なぜ日本にドラゴンボールの大型テーマパークがない?世界初はサウジアラビアになった理由を解説

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『ドラゴンボール』は日本を代表する漫画・アニメ作品で、海外にも非常に多くのファンがいます。それだけに、「日本にディズニーランド級のドラゴンボール専門テーマパークがあってもよさそうなのに、なぜないのか」と疑問に感じる人は少なくないでしょう。

実はドラゴンボールの大規模な常設テーマパーク計画そのものは存在します。ただし、その場所は日本ではありません。2024年に、サウジアラビアの大型開発プロジェクト「Qiddiya City(キディヤ・シティ)」で、世界初となるドラゴンボールのテーマパークを建設する計画が発表されました。

では、世界的人気を持つ日本発の作品なのに、なぜ最初の巨大テーマパークが日本ではなくサウジアラビアなのでしょうか。ここでは公式発表で確認できる事実と、テーマパーク事業の仕組みを分けながら整理します。

そもそもドラゴンボールのテーマパークは本当に存在する?

東映アニメーションは2024年3月22日、サウジアラビアのQiddiya Investment Companyが進める「Qiddiya」において、世界初となる『ドラゴンボール』テーマパークが建設されることを発表しました。つまり、日本にはないものの、本格的なドラゴンボール専門テーマパークの計画自体はすでに動いています。

発表された計画はかなり大規模です。敷地面積は50万平方メートル超で、7つのテーマエリアを設置。「カメハウス」「カプセルコーポレーション」「ビルスの星」など、作品に登場する場所が再現される予定です。

さらに30以上のアトラクションが計画され、パーク中央には高さ約70メートルの神龍(シェンロン)を配置し、その内部を通過する大型ジェットコースターも予定されています。ホテルやレストランも整備される計画で、単なるアニメ展示施設ではなく、一日あるいは複数日にわたって滞在できる大型リゾート型施設を目指していることが分かります。[参照:東映アニメーション]

「日本の作品だから日本に建てる」とは限らない

テーマパークの立地を考える際に重要なのが、作品が生まれた国とテーマパークを建設する国は別問題だという点です。ドラゴンボールが日本生まれだからといって、巨大テーマパークも必ず日本に建設されるわけではありません。

大型テーマパークには、広大な土地だけでなく、建設費、交通インフラ、ホテル、飲食施設、スタッフ、設備維持費、安全管理など莫大な投資が必要になります。そのため、「ファンが多い」という理由だけでは事業化できず、誰が巨額の資金を投じ、誰が開発・運営し、権利者とどのような契約を結ぶかが重要になります。

サウジアラビアの場合、ドラゴンボールパーク単独の開発ではなく、巨大エンターテインメント都市「Qiddiya City」の一部として計画されています。Qiddiya公式サイトでは、ドラゴンボールのほかにもSix Flags Qiddiya City、ウォーターテーマパーク、ゲーミング・eスポーツ地区、スポーツ施設など多数の大型施設が紹介されています。[参照:Qiddiya City公式サイト]

日本に作れないのではなく「巨大投資を実行する事業者」が必要

ここで誤解しないようにしたいのは、日本ではドラゴンボールのテーマパークを作れないと公式に説明されているわけではないということです。少なくとも公表情報から、「日本に建設しない理由」が権利者によって明確に説明されているわけではありません。

したがって、「土地がないから」「版権が複雑だから」「日本人には人気がないから」といった単一の理由を断定することはできません。現時点で確認できる重要な事実は、サウジアラビア側のQiddiya Investment Companyと東映アニメーションによる長期的なパートナーシップを背景として、Qiddiya Cityで世界初のテーマパーク計画が具体化したということです。

東映アニメーションのIR資料でも、同社の役割について、ドラゴンボールを象徴するテーマパーク建設に関するライセンス提供を行い、IP運用のノウハウを活用してドラゴンボールのIP価値をさらに高めていく趣旨が説明されています。つまり、権利者自身が巨大テーマパークを単独で建設するというより、大規模開発を行う事業者とIP保有・運用側が組むという構図で理解すると分かりやすいでしょう。

日本でディズニー並みの施設を作るならどのくらい大変?

