ハイロー型・バイナリーオプション型の取引で、負けるたびに賭け金を増やす「マーチンゲール法」を使えば、いつか勝った時点で損失を取り戻せるのではないか、と考える人は少なくありません。さらに1社の取引上限や利用制限が問題なら、複数の事業者を利用すれば理論上続けられるようにも見えます。
しかし、この問題は「資金が足りるか」だけではありません。仮に自己資金が無限にあると仮定しても、現実の取引では1回の最大取引額、口座・サービスの利用条件、取引機会、ペイアウト率などが有限なので、50社へ分散しただけで無限マーチンゲールが成立するわけではありません。
また、利用規約で禁止されている取引を複数口座・複数サービスを使って回避する方法については考えないほうがよいでしょう。本記事では規約回避の手順ではなく、そもそもマーチンゲールが数学的にどのような仕組みで、なぜ複数社へ分散しても期待値そのものを改善できないのかを解説します。
マーチンゲール法とは何か
一般にマーチンゲール法と呼ばれる賭け方は、負けた後の金額を増やし、次の勝利でそれまでの損失を回収しようとする資金管理法です。典型例は、勝てば賭け金と同額の利益を得られるゲームで、1万円、2万円、4万円、8万円というように負けるたび2倍にする方法です。
例えば完全な2倍払いなら、1万円で3連敗すると損失は1万円+2万円+4万円=7万円です。次に8万円を賭けて勝ち、8万円の利益が得られれば、累計では1万円の利益になります。
この仕組みを見ると「勝つまで続けられる資金さえあれば負けない」と感じます。しかし賭け金は指数関数的に増加します。初回を1万円として10回目なら512万円、20回目なら約52億円が1回の賭けに必要になります。連敗数が少し増えるだけで必要額が桁違いになることがマーチンゲールの基本的な弱点です。
ハイロー型取引では単純な2倍掛けでも損失を回収できない場合がある
もう一つ重要なのがペイアウト率です。勝ったときに「賭け金の2倍が戻る」ゲームなら、賭け金1万円について純利益は1万円です。しかしバイナリーオプション型の商品では、商品・取引条件によって支払額の仕組みが異なるため、単純な2倍掛けで前回までの損失を必ず取り戻せるとは限りません。
仮に1万円の取引に対して勝った場合の受取総額が1万9,000円、負ければ投資額を失う条件なら、勝利時の純利益は9,000円です。この条件で1万円負けた後に2万円を投入して勝っても純利益は1万8,000円なので、最初の損失を差し引いた利益は8,000円です。
したがって必要な次回取引額は、単純な「前回の2倍」ではなく、それまでの累積損失とペイアウト条件によって決まります。ペイアウトが不利になるほど、損失回収のために必要な金額は急激に膨らみます。
50社に分散してもマーチンゲールの期待値は変わらない
ここが最も重要なポイントです。A社で負けた後にB社、さらに負けたらC社へ移動したとしても、取引場所を変えること自体は次の取引の勝率や期待値を改善しません。
例えば、同じ条件のゲームを50台の機械で順番に行う場合を考えてみます。1台目で負けたから2台目なら勝ちやすくなるわけではありません。各ゲームが独立しているなら、過去の負けは次の勝率を高めません。
金融商品でも同様で、「10回連続で外れたから次は当たりやすい」という保証はありません。複数社を利用することによって変えられる可能性があるのは取引可能額や商品条件などであり、負けた後に金額を増やす行為そのものが市場予測能力を生み出すわけではありません。
無限資金を仮定しても「無限に賭けられる場所」が必要になる
「資金は無限にある」という純粋な思考実験ならどうでしょうか。理想化された数学モデルでは、資金だけでなく賭け金上限もなく、ゲームを永久に続けられ、相手が必ず支払い、勝率がゼロではなく、取引条件も永遠に変わらない、といった極端な仮定を置けば、マーチンゲールについて特殊な議論ができます。
しかし現実には、自分の資金が仮に無限でも相手側の受入能力は無限ではありません。1回当たりの取引上限がありますし、利用できる事業者数も有限です。50社に増やしたとしても50社は有限なので、全体として受け入れられる取引額にも限界があります。
例えば各社が同じ条件で最大100万円までしか取引を受け付けないと仮定すれば、50社を合わせても同時に利用できる枠は有限です。必要な賭け金が指数関数的に増えるマーチンゲールでは、いずれ必要額がその有限のキャパシティーを超えます。
50社を使うことと50回連続で賭けられることは別問題
