オルカンが下がる理由は為替?円高・株価・現金との関係をわかりやすく解説

外国為替、FX

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、いわゆる「オルカン」の基準価額は、世界の株価だけで決まるわけではありません。日本円で売買する投資信託であるため、海外株式の値動きに加えて円高・円安も基準価額に影響します。そのため、海外の株価がほとんど下がっていなくても、急激な円高が進めば円換算したオルカンの評価額が下落することがあります。一方で、「同額の円預金を持っていれば為替リスクが相殺される」「オルカンが為替で5%下がれば預金が5%上がる」という理解は正確ではありません。この記事では、オルカンと為替の関係、短期的な下落の見方、現金を持つ意味まで具体例で整理します。

オルカンの評価額は「世界株価」と「為替」の両方で動く

オルカンは、日本を含む先進国・新興国の株式へ幅広く投資する投資信託です。代表的な連動対象であるMSCI ACWIは、先進国と新興国の大型・中型株を広くカバーする指数です。[参照]

ただし、日本の投資家が見るオルカンの基準価額は円表示です。海外企業の株式はドルやユーロなど外貨建てなので、その資産価値を最終的に円へ換算します。したがって、ざっくり考えると「海外株式の値動き × 為替変動」が円ベースのリターンに影響すると理解すると分かりやすいでしょう。

例えば海外株式がドルベースで変わらなくても、1ドル160円から152円へ円高になれば、ドル資産を円換算した価値は約5%低下します。逆に、海外株式が横ばいでも1ドル152円から160円へ円安になれば、円ベースでは評価額が上昇しやすくなります。

直近1週間のオルカン下落には円高が大きく影響した可能性がある

2026年9月上旬には円が急速に上昇する場面がありました。ロイターによると、9月3日には日銀の利上げ観測などを背景に、円が対ドルで2%を超えて上昇しました。[参照]

さらに9月2日にも円は対ドルで上昇しており、短期間で円高方向への動きが強まりました。円換算される海外資産にとって、このような急な円高は基準価額を押し下げる要因になります。[参照]

そのため2026年9月上旬のオルカンの弱い値動きを見る際には、世界株そのものの下落だけでなく、円高による円換算額の低下を重要な要因として考える必要があります。ただし、基準価額は複数の国・通貨・株価によって決まるため、下落分すべてをドル円だけで説明することはできません。

円高になるとなぜオルカンが下がるのか

具体例で考えると理解しやすくなります。仮に1万ドル分の米国株を保有しているとします。1ドル160円なら円換算価値は160万円です。

ところが株価がまったく変わらないまま1ドル152円まで円高になれば、1万ドルの資産は152万円になります。企業価値が変わっていなくても、円ベースでは8万円、つまり5%低下しています。

オルカンでは米国だけでなく欧州、新興国、日本などにも投資しているので実際の計算はもっと複雑ですが、基本構造は同じです。為替ヘッジなしの海外株式ファンドでは、円高が円ベースの基準価額にマイナス、円安がプラスに働きやすいと覚えておくとよいでしょう。

株価上昇と円高が同時に起きるとどうなる?

海外株式と為替は、互いに反対方向へ動くこともあります。例えば海外株が5%上昇しても、同時に円が約5%上昇すれば、円換算後の利益がほぼ消えることがあります。

反対に海外株が5%下落しても、円安が5%程度進めば、円ベースの損失がかなり小さくなることがあります。このため、日本から海外株へ投資するときは、ニュースで「米国株が上がった」と聞いただけでは翌日の投資信託の値動きを正確には判断できません。

なお、正確には単純な足し算ではありません。例えば株価が5%上昇し、為替要因が5%下落なら、1.05×0.95=0.9975となり、約0.25%のマイナスです。大まかな理解では足し引きでも構いませんが、実際には掛け算になります。

為替を理由にオルカンの銘柄選びを変える必要はある?

長期投資を目的としてオルカンを選んでいるのであれば、1週間程度の円高だけを理由に商品を変更する必要性は通常高くありません。オルカンは短期の為替予想で利益を得る商品ではなく、世界中の企業の長期的な成長へ分散投資することを目的とした商品だからです。

為替は長期的に一方向へ動き続けるとは限りません。円高になる時期もあれば円安になる時期もあり、その転換点を継続的に正確に予測するのは非常に困難です。そのため、長期・積立・分散を前提にしている場合は、短期間の為替変動を見て頻繁に投資先を変更すると、本来の投資方針が崩れやすくなります。

一方で、「数年以内に必ず使う資金までオルカンに入れている」「円高で数%下がるだけでも精神的に耐えられない」という場合には、商品選びよりも株式への投資割合そのものを見直す方が本質的です。

同額の円預金を持っていても為替損失は相殺されない

ここは特に誤解しやすいポイントです。オルカンと同額の日本円預金を持っていても、円高によるオルカンの下落を預金が同じ割合だけ値上がりして相殺するわけではありません。

