AUD/円と米ドル/円はスワップポイント狙いならどちらが有利?金利差・為替変動・実質利回りで比較

外国為替、FX

FXでスワップポイントを狙う場合、AUD/円(豪ドル/円)と米ドル/円はどちらも代表的な選択肢です。しかし「1日にもらえるスワップが多い通貨ペア=必ず有利」とは限りません。

スワップポイントは各国の金利動向を強く反映しますが、実際の付与額はFX会社ごとに異なり、日々変動します。さらに為替差損が発生すれば、何か月分ものスワップ利益が短期間で消えることもあります。

2026年8月時点では、豪州準備銀行(RBA)のキャッシュレート目標は4.35%、米連邦準備制度(FRB)のFF金利誘導目標は3.50~3.75%、日本銀行は無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.75%程度とする金融政策を採っています。政策金利だけを単純比較すると、現在は豪州のほうが米国より高い状態です。ただし、これだけでAUD/円の実際のスワップが必ず米ドル/円より高いとは決まりません。

AUD/円と米ドル/円のスワップは何で決まる?

FXのスワップポイントは、2通貨間の金利差などを背景として発生する受け払いです。一般的には金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買うポジションではスワップを受け取る方向になりやすくなります。

例えば円より豪ドルの金利が高い環境でAUD/円を買えば、豪ドルを買って円を売るポジションとなります。米ドル/円の買いも同様に、米ドルを買って円を売る取引です。

ただしFX会社が提示するスワップポイントは「海外の政策金利差をそのまま受け取れる」という仕組みではありません。短期金融市場の金利、為替市場の需給、FX会社の調達コストなども関係するため、比較するときは利用するFX会社が実際に公表している最新のスワップ実績を見る必要があります。

2026年8月の政策金利では豪州が米国を上回る

2026年8月12日時点でRBAのキャッシュレート目標は4.35%です。RBAは2026年に3回の利上げを行っており、8月会合では4.35%で据え置きました。[参照:Reserve Bank of Australia]

一方、FRBは2026年7月のFOMCでFF金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置いています。[参照:Federal Reserve Board]

日本銀行は2026年に無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.75%程度とする政策を採っています。[参照:日本銀行]

国・地域 2026年8月時点の主な政策金利
オーストラリア 4.35%
米国 3.50~3.75%
日本 0.75%程度

したがって政策金利の単純な差だけなら、現在はAUD/円のほうが円との金利差が大きく見えます。ただし、この表から実際のスワップ付与額を直接計算することはできません。

スワップ金額だけなら必ずAUD/円が有利とは限らない

政策金利で豪州が米国を上回っていても、あるFX会社で「AUD/円の買いスワップが米ドル/円より必ず多くなる」とは限りません。FX会社によって提示条件が違ううえ、通貨ペアごとの市場金利や需給も影響するためです。

また「1万通貨あたり○円」という表示だけを比べる場合にも注意が必要です。1万豪ドルと1万米ドルでは、ポジションを持つための円換算元本が異なります。

例えば仮に1豪ドル=100円なら1万豪ドルは約100万円、1米ドル=150円なら1万米ドルは約150万円です。仮に1日あたりのスワップが同じ100円でも、投じている想定元本に対する収益率は異なります。そのため、純粋に運用効率を比較するなら「1万通貨あたりの受取額」だけでなく、円換算したポジション金額に対するスワップ利回りを見る必要があります。

AUD/円と米ドル/円では値動きの特徴も違う

AUD/円は豪州の金融政策だけでなく、資源価格、中国を含むアジア経済、世界的なリスク選好などの影響を受けやすい通貨ペアです。豪ドルは市場がリスク回避へ傾いた局面で売られることもあります。

米ドルは世界の主要な準備通貨であり、米ドル/円は世界でも取引量の大きな通貨ペアです。FRBと日銀の金融政策、米国の雇用・インフレ・景気指標、米国債利回りなど、多くの材料によって動きます。

どちらが安全という意味ではありません。例えば年間5万円のスワップを受け取ったとしても、保有している通貨の円換算価値が10万円下落すれば、評価損益を含めたトータルではマイナスです。スワップ投資ではこの点が非常に重要です。

スワップ狙いではレバレッジを低くすることが重要

高金利通貨のスワップ運用で大きなリスクになるのが、レバレッジを高くしすぎることです。スワップを増やすために保有数量を増やせば、為替レートが逆方向へ動いたときの損失も同じように拡大します。

例えば1万通貨を保有している場合、対象通貨が円に対して1円下落すれば、単純計算で約1万円の為替差損になります。5円なら約5万円です。1日100円のスワップを受け取るケースなら、1円の下落だけで約100日分に相当するスワップ利益が失われる計算です。

スワップポイントは毎日少しずつ積み上がる一方、為替差損は短期間に大きく発生する可能性があります。長期保有を考えるほど、強制ロスカットを避けられる余裕のある証拠金管理が重要になります。

どちらを選ぶかは「将来の金利差」も考える

スワップポイントを長期的に受け取るなら、現在の金利だけではなく、FRB・RBA・日銀が今後どの方向へ政策金利を動かす可能性があるかも重要です。

例えばRBAが将来利下げし、日銀が利上げすればAUD/円の金利差は縮小します。FRBが利下げして日銀が利上げする場合も、米ドル/円の金利差は縮小する方向です。金利差が小さくなれば、一般的には受取スワップにも低下圧力がかかります。

反対に金利差が拡大する政策変更が行われれば、スワップ環境が改善する可能性があります。現在のスワップが高いから数年間同じ金額を受け取れる、と仮定して将来利益を計算するのは避けたほうがよいでしょう。

AUD/円と米ドル/円を比較するときのチェックポイント

実際にスワップ運用先を決める場合は、少なくとも次の項目を同じ条件で比較すると判断しやすくなります。

  • 利用するFX会社の直近1か月程度の買いスワップ実績
  • 1万通貨ではなく円換算元本に対する実質的なスワップ利回り
  • 買値と売値のスプレッド
  • 過去の為替変動幅
  • FRB・RBA・日銀の金融政策見通し
  • 必要証拠金と実際に使うレバレッジ
  • 急落してもロスカットされない資金余力

特にスワップポイントはFX会社ごとの差が大きくなることがあります。「AUD/円と米ドル/円のどちらが有利か」という比較だけではなく、「どのFX会社で、どの程度の資金を使い、何通貨保有するか」まで含めて比較することが大切です。

まとめ:現在の政策金利差ではAUD/円が優位でも、実際のスワップと総合損益で判断する

2026年8月時点では、RBAの政策金利は4.35%、FRBは3.50~3.75%、日銀は0.75%程度となっており、政策金利を単純比較するとAUD/円のほうが円との金利差は大きい状況です。

しかし、実際のスワップポイントは政策金利差そのものではなく、FX会社や市場環境によって変わります。そのため「現在は豪州の政策金利が高い=AUD/円を買えば必ず米ドル/円より儲かる」と判断することはできません。

スワップ運用では、最新の実際の付与額を比較したうえで、円換算元本に対する利回り、為替変動リスク、将来の金利政策、レバレッジまで考えることが重要です。数か月から数年保有するのであれば、受取スワップだけではなく「スワップ損益+為替差損益」のトータルでAUD/円と米ドル/円を比較するのが基本となります。

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