日経平均株価(日経225)が大きく上昇すると、「銀行預金に置いていた人は損をしたのではないか」「投資をしないのはもったいない」と感じることがあります。実際、2025年8月28日の日経平均終値は42,828.79円だったのに対し、2026年8月27日は66,131.98円で、約1年間で50%を超える大幅な上昇となりました。[参照:日経平均プロフィル 2025年8月28日] [参照:日経平均プロフィル ヒストリカルデータ]
ただし、株価が上昇したという事実と、「預金を選んだ人が間違っていた」という評価は別問題です。株式と銀行預金では、そもそも期待される収益、元本割れの可能性、お金を使う時期、資産形成における役割が異なります。金融庁も、預貯金・株式・債券・投資信託には安全性・収益性・流動性の違いがあり、すべての面で優れた金融商品はないとして、目的に応じた使い分けを案内しています。[参照:金融庁 資産形成の基本]
日経平均が1年間で50%以上上昇した意味
2025年8月28日の終値42,828.79円と2026年8月27日の終値66,131.98円を単純比較すると、上昇率は約54%です。非常に大きな値上がりであり、この期間を通して日経平均に連動する商品を保有していた投資家には大きな含み益が生じた可能性があります。
例えば100万円を日経平均にほぼ連動する商品へ投資し、手数料・税金・分配金などを考慮せず指数と同じ約54%上昇したと仮定すれば、評価額は約154万円になります。一方、年利1%の預金なら同じ期間の利息は税引前でおおむね1万円です。この期間だけを切り取れば、株式投資側の運用成績が圧倒的だったことになります。
しかし、ここで重要なのが「過去1年間に株価が大幅上昇したこと」と「今後も同じペースで上昇すること」はまったく別という点です。投資判断では、過去の結果を知った状態で当時の選択を評価する「結果論」に注意する必要があります。
投資とギャンブルは同じなのか
株式投資には元本保証がなく、買った価格より値下がりすれば損失が発生します。その意味ではリスクがあります。しかし、株式投資は企業の事業活動に資金を提供し、企業が生み出す利益や成長から配当・値上がり益などのリターンを得ようとする経済活動です。そのため、単純に「投資=ギャンブル」と扱うのは正確ではありません。
一方で、株式であれば何をどのように買っても合理的な投資になるわけではありません。短期間の値動きだけを予想して資金の大半を一銘柄へ投入したり、借入金や高いレバレッジを利用したりすれば、資産を大きく失う危険性も高まります。
金融庁も、株式や投資信託について預貯金より高いリターンを期待できる一方で、元本割れのおそれがあると説明しています。そのうえで、安定的な資産形成の方法として「長期・積立・分散」という考え方を紹介しています。つまり、投資するかしないかだけではなく、どの程度のリスクを取り、どのように投資するかが重要です。
銀行預金には投資とは異なる重要な役割がある
銀行預金の大きなメリットは、収益性よりも安全性と流動性です。金融庁の説明でも、預貯金は安全性と流動性が高い一方、収益性では株式などに劣る金融商品として整理されています。これは欠点というより、金融商品の性格の違いです。
例えば半年後に100万円の自動車購入費が必要な人が、その100万円をすべて株式へ投資するとします。購入直前に株式市場が30%下落すれば70万円になり、予定していた支払いが難しくなる可能性があります。このような近い将来に使う予定のお金については、多少利回りが低くても預金で確保しておく合理性があります。
さらに、日本国内の対象金融機関にある一般預金等は、預金保険制度によって1金融機関につき預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。一定の要件を満たす決済用預金は全額保護されます。[参照:金融庁 預金保険制度]
「株が上がったから預金した人は損」という考え方の落とし穴
投資をしていなかった人には、株価上昇による利益を得られなかったという意味で「機会損失」があります。しかし、機会損失と実際の損失は区別する必要があります。100万円を預金して100万円が残っている人は、株式へ投資していれば得られた可能性のある利益を逃していますが、株価下落によって資金そのものを失ったわけではありません。
反対方向のケースを考えると分かりやすくなります。100万円を投資した直後に株価が30%下落し70万円になったとき、100万円を預金していた人は100万円前後を維持できます。この局面だけを見て「投資した人は負け組」と決めつけることも適切ではありません。その後に株価が回復する可能性があるためです。
