40代からNISAを始めるなら貯金はいくら投資に回す?教育費がある家庭の資金配分を解説

資産運用、投資信託、NISA

40代になってからNISAを始める場合、まとまった貯金をどこまで投資に回すべきかは悩みやすいポイントです。特に高校生・中学生などの子どもがいる家庭では、大学進学などで近い将来まとまった現金が必要になる可能性があります。そのため、単純に「貯金が多いからNISAへ移したほうが得」と考えるのではなく、使う時期によってお金を分けることが重要です。

NISAは運用益が非課税になる有利な制度ですが、投資した元本が保証される制度ではありません。オルカン(全世界株式)のような株式型の投資信託であれば大きく値下がりする時期もあります。ここでは、40代で教育費を抱える家庭を想定し、貯金とNISAのバランスをどのように考えればよいのか整理します。

まず理解したい「NISAに入れる金額」と「投資できる金額」の違い

NISAは投資商品そのものではなく、一定の条件で投資による利益を非課税にできる制度です。したがって、「NISAだから安全」というわけではありません。NISA口座で全世界株式の投資信託を購入すれば、その価格は株式市場に応じて上下します。

2024年からのNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円となっています。しかし、制度上360万円投資できることと、その家庭が360万円投資して問題ないことはまったく別の話です。

投資額を決める際には、NISAの上限から逆算するのではなく、「当面使わなくても困らない余裕資金はいくらあるか」から逆算するのが基本になります。

高校生・中学生の子どもがいるなら教育費を先に分ける

40代で高校生と中学生の子どもがいる家庭では、老後資金より先に大学などの教育費が発生する可能性があります。高校生の子どもであれば、大学進学まで数年しかないケースもあります。

こうした数年以内に必要になる可能性が高いお金を株式投資へ回すと、必要なタイミングと相場の下落が重なるリスクがあります。例えば大学入学時に150万円必要なのに、その直前に保有する投資信託が30%下落していれば、損失を抱えた状態で売却するか、別の資金を用意しなければなりません。

そのため、入学金、授業料、受験費用、一人暮らしをする場合の初期費用など、数年以内に必要になると見込まれる資金は預貯金などで確保しておくという考え方が重要です。必要額は国公立か私立か、自宅通学か一人暮らしかによって大きく変わるため、家庭ごとに試算する必要があります。

生活防衛資金もNISAとは別に確保する

教育費とは別に残しておきたいのが生活防衛資金です。病気、失業、家電の故障、住宅や自動車の修理など、生活では予想外の出費が発生します。

生活防衛資金に絶対的な正解はありませんが、一般的には生活費の数か月分から1年程度など、自分の収入の安定性や家族構成に合わせて考えます。会社員で収入が比較的安定している家庭と、自営業などで収入変動が大きい家庭では必要な現金の厚みも変わります。

例えば毎月の生活費が30万円で、最低でも6か月分を確保すると決めるなら180万円です。この金額は投資資金ではなく、いつでも使える預貯金として別枠で管理する方法があります。

700万円の貯金がある場合は「残った余裕資金」で考える

まとまった貯金が700万円あるケースでも、「700万円のうち何%を投資すべき」という一律の正解はありません。重要なのは金額ではなく、その700万円に今後どのような役割があるかです。

例えば仮に、今後数年間に必要と見込む教育関連資金として350万円、生活防衛資金として200万円を確保したい家庭なら、700万円からそれらを差し引いた150万円が長期運用を検討できる資金の候補になります。一方、教育資金を別口座ですでに十分確保している家庭なら、700万円から投資へ回せる金額はもっと大きくなる可能性があります。

反対に、700万円が教育費と緊急予備資金を兼ねているのであれば、無理にまとまった金額をNISAへ移す必要はありません。「貯金額」ではなく「近い将来使う予定のない金額」を投資候補にするのがポイントです。

オルカンなら安全というわけではない

「オルカン」と呼ばれる全世界株式型の投資信託は、多数の国・企業へ幅広く分散投資できることが特徴です。一社の株式だけを購入する場合と比較すれば企業固有のリスクを分散できますが、元本保証ではありません。

世界的な株安が発生すれば、全世界株式も大幅に値下がりする可能性があります。長期投資ではそうした下落局面を経験することを前提に、「一時的に30%程度下落しても売らずに保有できる金額か」と考えてみる方法があります。

