で、実際の受渡時には147円になっていれば、それだけで2%以上の差損が発生します。
主な差額の原因② スプレッドや為替手数料
証券会社を通じて円⇔ドルの換金を行う場合、1ドルあたり片道25銭〜50銭程度の為替スプレッド(実質的な手数料)がかかります。これが数万ドル単位の取引では意外と大きな金額となります。
例:30,000ドル × 0.5円(スプレッド)=15,000円のコスト。
主な差額の原因③ 約定タイミングのズレ
ETFの売却注文を出した時刻によっては、約定が次の取引日になることもあります。その間に株価や為替が変動すれば、評価損益と実際の売却価格との間にギャップが生じます。
特に、成行注文で売却した場合は、約定価格が予想より下がることもあるため注意が必要です。
主な差額の原因④ 米国ETF特有の諸費用
ETFによっては分配金に対して源泉徴収(米国で10%)があったり、売却時に僅かな売買手数料がかかる場合もあります。
また、証券会社によっては米国ETFの売買に関する為替スプレッドの開きが大きい場合もあるので、事前に確認しておくことが重要です。
初心者が注意すべきポイント
- 評価損益はあくまで参考であり、受渡金額とは異なる
- 売却前に為替レートとスプレッドを確認する
- NISA枠内なら税金の影響はないが、それ以外のコストは考慮する
- なるべくリアルタイム為替のある証券会社を使うとズレが少ない
まとめ:VTI売却時は評価額との差を事前に見積もる意識を
VTIなどの米国ETFをNISAで購入した場合でも、売却時には評価額よりも受渡金額が少なくなることはよくあります。主な原因は為替変動・手数料・タイムラグなど。これらを理解しておくことで、「なぜ10万円も差が?」という疑問も納得感のあるものに変わるはずです。
事前に証券会社の約定ルールや為替スプレッド、受渡タイミングを把握しておくことで、より正確な資産管理が可能になります。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント