株式投資において、当日中に同一銘柄を複数回売買した場合、証券会社が表示する「実現損益」が自身の計算と異なるケースがあります。その代表的な原因が、平均取得単価に基づいた損益計算です。本記事では、その仕組みと具体的な例をわかりやすく解説します。
平均取得単価とは?
証券会社では、同一銘柄の複数の取得価格を保有株数で加重平均し、「平均取得単価」を算出します。この平均値を元に、売却価格との損益を計算するのが一般的です。
例:
・100株 × 1,082円 = 108,200円
・200株 × 1,123円 = 224,600円
合計 300株の平均取得単価は、(108,200 + 224,600) ÷ 300 = 約1,110.67円となります。
実現損益の計算:平均取得単価ベース
売却価格:1,159円 × 300株 = 347,700円
平均取得単価ベースでの買付額:1,110.67円 × 300株 = 約333,000円
したがって、347,700円 – 333,200円 = 約14,700円が証券会社上での「実現損益」として表示されます。
自己計算とのズレの原因
「最初に買ったものを最初に売った」と仮定して(先入先出法)、108,200円+(1,123円×200株=224,600円)の合計332,800円で買って、347,700円で売ったと考えると、実際の受け渡しベースでは14,900円の利益になります。
このズレは、平均取得単価方式と個別の売買履歴による損益の計算方式の違いに起因します。
日本の証券会社が平均取得単価を採用する理由
日本国内の証券口座では、税務上や証券システムの整合性の観点から、平均取得単価による損益計算が標準です。海外では「先入先出法(FIFO)」や「個別識別法」が選べるケースもありますが、日本では選択肢が限定されています。
なお、損益通算や確定申告時にも平均取得単価がベースとなるため、証券口座上の表示が正確な課税対象のベースになります。
知っておきたい注意点
- 当日中に買って売った株式も同じ扱い
- 複数日に分けた買付もすべて平均される
- 特定口座・源泉徴収ありでもこの方法が採用される
自分で損益を計算した場合、表示損益と差があることがありますが、税務や証券会社の表示はこの平均取得単価を前提にしている点を理解しておく必要があります。
まとめ:損益計算の基本を理解しよう
当日中の売買でも、証券会社は平均取得単価に基づいた損益を計算しています。これは税制や口座管理の基準に則った正確な方法であり、差額が出るのは計算の前提が異なるためです。
正しい損益把握には、証券会社の損益表示に従うことが基本となります。自身の売買履歴との違いを理解しておくことで、混乱を避け、納税管理にも役立ちます。

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