輸入に大きく依存する日本経済において、円相場(為替レート)はモノの価格、特に食料品や日用品、エネルギー価格に直結します。本記事では、円相場が110円〜120円台のときに物価の上昇圧力がどう変わるのか、また「100円を切る円高」が本当に望ましいのかについて、初心者にもわかりやすく解説します。
円安・円高の基本的な仕組みとは?
為替相場は、1ドル何円という形で表されます。たとえば1ドル=120円なら円安、1ドル=90円なら円高です。円安では、外国からの輸入品が高くなり、円高では安くなります。
たとえば、アメリカから1ドルの商品を輸入する場合、120円のときはそのまま120円のコストですが、100円なら同じ商品を100円で仕入れられるわけです。
円安時の物価への影響:輸入コストが上昇
円安になると、輸入原材料やエネルギー(原油、天然ガスなど)の価格が上昇し、それが最終的に食品や日用品の価格に転嫁されます。これがいわゆる「輸入インフレ」です。
特に120円を超えるような円安水準では、企業努力では吸収しきれないコスト増となり、消費者にとっては実感しやすい値上げが頻発します。
円高になると値段は下がるのか?
一方で、円高(たとえば1ドル=100円)になると、輸入コストは確かに下がりますが、企業が価格をすぐに下げるとは限りません。過去の円高局面でも、価格がすぐ下がった例は少なく、むしろ利益率の回復や内部留保の積み増しに使われるケースが多く見られます。
つまり、円高=即値下げとはなりにくいのです。
モノの値上げ幅と為替の「鈍感帯」
実際には、為替が1ドル=110〜120円の範囲で推移しているとき、企業は多少の円安でも「企業努力」で価格転嫁を避ける傾向があります。このレンジは「為替の鈍感帯」とも呼ばれます。
110円台後半〜120円を超えると、価格改定が目立ち始め、モノの値上げ幅が一段と大きくなるのが一般的です。
「100円を切る円高」は本当に望ましい?
一見消費者にとって有利に見える円高ですが、企業収益が悪化しやすく、株価や雇用にも影響を及ぼします。特に輸出産業(自動車、電機など)にとっては死活問題となり、景気の悪化を招くことも。
消費者物価は下がっても、所得や雇用が不安定になっては元も子もありません。
実例:為替と物価の推移から見る相関
たとえば2022年、円安が急速に進み1ドル=140円台まで下落したとき、食品・電気代・ガス代などの値上げが相次ぎました。
一方で、2011年の東日本大震災後の円高(1ドル=80円台)では、ガソリン価格や輸入品価格が下がったものの、国内景気はむしろ冷え込んだという経緯があります。
まとめ:為替と物価の関係はバランスが重要
円相場が110円台で安定していれば、企業も価格転嫁を控える傾向にあり、モノの値上げ幅は比較的小さく済みます。ただし、過度な円高(100円を切るなど)は、企業活動や雇用への悪影響もあるため、必ずしも「円高が正義」とは言い切れません。
円安と円高のバランスが取れた相場こそ、物価・企業・家計のすべてにとって最も望ましい状況といえるでしょう。

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