額面100円・金利1.0%の10年国債が105円で取引される場合の利回りをわかりやすく解説

経済、景気

国債は、安全性の高い資産として広く投資家に利用されていますが、流通市場での価格変動によって実際の利回り(投資収益率)は大きく異なります。本記事では、額面100円・金利1.0%の10年国債が流通市場で105円で取引されている場合の利回りの求め方について、初心者にもわかりやすく解説します。

表面利率と利回りの違いとは?

表面利率とは、額面金額に対して支払われる年利のことです。本例では額面100円に対して1.0円(1.0%)の利息が毎年支払われます。

一方、利回り(YTM=最終利回り)は、購入価格に対して最終的にどれくらいの収益が得られるかを年率で示す指標です。利回りは購入価格、保有期間、利息、償還差益(損)をすべて考慮して計算されます。

利回りの概算計算方法

額面100円、利率1.0%、残存10年の国債が105円で流通している場合、概算利回りは次のように求められます。

  • 年間利息:1円
  • 償還差損:105円で購入→10年後に100円で償還→5円の損失
  • この損失を10年で均等配分すると:−0.5円/年
  • 年間収益=1円(利息)−0.5円(差損)=0.5円
  • 利回り=0.5円÷105円≒約0.476%

※これはあくまで単純化した概算です。正確な利回りは、現在価値の概念を使った複雑な数式(IRR:内部収益率)で求められます。

正確なYTM(最終利回り)の求め方

正確なYTMは、以下の式を使い、金利rを解く必要があります。

105=∑[1/(1+r)^t](t=1〜10)+100/(1+r)^10

この式は複雑なため、金融電卓やExcelのIRR関数、証券会社のシミュレーターを使用するのが一般的です。

Excel例:=IRR({-105,1,1,1,1,1,1,1,1,1,101}) → 約0.476%

利回りが表面利率を下回る理由

今回のケースでは表面利率1.0%に対して、実質利回りは約0.476%と低くなっています。これは、購入価格が額面を上回っている(=プレミアム価格)ためで、将来的に100円しか戻ってこない国債に105円を支払っていることが要因です。

国債利回りは市場金利が下がるとともに上昇し、価格が上がるとともに下がります。したがって、「安全資産」とされる国債でも、市場価格によって実際の収益は大きく変わるのです。

実務上の活用:利回りを見て投資判断する

国債投資では「表面利率」に惑わされず、「今の価格で買った場合の利回り(YTM)」を確認することが重要です。特に定期預金や社債と比較する際、利回りベースで収益性を比較することで、より適切な資産運用が可能になります。

まとめ:利回りは価格と逆相関、必ず確認を

額面100円・金利1.0%・10年満期の国債が105円で流通している場合、利回りはおおよそ0.476%になります。投資の際には、価格と金利、満期までの年数の関係を把握し、実質的な収益性である利回りを見て判断することが賢明です。

複雑な数式を使わなくても、おおまかな損益の構造と利回りのイメージを持つことが、金融リテラシーを高める第一歩になります。

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