自由貿易がもたらすミクロ経済的な変化とは?消費者余剰・生産者余剰・総余剰の関係を解説

経済、景気

自由貿易は経済にさまざまな恩恵をもたらすとされていますが、実際にミクロ経済学の視点からどのような変化が起こるのでしょうか。今回は、輸入国における消費者余剰、生産者余剰、総余剰が、関税のない自由貿易によってどう変化するかを図とともにわかりやすく解説します。

完全自給の状態と自由貿易の違い

まず、完全自給とは、国内で生産された財のみを国内で消費する状況を指します。つまり、海外からの輸入や輸出が一切行われていない状態です。このときの市場価格は国内の需要と供給で決まります。

一方、自由貿易の導入により、より安価な輸入品が国内市場に流入することで、価格が国際水準に引き下げられます。これによって国内の市場構造が変化します。

消費者余剰はどう変化するか

自由貿易が導入されると、輸入品の価格が国際価格に引き下げられ、国内消費者はこれまでよりも安い価格で商品を購入できるようになります。その結果、消費者余剰は増加します。

たとえば、ある製品の国内価格が1,000円だったものが、輸入により700円になった場合、同じ商品を安く買えるようになり、消費者は金銭的に得をするため、余剰が拡大します。

生産者余剰はどうなるか

一方で、国内の生産者にとっては逆風になります。価格競争力のある輸入品の登場により、自国の製品が売れなくなったり、価格を下げざるを得なくなります。これによって、生産者余剰は減少します。

具体的には、700円では利益が出せない国内企業は生産量を減らしたり、撤退するケースもあります。これにより、生産者が得られる利益が減ってしまうのです。

総余剰の変化とその意味

消費者余剰の増加は生産者余剰の減少を上回ることが多く、結果的に総余剰(経済全体の利益)は増加します。

この総余剰の増加は、社会全体としての効率性が高まっていることを意味し、経済的には望ましい状態とされています。

図による直感的な説明(簡易版)

図の説明を文章化すると、以下のようになります。

  • 縦軸に価格、横軸に数量をとる
  • 需要曲線と供給曲線が交差する点が国内の均衡点(自給状態)
  • 自由貿易導入により、価格が国際価格に下がる
  • その結果、需要量は増加、生産量は減少し、差分が輸入される
  • 上部の三角形部分が増加した消費者余剰、下部の減少した生産者余剰を描く

この図を通して、自由貿易がもたらす余剰の再配分と経済全体の効率性向上を視覚的に理解できます。

まとめ:自由貿易は経済効率を高めるが影響も二面性がある

自由貿易の導入は、輸入国にとって消費者余剰の増加、生産者余剰の減少という変化をもたらします。しかし、全体としての総余剰は増加するため、経済的には望ましいとされます。

ただし、影響を受ける国内産業へのセーフティネットや支援政策も重要であり、貿易政策を考える際にはそのバランスが求められます。

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