例えばオルカン100万円と円預金100万円を持っているとします。円高だけが原因でオルカンが5%下落すると、オルカンは95万円になります。一方、銀行預金100万円は原則として100万円のままです。

したがって資産全体は200万円から195万円になり、全体では2.5%の下落です。円預金が5%増えて105万円になるわけではなく、「値下がりしない資産を半分持っていたため、全体の下落率が半分になった」と考えるのが正確です。

「円の価値が上がる」と「預金残高が増える」は別の話

円高になると「円の価値が上がった」と表現されますが、これは外国通貨に対する購買力が上がったという意味です。銀行口座に100万円あれば、円高になったからといって残高が105万円になるわけではありません。

例えば1ドル160円のとき、100万円は6250ドル相当です。1ドル152円まで円高になると、同じ100万円が約6579ドル相当になります。ドル換算すれば円資産の価値は上昇していますが、日本国内で表示される銀行残高は100万円のままです。

この違いを理解すると、「円預金を持つことで為替変動が相殺される」というより、円建て資産と外貨の影響を受ける資産を組み合わせることで、資産全体の値動きを小さくできる場合があると考える方が適切です。

オルカン50%・現金50%なら値動きはどう変わる?

例えば金融資産が1000万円あり、500万円をオルカン、500万円を円預金にしているとします。オルカンが10%下落すると、500万円が450万円になります。

円預金が変化しなければ総資産は950万円なので、金融資産全体では5%の下落です。つまり、現金を半分持つことで株式100%の場合より値動きを抑えられます。

反対にオルカンが10%上昇した場合、総資産は1050万円となり、全体の上昇率は5%です。現金を増やすことには下落を小さくする代わりに、上昇時の利益も小さくするという性質があります。これは為替ヘッジというより、資産配分によるリスク調整です。

円預金はオルカンの「為替ヘッジ」ではない

為替ヘッジとは、為替変動による損益を抑えるため、先物取引などを利用して外貨への影響を打ち消す仕組みを指します。単に円預金を持っていることとは意味が異なります。

円預金を保有すれば、金融資産全体に占める海外株式の割合が下がるため、結果として為替変動の影響は小さくなります。ただし、海外資産部分で発生した為替損失そのものを円預金の利益で相殺しているわけではありません。

したがって「為替リスクを消すためにオルカンと同額の預金を持つ」というより、「自分が許容できる値動きになるように株式と現金の割合を決める」という発想の方が資産形成では分かりやすいでしょう。

オルカンの為替リスクを気にするべきケース

長期投資では短期の円高・円安を過度に気にする必要はありませんが、為替をまったく無視してよいわけでもありません。特に数年以内に投資資金を円で取り崩す予定がある場合、取り崩し時点で大幅な円高になれば、円換算した資産額が想定より少なくなる可能性があります。

例えば住宅購入の頭金として3年後に500万円が必要なのに、その500万円までオルカンに投資している場合、世界株安と円高が同時に起きると必要な金額を確保できなくなる可能性があります。このような資金は、投資商品ではなく預金など値動きの小さい資産として確保する考え方があります。

一方、10年、20年、30年先の資産形成を目的として毎月積み立てているのであれば、途中の円高は必ずしも悪いことだけではありません。円高時には同じ円資金でより多くの外貨建て資産を購入できる側面もあるからです。

長期投資では「為替予想」より資産配分を考える

オルカンを保有すると、「今後は円高になりそうだから売った方がよい」「円安になりそうだから今すぐ買った方がよい」と考えることがあります。しかし為替は、各国の金利、物価、景気、政治、投資家心理など数多くの要因で動くため、短期的な方向を継続して当てることは容易ではありません。

そのため長期投資では、為替予想に合わせて商品を頻繁に変更するより、「株式が30%程度下落しても持ち続けられる資産配分か」「数年以内に使うお金を現金で確保できているか」といった点を考える方が実用的です。

例えばオルカン70%・現金30%で大きな下落にも耐えられるなら、その比率を維持して定期的にリバランスする方法があります。価格予想ではなく、自分のリスク許容度を基準に資産配分を決める考え方です。

まとめ:オルカンの短期下落には為替も影響するが、円預金が逆に値上がりするわけではない

オルカンの円ベースの基準価額には、世界各国の株価と為替の両方が影響します。2026年9月上旬には円が対ドルで急上昇したため、直近のオルカンの弱い値動きについても、円高が押し下げ要因の一つになったと考えるのが自然です。ただし、オルカンは多数の国と通貨へ投資しているため、値動きのすべてをドル円だけで説明することはできません。

長期の分散投資を目的としてオルカンを保有している場合、1週間程度の為替変動を理由に銘柄を変更する必要性は通常高くありません。むしろ、自分がどれだけの価格変動に耐えられるのかを考え、株式と現金の比率を決めることが重要です。

オルカンが5%下落しても、同額の円預金が5%上昇するわけではありません。円預金は金額が維持されるため、資産全体の下落率を薄める役割を持つ、と理解するのが正確です。為替リスクと現金比率を分けて考えることで、オルカンの値動きをより正しく理解できるようになります。

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