外貨建終身保険と米国債連動型商品の選び方:利回りと金利動向の真実

資産運用、投資信託、NISA

最近、銀行窓口などで「米国債に連動した外貨建終身保険」への加入をすすめられる方が増えています。特に「今後金利が下がるから今が買い時」「利回りが高く増える」という説明を受けることがありますが、本当にそれは正しいのでしょうか?この記事では、金融商品としての外貨建終身保険について冷静に解説します。

外貨建終身保険とはどのような商品か?

外貨建終身保険とは、米ドルなどの外貨で保険料を支払い、万が一の際には外貨建てで死亡保険金などが支払われる生命保険の一種です。終身保険であるため、契約期間中は保障が続き、解約返戻金がある場合も多く、運用性を兼ね備えた商品とされています。

多くの場合、米ドル建てが主流であり、米国の金利動向が利回りに影響を与える仕組みです。

「金利が下がると増える」はどういう意味?

保険会社が「市場金利が下がるから、今契約すればお得です」と言うのは、契約時点の利回りが相対的に高いため、今後の新規契約と比較して有利という意味合いです。しかし、これはあくまで相対的な話であり、絶対的に得をするという保証ではありません。

例えば、今の米国債10年利回りが4.5%で、将来3%に下がると予想される場合、確かに今の方が有利に見えます。ただし為替リスクや保険手数料なども考慮する必要があります。

為替リスクと手数料に注意

外貨建商品で見逃せないのが為替変動リスクです。米ドルで増えても、円安から円高に振れた場合、日本円換算で損をすることもあり得ます。

さらに、外貨建保険には高額な手数料(販売手数料・為替手数料・保険管理費など)が含まれているケースも多く、想定していた利回りを大きく下回ることもあるため要注意です。

投資と保険の“目的の違い”を意識する

外貨建終身保険は、あくまで“保険”です。死亡保障や相続対策、資産保全を目的に設計された商品であり、純粋な“投資”商品とは異なります。運用益目的なら、米国債ETFや直接の米国債投資などのほうが低コストでシンプルです。

一方で、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人)を利用するなど、保険ならではのメリットもあるため、目的を明確にすることが重要です。

実例:米国債10年保険に加入した場合

仮に2024年に米ドル建終身保険に加入し、10年間で3%複利の利回りが保証されていたとします。しかし、為替が1ドル=150円から120円に円高に振れた場合、利回りが目減りし、実質的な損失になる可能性もあるのです。

逆に、為替が安定しつつ、円安が続けば、予想以上の収益を得ることもあります。ここに「投機的」な側面がある点も理解しておくべきです。

まとめ:保険か投資か、目的で選ぶ商品が変わる

外貨建終身保険は、保険としての機能を持ちながら、投資的な魅力を持つ商品でもあります。ただし、そのリスクとコストを正しく理解せずに、「利回りが高い」「今が買い時」という言葉だけで判断するのは危険です。

保険としての必要性があるなら選択肢になり得ますが、投資目的ならよりシンプルで透明性の高い手段もあります。自分の資産運用の目的と照らし合わせながら、慎重に判断することが重要です。

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