例えば300万円を投資した直後に30%下落すれば、評価額は約210万円になります。この90万円の含み損を見ても教育費や生活に影響せず、長期間保有できるかどうかは、投資額を考える一つの判断材料になります。

毎月3万円の積立を続けるだけでも立派な運用になる

まとまった貯金があると「早くNISAへ入れなければ損なのでは」と感じることがあります。しかし、無理に一括投資する必要はありません。毎月3万円なら年間36万円であり、10年間の投資元本は360万円になります。

積立投資には、購入時期を分散できるという特徴があります。価格が高い月にも安い月にも一定額を購入するため、一度に大きな金額を投資する心理的負担を抑えやすくなります。ただし、積立投資だから損をしないわけではありません。

まとまった余裕資金がある場合には、一括投資だけでなく「毎月の積立額を少し増やす」「余裕資金を半年や1年などに分けて追加投資する」といった方法もあります。期待収益だけではなく、自分が値動きに耐えられる方法を選ぶことも長期投資では重要です。

一括投資と分割投資はどちらがよいのか

長期的に価格が上昇していく市場を前提とすれば、資金を早く市場へ投入する一括投資のほうが運用期間を長く確保できます。一方で、投資直後に大幅な下落が起きた場合には、一括投資ほど短期的な含み損が大きくなります。

例えば150万円の余裕資金を一度に投資する方法もあれば、毎月25万円ずつ6か月に分ける方法もあります。後者なら購入価格を時間的に分散できますが、その間に相場が上昇し続ければ一括投資より高い価格で購入することになります。

つまり、どちらが必ず得になるかを事前に判断することはできません。投資経験が少なく値下がりへの不安が強い場合には、期待リターンだけを追うより、相場が下落しても投資を続けられる方法を選択する考え方もあります。

40代のNISAでは教育費と老後資金を混ぜないことが重要

40代は教育費が増える時期と老後資金の準備を本格化させる時期が重なりやすい年代です。そのため、「全部まとめて資産形成」と考えるより、目的別に資金を整理すると判断しやすくなります。

資金の目的 使用時期の目安 考え方の例
日常生活・緊急予備資金 いつでも 預貯金など流動性を重視
高校・大学などの教育費 数年以内 必要時期が近い資金は安全性を重視
老後資金 10年以上先 NISAを利用した長期投資を検討

このように目的別に分ければ、「700万円をいくらNISAに入れるか」という問題も整理しやすくなります。先に必要な現金を確保し、その残額のうち長期間使う予定がない部分についてNISAを検討するという順番です。

NISAへ回す金額を決めるためのチェックポイント

投資額を決定する前には、家計全体を確認しておくことが大切です。特に子どもの進学時期が近い家庭では、現在の預金額だけで判断せず、今後数年間の収支を簡単にでも書き出してみると判断しやすくなります。

  • 今後5年程度で必要になる教育費はいくらか
  • 大学は国公立・私立のどちらを想定するか
  • 自宅通学か一人暮らしか
  • 生活防衛資金はいくら残すか
  • 住宅ローンや自動車購入など大きな支出予定はないか
  • NISAへ入れた資金を10年以上使わずに済むか
  • 大幅な値下がりが起きても売却せず保有できるか

これらを確認した結果、余裕資金が50万円しかなければ50万円でも問題ありません。反対に教育費などが別途準備されており、数百万円を長期間使う予定がないのであれば、より多くの資金を長期運用へ回す選択肢も出てきます。

まとめ:700万円の何割ではなく「いつ使うお金か」で決める

40代からNISAを始めること自体は決して遅いとは限りません。ただし、高校生や中学生の子どもがいる家庭では、これから教育費のピークを迎える可能性があるため、貯金を一気に投資へ移す判断には注意が必要です。

教育費、生活防衛資金、数年以内の大きな支出を預貯金として確保し、それらを差し引いても長期間使わない資金が残るなら、その部分をNISAで運用するという順番で考えると家計と投資を両立しやすくなります。

「700万円なら200万円」「貯金の半分」といった割合だけで決めるのではなく、家族の進学予定、収入、毎月の支出、将来の大きな支払いを確認したうえで金額を決めることが大切です。個別の家計に適した金額について判断が難しい場合は、金融商品の販売を前提としないファイナンシャルプランナーなどへ家計全体を含めて相談する方法もあります。

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