子どもの教育資金を準備する方法には、子供保険・学資保険・預貯金・投資信託などさまざまな選択肢があります。さらに2027年からは、NISAのつみたて投資枠が0~17歳にも拡大されるため、すでに子供保険を契約している家庭では「今の保険を続けるのか、解約してNISAによる運用へ切り替えるのか」という新しい選択肢が生まれます。
ただし、保険とNISAはそもそもの役割が違います。単純に「NISAのほうが増えそう」という理由だけで解約すると、死亡時の保障を失ったり、必要な時期に相場が下落していたりする可能性があります。反対に、保障が十分に確保できている家庭では、残りの保険料と将来受取額を計算すると、保険を継続する経済的メリットが小さいケースもあります。
この記事では、13歳前後の子どもがいる家庭を例に、子供保険を継続する場合と2027年からの未成年向けNISAを利用する場合について、比較するときの考え方を整理します。
2027年から0~17歳もNISAのつみたて投資枠を利用できる
2026年度税制改正により、NISAのつみたて投資枠について年齢要件が撤廃され、2027年から0~17歳も対象となります。金融庁によると、0~17歳については年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円とされています。旧制度の「ジュニアNISA」がそのまま復活するわけではなく、現在のNISA制度のつみたて投資枠を未成年者にも広げる仕組みと理解すると分かりやすいでしょう。[参照]
対象となるのは長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託です。18歳以上のNISAにある成長投資枠を未成年者が同じように利用できるわけではない点にも注意が必要です。
また、未成年者の資産である以上、自由に親のお金として出し入れする制度ではありません。金融庁が公表している制度概要では、12歳以降について、子どものために資金を使用し、子どもの同意を得るなど一定の要件を満たした場合に親権者等による払出しが可能とされています。[参照]
子供保険とNISAは「保障」と「投資」という根本的な違いがある
比較するときに最も重要なのは、子供保険とNISAを単純な利回りだけで比べないことです。子供保険には、契約内容によって契約者である親が死亡した場合などに以後の保険料が免除され、それでも所定の満期保険金などを受け取れる保障があります。
一方、NISAは保険ではありません。親に万一のことがあっても、それまで投資した資産は残りますが、その後の積立資金が自動的に補填されるわけではありません。
例えば、毎月8,715円をあと9年間積み立てる予定だった家庭で、親が数年後に亡くなったとします。保険料払込免除が適用される契約なら、その後の保険料を支払わなくても契約上の給付を受けられる可能性があります。NISAの場合は、このような保障機能はないため、死亡保障が必要なら生命保険などで別途備える必要があります。
| 比較項目 | 子供保険 | 子どものNISA |
|---|---|---|
| 主な目的 | 保障+資金準備 | 長期の資産形成 |
| 将来の金額 | 契約内容に基づく | 運用結果によって変動 |
| 元本割れ | 途中解約などで起こり得る | 相場下落で起こり得る |
| 親の死亡時の保障 | 払込免除等がある商品もある | 基本的になし |
| 運用益 | 契約による | NISA対象資産の利益は制度上非課税 |
13歳で残り9年なら「これまで払った金額」より「今日から先」を比較する
長期間保険料を支払ってきた場合、「13年間も払ったのだから今さら解約するのはもったいない」と考えがちです。しかし、金融面で今後の選択を比較するときは、過去に払った金額ではなく、現在から先に支払う金額と受け取れる金額を比較することが重要です。
具体例として、現在の解約返戻金が約122万円、満期まで残り9年、月額保険料が8,715円だとします。単純計算すると、今後支払う保険料は8,715円×12か月×9年=約94万1,220円です。
仮に満期時の受取総額が約210万円で、現在解約すると122万円を受け取れるのであれば、現在から満期まで待つことで増える受取額は単純比較で約88万円です。一方、これから支払う保険料は約94万円です。この数字だけを見ると不思議に感じるかもしれませんが、保険料には死亡保障などの保障コストが含まれる場合があり、単純な貯蓄商品とは構造が異なります。
なお、実際の契約では祝い金の据置額、配当、満期保険金、解約返戻金、払込免除条件などによって計算が変わります。したがって、保険会社から「現在解約した場合の受取額」「今後支払う保険料総額」「満期時の確定受取額」「満期時の非確定部分」をそれぞれ確認してから比較するのが確実です。
122万円をNISAへ移せば必ず210万円以上になるわけではない
