日本の株式市場では、始値と終値の決定に「板寄せ方式(いたよせほうしき)」が使われています。普段リアルタイムで売買が成立する“ザラ場”とは異なる仕組みであり、特に寄付き直後と引け前にどのように価格が決まるのかを理解しておくことは、投資判断や注文戦略に直結します。この記事では、楽天証券の解説をもとに、板寄せ方式の基本原理から実際の約定処理の流れまでを詳しく解説します。
すべての証券会社で共通の板に注文が集まるのか?
はい。どの証券会社を使っても、注文は東京証券取引所の共通の「板(オークション形式の注文簿)」に集約され、そこで価格が決定されます。つまり、A証券やB証券といった違いにかかわらず、東証が1つの価格を出すため、始値や終値は全証券会社で統一されたものになります。
したがって、楽天証券の説明にある板寄せのルールは、楽天証券独自のものではなく、東京証券取引所で共通の制度として全国の証券会社に適用されているのです。
板寄せ方式の基本ルールと500円の約定処理について
板寄せ方式では、最も多くの注文がマッチする価格が「約定価格(例:500円)」として選ばれます。ここで「成行注文→指値注文の優先」の原則に従って、注文処理が進みます。
例として、始値が500円に決定した場合。
- まず、500円での約定条件に合致する成行注文をすべて処理
- 次に、500円以下で売りたい注文(例:480円、499円など)と500円以上で買いたい注文(例:510円など)を500円でクロスさせる
したがって、質問2の例で紹介されている「売り成行の残り200株」「500円以下の売り600株」「500円以上の買い800株」もすべて500円で約定するという認識で正解です。
注文数量が偏った場合(例:499円の売りが300株だった場合)の処理
仮に、500円で約定される注文の合計が釣り合わない場合(たとえば、売り注文の方が多いなど)、すべての注文が約定するわけではなく、注文の一部が「未約定」として残ります。
質問3の状況を整理すると。
- 売り成行の残り:200株
- 499円の売り:300株(合計売りは500株)
- 500円以上の買い:800株
この場合、買い注文は800株分ありますが、売りは500株しかないため、買い800株のうち300株分が未約定となります。未約定部分は、その後のザラ場に引き継がれ、価格条件が合えば順次約定されていく仕組みです。
注文の優先順位は以下の通りです。
- 成行注文
- 指値注文のうち、より有利な価格
- 同一価格の場合は注文時間が早い方
つまり、499円での売り注文が300株に増えたとしても、買い注文がそれを上回っていれば、500円での約定自体は変わらず、超過した注文分が一部未約定になるだけです。
板寄せ方式とザラ場の違いを理解して使い分けよう
板寄せ方式とザラ場の違いは、約定のタイミングと方法にあります。
- ザラ場:リアルタイムで注文が対抗し次第、即時に約定
- 板寄せ:指定時刻に一度だけ注文を集約し、最もマッチングが成立する価格で一括処理
とくに寄付(9:00)と引け(15:00)の注文は板寄せ処理されるため、時間ギリギリで出す注文は価格の決まり方に大きく影響することも。これを理解することで、注文の出し方や戦略を柔軟に調整できます。
まとめ:板寄せ方式は市場全体で統一された合理的な価格決定プロセス
板寄せ方式は、東京証券取引所全体に共通して適用されている注文処理ルールです。始値・終値は全証券会社からの注文をまとめて算出され、もっとも公平性・効率性が高い価格が選ばれます。
注文数量のバランスによっては一部の注文が未約定になることもありますが、基本的には同一価格で処理される仕組みです。制度を理解することで、投資判断の質を高め、より戦略的な売買ができるようになります。

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