株主代表訴訟は、商法・会社法を学ぶ上で避けて通れない重要テーマの一つです。特に大学の法学部試験では、単なる定義だけでなく、法的要件や趣旨、判例との整合性まで問われることがあります。この記事では、株主代表訴訟の基本をおさらいしつつ、なぜ「一見正しい説明でも不合格になる」のか、法学答案の評価視点も交えて解説します。
株主代表訴訟とは:制度の趣旨と基本構造
株主代表訴訟とは、株式会社に損害が発生しているのに会社が役員に対して責任追及をしない場合、一定の株主が会社に代わって役員に対し損害賠償を請求できる制度です(会社法847条以下)。
この制度の趣旨は、「経営者に対するチェック機能の補完」です。経営陣が自浄作用を発揮しない場合に、株主が直接行動することによって、企業統治の健全性を高める役割を果たします。
法的要件:なぜ「半年間の継続保有」が重要なのか
株主代表訴訟を提起するには、以下の要件が必要です。
- ①6ヶ月以上継続して株式を保有していること(会社法847条1項)
- ②会社に対して訴訟提起の請求をしたこと
- ③請求後60日経過または請求が拒否されたこと
この「6ヶ月継続保有要件」は、制度の濫用防止の観点から非常に重視されており、この要件を記述から漏らすと、試験では重要な減点要素になります。
「正しいことを書いたのに不合格」になる理由
法学試験では、「正しい内容を一部書いている」だけでは高評価になりません。試験問題は「法律構成の全体を論理的に説明できるか」を重視して採点される傾向が強いからです。
たとえば、答案で株主代表訴訟の制度趣旨(会社の損害回復)や構造(株主が代わって訴える)は書いていても、法的要件が網羅されていなかった場合、重要事項の欠落と判断されることがあります。
試験結果に納得できないときの対処法
・答案返却がある場合は、自分の記述と講評を突き合わせて分析しましょう。
・教授やチューターに質問を申し出ることは権利として認められています。冷静に質問すれば誠実に対応してもらえるケースが多いです。
また、他の学生の答案と比較することで、自分に足りなかった論理展開や条文の明示が明確になることもあります。
法学答案で合格するための実践ポイント
- 条文要件を漏れなく書く(特に要件列挙型問題)
- 趣旨や制度の目的に触れる
- 判例や通説との整合性を一言添えると評価が上がる
特に会社法では「株主」「会社」「取締役」など複数の当事者視点を意識し、誰が・誰に・何を請求するのかを明確に記述することが重要です。
まとめ:法的に「正確」であることと、答案として「合格基準を満たす」ことは別
株主代表訴訟の問題は、一見すると単純な定義問題に見えても、法的構成と制度的趣旨の両方が問われています。
法学部の試験では、感覚的な正しさではなく、「構成力」と「条文の使い方」で勝負が決まります。納得できない結果が出たときは、冷静にフィードバックを求め、自分の思考のどこが評価されにくかったのかを探る姿勢が次の合格につながります。

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