「50社あるなら50連敗まで耐えられる」と考えるのも注意が必要です。マーチンゲールで必要になるのは単なる口座数ではなく、増え続ける金額を次の取引で実際に投入できる能力だからです。
初回1円という極端に小さな金額から完全な倍掛けをしたとしても、n回目の賭け金は2のn-1乗になります。30回目で約5.37億円、40回目で約5,498億円、50回目には約562兆円です。初回金額を小さくしても、指数関数的増加そのものからは逃れられません。
つまり「会社を増やす」という発想は、資金量の問題を取引枠の問題へ移しているだけです。マーチンゲールが抱える根本的なリスクを消しているわけではありません。
勝率50%でも長く続ければ連敗は普通に起こる
仮に各取引の勝敗が完全に50対50だとしても、長期間続ければ長い連敗に遭遇する可能性があります。「10連敗なんてほとんど起こらない」と思えても、試行回数そのものを増やせば、どこかで長い連敗列に遭遇する可能性は高くなります。
そしてマーチンゲールは、小さな利益を何度も積み上げる一方で、まれな長期連敗によって非常に大きな損失を発生させる構造になりやすい手法です。勝率が高く見えることと、長期的な期待収益がプラスであることは別問題です。
賭け金の大きさを変えても、元となる取引に優位性がなければ、その資金管理だけで期待値をプラスへ変えることはできません。これはマーチンゲールを評価するときの核心です。
バイナリーオプション型取引では業者リスクにも注意する
金融庁はバイナリーオプションについて、仕組みやリスクを十分理解したうえで取引するよう注意喚起しています。また、海外業者とのトラブルについても注意を呼びかけており、日本の居住者を相手方として金融商品取引を業として行う場合には、原則として金融商品取引業の登録が必要と説明しています。[参照:金融庁 バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!]
したがって「50社使えるか」を考える前に、それぞれがどのような事業者なのか、国内で必要な登録を受けているのか、商品条件・出金条件・利用規約はどうなっているのかを確認する必要があります。
特にマーチンゲール的な取引や複数口座などについてサービス側が制限を設けている場合、その制限を別の事業者や口座を利用して実質的に回避できるかという発想はおすすめできません。利用停止や取引無効などの扱いは各サービスの規約によって異なるため、利用前に最新の規約を確認することが重要です。
マーチンゲールで本当に見るべきなのは「勝率」ではなく期待値
投機的な取引を数学的に考えるなら、「何連敗まで耐えられるか」より先に確認したいのが1回当たりの期待値です。例えば勝率50%で、1万円を失う可能性が50%、勝って得られる純利益が9,000円である確率が50%なら、期待値は0.5×9,000円-0.5×10,000円=マイナス500円です。
このようなゲームで投入額を2倍、4倍、8倍と変更しても、元の期待値が不利であるという性質は消えません。むしろ投入額が大きくなるにつれて、金額ベースの期待損失も大きくなります。
反対に、相場分析によって本当に再現性のある優位性が存在するのであれば、重要なのはマーチンゲールではなく、その優位性を失わない範囲で資金を管理することです。「負けたから次は金額を増やす」というルール自体には、将来の価格方向を予測する情報は含まれていません。
まとめ:50社に分散しても無限マーチンゲールにはならない
マーチンゲールについて「資金が無限ならどうなるか」を考える場合、資金だけを無限にしても十分ではありません。現実に成立させるには、1回の取引上限、取引回数、事業者の支払能力、サービスの継続期間などまで無限でなければならず、現実の金融サービスではその条件を満たせません。
50社へ分散しても、それは有限の取引枠を増やしているだけで、マーチンゲールの数学的な弱点や元の取引の期待値を改善するものではありません。また、ある事業者が禁止している取引方法を別口座・別サービスによって回避することについては、それぞれの最新の利用規約に従う必要があります。
「いつか勝つ」ことと「長期的に利益が残る」ことは別です。ハイロー型・バイナリーオプション型の商品を検討するときは、連敗後の賭け金をどう増やすかではなく、勝率、ペイアウト、1取引当たりの期待値、最大損失、取引上限、事業者の登録状況という基本条件から判断することが重要です。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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