「ドラゴンボールなら外国人観光客も来るのでは」という考えには十分な根拠があります。東映アニメーションによると、『DRAGON BALL』のコミックスは全世界累計2億6000万部を超えており、アニメ、映画、ゲームなどを通じて世界規模で展開されています。日本のファンだけを対象とするコンテンツではありません。

しかし、「人気がある」と「ディズニー級のテーマパークが成立する」は同じ意味ではありません。大型テーマパークでは、開業時の建設費だけではなく、毎年新しいイベントやアトラクションを投入し、何度も訪れてもらう仕組みが重要です。土地取得、鉄道・道路からのアクセス、ホテル需要、年間来場者数、客単価、運営費などを含めた長期的な事業計画が必要になります。

例えばドラゴンボール専門パークを日本に建設すると仮定すれば、悟空やベジータに会える施設だけではなく、天下一武道会、カメハウス、カプセルコーポレーション、ナメック星などを体験型コンテンツとして構成し、レストラン、ショップ、ホテル、季節イベントまで継続的に展開する必要があるでしょう。これは「人気アニメの遊園地を作る」というより、巨大な観光リゾートを一つ作る規模のプロジェクトになります。

サウジアラビアではなぜそこまで巨大な計画になったのか

今回のドラゴンボールパークを理解するには、Qiddiya City全体を見ることが重要です。Qiddiyaはドラゴンボールだけのために開発されている施設ではなく、スポーツ、ゲーム、eスポーツ、遊園地、ウォーターパークなどを集積させる巨大プロジェクトです。

そのためドラゴンボールパークにも、単独施設では難しい規模の投資を行いやすい環境があります。Qiddiya Investment Companyの公式発表では、50万平方メートルを超える敷地、7つのテーマエリア、30以上のライドなどが示されています。[参照:Dragon Ball Theme Park公式ページ]

また、東映アニメーションは中期経営計画において中東を新たな成長地域の一つとして位置づけ、Qiddiyaのドラゴンボールテーマパークについても海外展開戦略の一環として取り上げています。世界的人気を持つ日本のIPを、海外の大規模投資と組み合わせて事業化する一例といえます。

ドラゴンボールはテーマパーク向きの作品なのか

コンテンツ面だけを見ると、ドラゴンボールはテーマパークとの相性がかなり良い作品です。空を飛ぶ、超高速で移動する、巨大な敵と戦う、宇宙へ行くといった表現が多く、ジェットコースター、ライド型アトラクション、VR・AR、映像アトラクションなどに応用しやすい世界観を持っています。

さらに初期の『ドラゴンボール』から『ドラゴンボールZ』『ドラゴンボール超』などまで非常に多くのキャラクターや舞台があります。子どもだけでなく、1980年代・1990年代から作品を見てきた大人まで対象にできる点も強みです。

実際、Qiddiyaの計画が7エリア構成になっていることからも、一つのアトラクションだけではなく、作品世界そのものを空間化できるIPとして評価されていることがうかがえます。

将来、日本にもドラゴンボールの大型テーマパークができる可能性は?

将来については、公式発表がない限り断定できません。少なくとも現時点で、Qiddiyaの施設は「世界唯一(world’s only)」のDragon Ball Theme Parkとして公式サイトで案内されています。

一方で、サウジアラビアでのプロジェクトが成功すれば、ドラゴンボールというIPが巨大な常設テーマパークとして成立することを示す実績にはなります。その結果、日本を含む別地域で新しい大型施設を検討する材料になる可能性はあります。ただし、これは将来の可能性についての推測であり、日本版の建設が決定しているという意味ではありません。

日本で実現するとすれば、権利関係の調整に加えて、土地、資金、運営会社、交通アクセス、ホテルなどを含めた大型プロジェクトを推進する事業主体が必要になるでしょう。「世界的人気があるのだから自然にテーマパークができる」というほど単純な事業ではないわけです。

まとめ:日本にないのは人気不足ではなく、大型テーマパーク特有の事業規模を考える必要がある

ドラゴンボールは世界的な人気を持っており、「人気が足りないから日本にテーマパークがない」と考えるのは適切ではありません。実際、サウジアラビアでは50万平方メートル超、30以上のアトラクション、ホテルやレストランまで備える世界初の本格的なドラゴンボールテーマパーク計画が進められています。

一方、日本に同規模の施設が存在しない理由について、権利者から単一の公式理由が示されているわけではありません。大型テーマパークにはIPの人気だけでなく、巨額の投資、広大な土地、運営主体、交通・宿泊インフラ、長期間の収益計画など多くの条件が必要です。

「日本の人気作品なのになぜ日本にないのか」というより、「そのIPを使った巨大開発を、どの事業者がどこで実行するのか」という視点で見ると理解しやすいでしょう。ドラゴンボールの場合、その世界初の巨大プロジェクトを具体化した場所が、現在のところサウジアラビアのQiddiya Cityだったということです。

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