つまり、上昇相場の後だけを見れば投資しなかったことが失敗に見え、暴落の後だけを見れば投資したことが失敗に見えるということです。資産形成は数か月や1年間だけではなく、目的と運用期間を含めて考える必要があります。
日経平均が50%上がった後から投資を始めてもよいのか
ここも注意したいポイントです。「1年間で50%上がったのだから、これから投資すれば預金より儲かる」とは限りません。株式の価格は将来の企業業績、金利、為替、景気、海外市場、投資家心理など多数の要因によって変化します。
例えば株価が大きく上昇したニュースを見て資金を一括投入し、その直後に調整局面が来れば、投資開始直後から含み損を抱えることもあります。逆に「高すぎる」と考えて何年も待っている間にさらに上昇することもあります。短期的な高値・安値を正確に予測し続けるのは簡単ではありません。
そのため金融庁は、一定額を継続して購入する積立投資について、高いときだけ買ってしまうことなどを避けやすい方法として紹介しています。また国内株だけではなく、国内外の株式・債券など値動きの異なる資産へ分散することで、特定のリスクによる影響を軽減する考え方も示しています。[参照:金融庁 長期・積立・分散投資]
預金と投資は「どちらか一方」を選ぶ必要はない
資産形成では「全額預金」か「全額投資」かという二者択一で考える必要はありません。むしろ、用途によってお金を分ける考え方が実践的です。
| 資金の目的 | 考えやすい選択肢 | 重視する点 |
|---|---|---|
| 毎月の生活費 | 普通預金など | すぐ使えること |
| 病気・失業などへの緊急予備資金 | 預貯金など | 安全性・流動性 |
| 数年以内に使う予定のお金 | 預貯金などを中心に検討 | 必要時の元本確保 |
| 10年、20年先を想定した資産形成 | 分散された株式・投資信託なども選択肢 | 長期的な収益性 |
例えば300万円の金融資産がある人なら、生活防衛資金や数年以内に使う予定の資金を預金として確保し、当面使う予定のない余裕資金を長期投資へ回す方法があります。どの程度を投資へ回すかは、収入の安定性、家族構成、年齢、住宅購入などの予定、価格下落への耐性によって変わります。
金融庁も「安全性・収益性・流動性の3つとも◎の金融商品はない」と説明しています。預金には預金の役割があり、株式には株式の役割があります。両者を競争させるより、目的に合わせて組み合わせる方が資産管理として理解しやすくなります。
上昇相場ほど「自分も乗らなければ」という心理に注意
株価が短期間で大きく上昇すると、「投資していないと取り残される」という焦りが生まれやすくなります。SNSなどで大きな利益を得た人の投稿を目にすると、その感覚はさらに強くなることがあります。
しかし、目立つのは成功例になりやすく、途中で売却した人、高値で購入して損失を抱えた人、リスクを避ける必要があって預金を選択した人などは見えにくいものです。投資では他人の利益額ではなく、自分がどの程度の損失まで耐えられるかを先に考えることが重要です。
金融市場が大きく変動した際にも、金融庁は個人投資家に対して長期・積立・分散投資の重要性を考慮し、冷静に投資判断を行うことが重要だと案内しています。[参照:金融庁 安定的な資産形成に向けた顧客対応について]
まとめ|株価上昇と「預金か投資か」は分けて考える
日経平均が約1年間で50%を超えて上昇した局面では、その期間に株式を保有していた人が預金より大きなリターンを得られた可能性が高いのは事実です。一方、それだけを理由に銀行預金を選択する人を「負け」と評価することはできません。
預金は高い安全性と流動性を確保するための手段であり、株式などへの投資は価格変動というリスクを負う代わりに長期的な収益を期待する手段です。必要な生活資金まで投資して大きな下落時に売却せざるを得なくなれば、高い期待リターンがあっても適切な資産形成とはいえません。
重要なのは「預金か投資か」ではなく、「いつ使うお金を、どの程度のリスクで運用するのか」です。過去1年間の株価上昇だけで判断せず、生活防衛資金や近い将来に必要なお金を確保したうえで、長期間使わない余裕資金について長期・積立・分散投資を検討するのが、資産形成を考えるうえでの基本的なアプローチになります。
※本記事は一般的な金融・投資に関する情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。株式・投資信託等には元本割れの可能性があります。実際の投資判断は、ご自身の資産状況、投資目的、リスク許容度などを踏まえて行ってください。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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