旧NISA満了時の評価損は損益通算できる?制度の仕組みと対応策を徹底解説

資産運用、投資信託、NISA

非課税で資産運用ができるNISA(少額投資非課税制度)は、投資家にとって大きなメリットがありますが、非課税期間の終了時に含み損が出ていた場合、その損失はどう取り扱われるのか疑問に感じる方も多いでしょう。この記事では、旧NISA(一般NISA)満了時の評価損が税制上どう扱われるのか、他の課税口座との損益通算の可否、そして損失回避のための実践的な対応策について詳しく解説します。

NISAの非課税期間終了後の扱い

旧NISA口座においては、原則として最長5年間の非課税期間が設定されています。この期間が終了した際、保有商品が評価益であれば非課税のまま売却できますが、評価損だった場合の取り扱いには注意が必要です。

満了時に何もしなければ、NISA口座で保有していた資産は自動的に特定口座または一般口座へ払い出されます。その時点での時価が新たな取得価額となるため、それまでの評価損は税制上考慮されません。

損益通算は可能か?

結論から言えば、NISA口座内で発生した評価損は、課税口座との損益通算はできません。これは、NISA制度の根本的な性質が「課税対象から切り離された非課税枠」であるためです。

そのため、たとえNISAで損失が出ていても、課税口座で得た利益と相殺して税金を軽減することはできません。損益通算は、特定口座や一般口座など、課税対象となる口座間でのみ適用可能です。

継続保有とロールオーバーの違い

旧制度では、非課税期間終了後の資産を翌年のNISA枠へ移行する「ロールオーバー」が可能でした。ただし、2024年からの新NISA制度ではロールオーバー制度は廃止されているため、旧NISA満了資産は課税口座へ自動移管されるのみとなっています。

このとき、新たに移された口座では「時価」が取得単価となるため、過去の損失分が引き継がれることはありません。つまり、ロールオーバーの仕組みがない限り、損失の税務的救済措置は存在しないということです。

評価損を有効活用するには?

NISA口座で評価損が出ている場合、以下のような選択肢を検討することで資産効率を高めることが可能です。

  • 評価損のあるNISA資産を非課税期間終了前に売却し、同一銘柄を課税口座で買い直す
  • 課税口座に移管後、損切りして課税口座の利益と損益通算を狙う
  • 今後の成長を見込めるなら、そのまま長期保有し利益転換を待つ

例えば、5年間で30万円で購入した株式が20万円に値下がりしていた場合、非課税期間終了前に売却→同銘柄を特定口座で買い直し→今後の値上がり時に売却、という戦略で実際の損失を損益通算に活かすことができます。

税制優遇を最大限に活かすために

NISA制度は「非課税メリット」が強力な一方で、損失に対する税制上の配慮が乏しいという課題もあります。そのため、損失が出ている商品については、課税口座への移管後にどう動かすかをあらかじめ戦略的に考えることが大切です。

また、2024年から始まった新NISAでは、年間360万円(成長投資枠含む)の非課税投資が可能となり、制度設計が恒久化されました。旧NISAの評価損にとらわれすぎず、新NISAを活用した積極的な資産形成も検討すべきでしょう。

まとめ:NISAの損失は税務上の損益通算対象外

旧NISAの非課税期間が終了し、評価損が出ていた場合、その損失は原則として課税口座との損益通算はできません。ただし、非課税期間終了前に戦略的に売却し課税口座で再購入するなどの工夫により、将来的に損益通算の恩恵を受けられる可能性はあります。

大切なのは、税制を正しく理解し、制度のメリット・デメリットを踏まえた柔軟な対応を行うことです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました