NISAを満額積めないから退職代行モームリを使う?年360万円を埋める必要はない理由と転職・投資の考え方

資産運用、投資信託、NISA

NISAの年間投資枠が大きくなったことで、SNSでは「今年もNISA満額」「最速で1,800万円埋める」といった投稿を目にする機会が増えました。その結果、「自分は満額投資できない」「給料が低いから転職したほうがいいのでは」と焦りを感じる人もいます。

その延長で、退職代行サービス「モームリ」を使って現在の会社を辞め、もっとNISAへ投資できる職場へ転職するという発想が出てくることもあります。

しかし、NISAの年間投資枠は「目標額」でも「ノルマ」でもありません。2026年時点で18歳以上のNISAは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すると最大360万円まで投資できますが、「360万円投資しなければ損をする制度」という意味ではありません。[参照:金融庁]

また、公開されているモームリの利用実績や調査から、「NISAを満額積めないことだけ」を理由に依頼した利用者が実際に何人いるのかを確認できる公的・公式な統計は見当たりません。この記事では、NISA満額を目的に退職・転職する考え方は合理的なのか、モームリはどのような場合に利用するサービスなのか、投資額と仕事をどう切り分けて考えればよいのかを整理します。

  1. 結論:NISAを満額積めないこと自体は、会社を辞める理由にする必要はない
  2. 2026年のNISAはいくらまで投資できる?
  3. NISA満額という言葉が焦りを生みやすい理由
  4. 「NISA枠を使わない=損」ではない
  5. NISAを満額にするため生活費を削るのは本末転倒になりやすい
  6. 退職代行「モームリ」はどのようなサービス?
  7. 「NISAを満額積めない」という理由だけでモームリを使った人はいる?
  8. NISAをもっと積みたいから転職するのは間違い?
  9. 退職代行を使うかどうかと、転職するかどうかは別の判断
  10. 投資目的の転職では「年収」より手取りと固定費を見る
  11. NISA満額に必要な収入はいくら?
  12. 毎月3万円・5万円でも長期間では大きな金額になる
  13. 「5年で1,800万円」と「20年で1,800万円」に税制上の勝ち負けはない
  14. NISAのために仕事が嫌になるなら目的と手段が逆転している可能性がある
  15. 「給料を上げたい」と「NISA満額したい」を分けて考える
  16. 退職前に確認しておきたい生活防衛資金
  17. モームリを利用するときは料金とサービス範囲も確認する
  18. NISAのために転職するなら「満額」ではなく目標額から逆算する
  19. 年収アップ以外にも投資余力を増やす方法はある
  20. SNSの「NISA満額」は家計の一部分しか見えていない
  21. NISAは競争ではなく非課税制度
  22. まとめ:NISA満額を理由だけにモームリを使う必要はなく、退職と投資は分けて判断する

結論:NISAを満額積めないこと自体は、会社を辞める理由にする必要はない

NISAを年間360万円使い切れないこと自体に問題はありません。

年間360万円を投資するには、単純平均すると毎月30万円の投資資金が必要です。手取り収入から家賃、食費、光熱費、税金、社会保険料、交際費、将来の支出に備える現金などを確保したうえで毎月30万円を投資できる世帯は限られます。

例えば毎月3万円なら年間36万円、5万円なら年間60万円です。それでもNISAの非課税メリットを利用できます。

NISAは「満額できる人だけが成功する制度」ではなく、自分の家計に応じた金額で長期的な資産形成に利用する制度です。

2026年のNISAはいくらまで投資できる?

金融庁によると、18歳以上が利用する現在のNISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円です。両方を利用すると年間最大360万円まで投資できます。[参照:金融庁 NISAを知る]

非課税保有限度額は合計1,800万円で、このうち成長投資枠として利用できるのは1,200万円までです。

項目 2026年時点
つみたて投資枠 年間120万円
成長投資枠 年間240万円
年間合計 最大360万円
非課税保有限度額 最大1,800万円
非課税保有期間 無期限

ここで重要なのが「最大」という言葉です。360万円は投資できる上限であって、毎年360万円投資するよう求められているわけではありません。

NISA満額という言葉が焦りを生みやすい理由

SNSでは「満額」「最速5年で1,800万円」といった分かりやすい数字が注目されやすくなります。

年間360万円を5年間投資すれば、制度上は合計1,800万円の非課税保有限度額へ早く到達できます。そのため、資金に十分な余裕がある人にとっては合理的な使い方の一つです。

しかし、この方法は全員にとっての標準ではありません。

例えば年収400万円の人と年収1,500万円の人では、年間360万円が家計に与える負担はまったく異なります。同じ「満額」を目標にしてしまうと、収入や生活条件の差を無視することになります。

「NISA枠を使わない=損」ではない

NISAについて特に誤解されやすいのが、「年間360万円を使わないと、その分のお金を損している」という考え方です。

例えば今年100万円しか投資できず、260万円分の年間投資枠を利用しなかったとしても、260万円を失ったわけではありません。

投資しなかったお金は、預金や生活費など別の形で残ります。

NISAで得られるのは、投資した商品から将来発生する利益や配当などについて一定の範囲で非課税になるメリットです。非課税枠そのものに金銭的価値が確定しているわけではなく、投資すれば必ず利益が出るわけでもありません。

NISAを満額にするため生活費を削るのは本末転倒になりやすい

NISAへ入金するため、食費や医療費を極端に削ったり、必要な現金をほとんど持たなくなったりするのであれば、投資額が家計に対して大きすぎる可能性があります。

例えば現金貯蓄が20万円しかない人が、ボーナス100万円をすべてNISAへ投入した直後に、引っ越しや病気、家電の故障などで50万円必要になったとします。

現金がなければ、相場が下落している時でも投資信託や株を売却しなければならなくなる可能性があります。

投資額を最大化することより、急な支出があっても投資資産を売らずに済む家計を作ることのほうが、長期投資では重要です。

退職代行「モームリ」はどのようなサービス?

退職代行モームリは、本人に代わって勤務先へ退職の意思を伝える退職代行サービスです。

公式サイトでは、退職意思を本人に代わって会社へ伝えるサービスと説明されており、2026年8月時点で累計5万件以上の退職確定実績があるとしています。[参照:退職代行モームリ]

料金は公式サイト上で、正社員・契約社員・派遣社員が22,000円、パート・アルバイトが12,000円と案内されています。[参照:モームリ 特定商取引法に基づく表記]

つまり、NISAや投資を支援するサービスではなく、現在の勤務先を退職したい人の意思伝達を支援するサービスです。

「NISAを満額積めない」という理由だけでモームリを使った人はいる?

2026年8月時点で確認できる公開情報では、「NISAを年間満額投資できないから」という理由だけでモームリを利用した人がどの程度いるのかを示す公式統計は確認できません。

モームリ利用者については、仕事内容や労働条件が事前説明と違った、人間関係やハラスメントがあるといった退職理由を分析した調査が公開されています。

例えば2024年度の新卒利用者1,814人を分析した調査では、入社後早期の退職理由として、求人・面接時に聞いていた労働条件と実際の勤務内容の違いが多かったと報じられています。[参照:ITmedia NEWS]

給与への不満をきっかけに転職を考える人自体は珍しくありませんが、そこから「NISA満額を達成できないこと」を直接的な理由として退職代行を利用したかどうかは、公開データだけでは判断できません。

NISAをもっと積みたいから転職するのは間違い?

一方で、「投資余力を増やしたいから収入の高い仕事へ転職する」という考え方自体は不合理ではありません。

例えば現在の年収が350万円で昇給の可能性も低く、同じ職種で年収500万円の求人へ転職できるなら、生活水準を変えなくても年間投資額を増やせる可能性があります。

ただし、本来の目的は「NISA満額」ではなく、所得やキャリアを改善した結果として資産形成へ回せるお金が増えることと考えるほうが自然です。

360万円という制度上の数字に合わせて仕事を決めるのではなく、自分の労働条件、将来のキャリア、仕事内容、生活時間、収入などを総合的に考える必要があります。

退職代行を使うかどうかと、転職するかどうかは別の判断

「もっと給料の高い会社へ移りたい」と考えたとしても、必ず退職代行を利用する必要はありません。

通常どおり上司や人事へ退職意思を伝えられる環境なら、自分で手続きを進める方法もあります。

一方、強い引き止めを受ける、退職を言い出すことが難しい、会社との直接のやり取りを避けたいなどの事情がある場合に、退職代行という選択肢が検討されます。

モームリも公式サイトで、本人に代わり雇用主へ退職の意思を伝えることをサービス内容として掲げています。[参照:モームリ]

投資目的の転職では「年収」より手取りと固定費を見る

NISAへ回せるお金を増やしたいなら、年収だけで転職先を選ばないことも重要です。

例えば年収が450万円から550万円へ100万円増えても、勤務地変更によって家賃が月5万円増えれば、年間60万円の支出増になります。通勤費や食費なども増えれば、実際の投資余力は思ったほど増えない可能性があります。

反対に、年収はほぼ変わらなくても、在宅勤務が増えて家賃の安い地域へ移れるなら、年間支出が大きく減り、NISAへ回せる金額が増えることもあります。

資産形成では、額面年収ではなく「手取り収入-生活費=投資可能額」で考えるほうが実態に近くなります。

NISA満額に必要な収入はいくら?

「年収○万円なら満額にできる」という明確な基準はありません。家族構成や住宅費によって必要な収入が大きく変わるためです。

年間360万円を投資するなら、月平均30万円を投資へ回す必要があります。

例えば手取り月収50万円で生活費20万円なら、理論上は毎月30万円を投資できます。ただし、税金や大型支出、旅行、車、住宅、教育費などを考えると余裕は小さくなります。

一方、実家暮らしなどで生活費が月8万円程度なら、手取り30万円でも大きな金額を投資できる場合があります。

したがって、「年収が低いからNISA満額できない」と単純に考えるより、収入と支出の両方を見る必要があります。

毎月3万円・5万円でも長期間では大きな金額になる

年間360万円という数字だけを見ると、毎月数万円の積立が小さく感じられることがあります。

しかし毎月3万円なら年間36万円、10年間で元本360万円、20年間なら元本720万円です。

毎月5万円なら年間60万円、10年間で600万円、20年間で1,200万円になります。

さらに運用による利益が生じれば資産額が元本以上になる可能性もあります。一方で投資には元本割れの可能性もあるため、期待利回りだけで将来額を断定することはできません。

NISAでは「毎年いくら埋めたか」より、無理なく何年間続けられるかを見るほうが実用的です。

「5年で1,800万円」と「20年で1,800万円」に税制上の勝ち負けはない

NISAの非課税保有限度額1,800万円を最短で埋めるなら、年間360万円を5年間投資する方法があります。

しかし、1,800万円を必ず5年で投資しなければならないわけではありません。

例えば年間90万円なら20年間で1,800万円です。年間60万円なら30年間で1,800万円になります。

早く投資したほうが市場に資金を置く期間を長くできるというメリットはありますが、そのために生活を圧迫したり、必要な預金まで投資したりするなら別のリスクが生じます。

NISAのために仕事が嫌になるなら目的と手段が逆転している可能性がある

資産形成の本来の目的は、将来の選択肢や生活の安心を増やすことです。

ところが「NISA満額できない自分は遅れている」と考え、仕事に対する不満までNISAの数字だけで評価するようになると、制度が心理的な負担になってしまいます。

例えば仕事内容が好きで、人間関係も良く、生活費を払いながら毎月5万円積み立てられる会社を、年間360万円投資できないという理由だけで辞める必要があるとは限りません。

反対に、低賃金だけでなく長時間労働やキャリア停滞などにも不満があり、より条件の良い仕事へ移れる見込みがあるなら、転職を検討する合理性があります。

「給料を上げたい」と「NISA満額したい」を分けて考える

転職判断では、理由を一度分解すると考えやすくなります。

考えていること 本当に確認したいこと
NISA満額できない 現在の積立額で将来の目標に届かないのか
給料が低い 同業他社より給与水準が低いのか
会社を辞めたい 給与以外にも仕事内容・労働時間・人間関係など問題があるか
モームリを使いたい 自分で退職意思を伝えることが困難なのか

このように分けると、「NISAを満額にできないから退職代行」という一直線の判断ではなく、それぞれ別の問題として解決できます。

退職前に確認しておきたい生活防衛資金

資産形成を目的に転職する場合、退職直後の現金不足には特に注意が必要です。

次の勤務先が決まっていない状態で退職すると、給与収入が一時的になくなります。健康保険や年金、住民税、家賃などの支払いは続きます。

NISAに大量の資金を入れていても、生活費の支払いに利用するには投資商品を売却して現金化する必要があります。相場が下落していれば損失を確定する可能性もあります。

そのため退職や転職を考える場合は、NISAへの追加投資より先に、転職期間中の生活費を現金で確保しておくことが重要です。

モームリを利用するときは料金とサービス範囲も確認する

退職代行は無料サービスではありません。

モームリの公式料金は2026年8月時点で、正社員・契約社員・派遣社員22,000円、パート・アルバイト12,000円です。公式規約では原則としてサービス利用開始前に料金を支払う仕組みとなっており、「モームリあと払い」も案内されています。[参照:モームリ利用規約]

また、退職意思を伝達することと、未払い残業代などを巡って勤務先と法律上の交渉をすることは別問題です。個別に法的交渉が必要なケースでは、弁護士など適切な専門家への相談が必要になる場合があります。

利用する場合は、「会社と直接話さず退職意思を伝えてほしい」という自分の目的と、サービス内容が合っているかを確認するとよいでしょう。

NISAのために転職するなら「満額」ではなく目標額から逆算する

資産形成を理由の一つとして転職するなら、「年間360万円投資したい」から考えるより、将来必要な資産額から逆算する方法があります。

例えば老後資金として今後25年間で一定額を形成したいのであれば、現在の資産、毎月の投資額、想定期間などから必要な積立額を考えます。

その結果、現在毎月5万円積み立てられており、目標達成に十分な見込みがあるなら、NISA枠が余っていても問題ありません。

逆に必要な積立額が月10万円なのに現状2万円しか投資できないのであれば、転職、副業、固定費削減などによって余力を増やす意味が出てきます。

年収アップ以外にも投資余力を増やす方法はある

NISAへ入れられるお金を増やす方法は、退職・転職だけではありません。

  • 通信費や保険など固定費を見直す
  • 住宅費を抑える
  • 不要なサブスクリプションを整理する
  • 昇給・昇格を目指す
  • 条件が合えば副業を検討する
  • ボーナスの一部だけを投資する
  • 転職して手取りを増やす

例えば固定費を月2万円減らせれば年間24万円です。これをNISAへ回せば、転職しなくても積立額を増やせます。

もちろん、現在の給与水準そのものが仕事内容に比べて低いのであれば、転職市場を確認することにも意味があります。

SNSの「NISA満額」は家計の一部分しか見えていない

他人のNISA投資額を見るときに忘れやすいのが、その人の家計全体は見えないという点です。

年間360万円投資している人でも、高収入なのか、実家暮らしなのか、過去の預金を投資へ移しているのか、配偶者の収入があるのか、相続資産があるのかは投稿だけでは分かりません。

同じ年収でも、子どもがいる世帯と単身世帯、住宅ローンがある人と実家暮らしの人では投資余力がまったく違います。

したがって、他人の年間投資額をそのまま自分の目標にする合理性はあまりありません。

NISAは競争ではなく非課税制度

NISAにはランキングも合格ラインもありません。

年間10万円しか利用しない人も、年間360万円利用する人も、制度のルールに従って投資している点では同じです。

金融庁もNISAについて、長期的な資産形成を支援する制度として案内しており、年間投資枠を使い切ることを利用条件にはしていません。[参照:金融庁]

「満額にできたか」ではなく、自分の生活を維持しながら適切なリスクで資産形成を続けられているかを基準にするほうが現実的です。

まとめ:NISA満額を理由だけにモームリを使う必要はなく、退職と投資は分けて判断する

NISAを満額積めないことを理由に退職代行モームリを利用した人が実際にいる可能性は否定できませんが、「NISA満額にできないこと」を直接の利用理由とした人数を示す公式な公開統計は、2026年8月時点では確認できません。

モームリは、本人に代わって勤務先へ退職意思を伝える退職代行サービスです。公式サイトでは累計5万件以上の退職確定実績を掲げ、料金は正社員・契約社員・派遣社員22,000円、パート・アルバイト12,000円としています。[参照:退職代行モームリ]

一方、NISAは2026年時点で、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合わせて年間最大360万円まで利用できます。しかし360万円は上限であって、達成すべきノルマではありません。[参照:金融庁]

年間36万円でも60万円でも、自分の家計に合った範囲でNISAを利用できます。枠を使わなかったからといって、その金額を失うわけでもありません。

現在の給与が低く、将来の資産形成目標を達成できないのであれば、転職によって収入を増やすことは有力な選択肢です。しかし判断基準は「NISAを満額にできる会社か」だけではなく、手取り、生活費、仕事内容、労働時間、福利厚生、キャリア、転職後の安定性などを総合的に見る必要があります。

また、転職することと退職代行を使うことも別の判断です。通常どおり退職できるのであれば自分で手続きを進める方法があり、会社との直接のやり取りが難しい事情がある場合に退職代行を検討するという順序で考えられます。

NISAは生活を豊かにするための制度であり、NISAの枠を埋めるために生活や仕事を無理に制度へ合わせる必要はありません。投資可能額を増やしたいなら、まず自分に必要な積立額を確認し、そのうえで収入アップ、転職、固定費削減など最も合理的な方法を選ぶことが大切です。

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