投資信託の一部を売却して別の口座へ資金を移す際、「元本だけを売りたい」と考える方は少なくありません。特に、特定口座の投資信託を一部売却し、非課税口座(NISA)で再投資したいときには、税制や運用ルールの理解が重要です。
元本のみを売却することは可能か?
投資信託を売却する際、税務上は「元本部分」と「利益部分」の按分(あんぶん)で自動的に分けて課税処理されます。つまり、元本部分だけを指定して売却することはできません。
例えば、S&P500に2000万円投資して300万円の評価益があるとすると、評価額は2300万円。全体のうち約13%が利益とみなされます。仮に500万円分売却すると、そのうち約65万円が課税対象(=譲渡益)になる計算です。
税金を最小限にする売却方法
非課税で元本分だけを動かしたい場合、損益が出ていない状態での売却(=損益ゼロ付近)を狙う方法があります。評価額が元本付近まで下がったタイミングで売却すれば、税負担を軽減できる可能性があります。
また、特定口座ではなく、一般口座やNISA口座で保有していると税の扱いが異なりますので、証券会社のサポートに具体的な計算を確認するのもおすすめです。
特定口座からNISAへ移す戦略
NISAで再投資をするために、特定口座で保有するS&P500を一部売却して資金を用意する場合、売却によって生じた利益に20.315%の税金がかかります。そのため、含み益が大きくなる前に売却を行うことで、税金を最小限に抑えられます。
例として、評価益300万円がある状態で500万円売却すれば約65万円が課税対象となり、13万円前後の税金がかかります。その後、NISA枠で再度S&P500に投資すれば、将来の利益は非課税となります。
より正確な売却額を出す計算式
以下のような計算式で、売却金額中の利益割合を把握できます。
項目 | 数値 |
---|---|
元本 | 2000万円 |
評価額 | 2300万円 |
含み益割合 | 13%(300万円/2300万円) |
500万円売却時の利益 | 約65万円 |
この利益部分に課税されるため、売却額すべてが元本に相当するわけではない点に注意が必要です。
元本売却を希望する際の現実的な選択肢
「元本だけを取り出す」という操作は、制度上できませんが、課税額を抑える工夫としては、以下が挙げられます。
- 評価益が出る前に早期売却する
- 評価額が下がった局面で売却を行う
- 必要資金を複数回に分けて売却する
さらに精密な売却シミュレーションを証券会社のツールで行えば、より正確な金額が算出できます。
まとめ:税制を理解して賢く売却しよう
投資信託の一部売却では、「元本だけを取り出す」ことはできませんが、売却時期や金額により税負担をコントロールすることは可能です。
NISA口座に切り替える戦略は税効率の高い運用方法の一つです。売却前に利益割合を把握し、納税額を試算した上で実行するのがポイントとなります。

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