NISAについて特に注意したいのが、NISAそのものに資産を増やす機能があるわけではないことです。NISAは投資によって生じた利益を一定の条件で非課税にする制度であり、実際の損益は購入した投資信託などの値動きによって決まります。
例えば株式を中心とする投資信託へ資金を投じれば、9年間で大きく増える可能性があります。一方で、大学進学や就職など資金を使いたい時期の直前に株式市場が大幅下落すれば、元本を下回る可能性もあります。
特に教育資金では「何年運用できるか」だけでなく「何年後に必ず使うお金なのか」が重要です。22歳まで使わない資金なら約9年間ありますが、18歳の大学進学時に必要なら実質的な運用期間は約5年間しかありません。5年程度で確実に必要になる資金を全額株式型投資信託へ投入する方法は、値下がりリスクを十分考慮する必要があります。
「保険を全部継続」か「全部解約して投資」の二択にする必要はない
家計の見直しでは、極端な二択にする必要はありません。教育費のうち絶対に減らしたくない部分を預貯金や保険などで確保し、長期間使わない余裕資金をNISAで運用する方法もあります。
例えば大学入学まで5年しかないなら、入学金や初年度授業料として確保したい資金は価格変動の小さい方法で準備し、22歳以降に渡す予定の資金は長期投資に回す、といった分け方が考えられます。
また、子供保険を解約する前には親自身の死亡保障も確認します。十分な預貯金や別の生命保険があり、親に万一のことがあっても教育資金を確保できる家庭と、子供保険の払込免除が重要な保障になっている家庭では、同じ契約でも判断が変わります。
子どものための保険は「何に備えるか」で考える
子どもがいるからといって、すべての家庭に同じ保険が必要になるわけではありません。子ども本人の医療費については自治体の子ども医療費助成制度が利用できることも多いため、民間医療保険の必要性は居住地域の制度や家計状況も含めて検討します。
一方、家計への影響が特に大きいのは、子ども自身よりも収入を支えている親に万一のことが起きるリスクです。親が亡くなった場合の生活費・教育費について、公的な遺族年金、勤務先の保障、預貯金、生命保険などでどこまで賄えるのかを確認すると、必要な死亡保障額を考えやすくなります。
つまり、「子供保険を解約してよいか」を判断する際にも、単に保険商品の返戻率を見るのではなく、その契約をなくした後でも必要な保障が残るかを確認することが大切です。
解約前に確認しておきたい5つの数字
長年続けてきた保険を見直す場合は、感覚ではなく数字を並べると判断しやすくなります。保険会社に問い合わせ、少なくとも次の内容を確認するとよいでしょう。
- 今日解約した場合の解約返戻金
- 満期までに今後支払う保険料の総額
- 満期時に確実に受け取れる金額
- 祝い金・据置金・配当などを含めた受取見込額と、そのうち保証されていない部分
- 契約者死亡時などの保険料払込免除・死亡保障の内容
この5項目が分かれば、「今122万円を受け取って別の方法で管理するケース」と「今後約94万円を払いながら契約を満期まで維持するケース」を、かなり具体的に比較できます。
さらにNISAへ移す場合は、資金の名義や贈与税の扱いも確認しておきたいポイントです。親のお金を子どもの資産として拠出する場合には、金額や他の贈与との関係によって税務上の検討が必要になることがあります。大きな金額を移す場合は、税務署や税理士などに確認すると安心です。
まとめ:保険と子どもNISAは「どちらが得か」ではなく目的で使い分ける
2027年からNISAのつみたて投資枠が0~17歳にも拡大されることで、子どもの将来資金を準備する選択肢は広がります。0~17歳では年間60万円、非課税保有限度額600万円という枠が設けられるため、長期的な資産形成には有力な選択肢の一つです。
ただし、子供保険は保障、NISAは投資という違いがあります。NISAなら必ず保険より増えるわけでも、保険を続ければ必ず経済的に有利になるわけでもありません。
すでに長期間加入している保険については、過去に支払った保険料にとらわれず、「現在の解約返戻金」「これから払う保険料」「満期まで継続した場合の受取額」「失う保障」の4点を基準に比較するのが合理的です。そのうえで、数年以内に必要な教育資金は安全性を優先し、長期間使わない余裕資金はNISAで積立・分散投資するなど、目的ごとに資金を分ける方法も検討できます。
制度や商品の条件は変更される場合があります。NISAについては金融庁[参照]、現在加入している保険については保険会社が発行する契約概要・設計書などで最新条件を確認したうえで判断することが大切です。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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