SBI証券でNISA口座を申し込み、仮開設中に商品を購入した後で、楽天証券など別の金融機関にすでにNISA口座があることが判明するケースがあります。NISAは原則として同一年に1人1金融機関で利用する制度であるため、この場合はSBI証券で先に購入した商品が、そのまま後からNISA扱いになるとは限りません。
特に重要なのが、SBI証券の「仮開設」と税務署による本審査の関係です。さらに、楽天証券からSBI証券へ金融機関を変更すれば過去の買付までNISAになるのか、今年から変更できるのか翌年からになるのかも分けて考える必要があります。ここではNISAの金融機関変更と仮開設中の買付について、制度上の仕組みを整理します。
NISA口座は同じ年に複数の金融機関で利用できない
NISAでは、同じ年に複数の金融機関を使って新たなNISA投資を行うことはできません。例えば楽天証券でその年のNISAを利用する状態になっている一方で、SBI証券でも同じ年のNISA口座を新規開設し、両方で非課税投資をするという使い方はできません。
そのためSBI証券へNISAを申し込んでも、税務署で確認した結果、すでに他の金融機関にNISA口座があることが判明すると、SBI証券でのNISA口座開設が認められないことがあります。
SBI証券では税務署での審査が完了する前でもNISA取引を始められる「仮開設」の仕組みがあります。ただし仮開設は、本開設が確定したという意味ではありません。SBI証券も、他の金融機関ですでにNISA口座を開設している場合などには税務署の審査が非承認となり、仮開設されたNISA口座が無効になると案内しています。[参照:SBI証券 NISAの始め方]
SBI証券の仮開設中に買った商品はどうなる?
ここは非常に重要なポイントです。SBI証券によると、仮開設中にNISA預りとして商品を購入したものの、その後の審査で他社にNISA口座があることなどが判明してSBI証券のNISA口座が無効になった場合、その商品は当初から「一般口座」で購入したものとして扱われます。
つまり、後から楽天証券からSBI証券へNISAの金融機関変更を行ったとしても、仮開設中に買った商品がさかのぼってSBI証券のNISA商品になるわけではありません。NISA口座が無効になった時点で、その買付については課税口座である一般口座の取引として扱われるのが基本です。
さらにSBI証券では、制度上、これを特定口座で買ったものとして処理することもできないと案内しています。利益や配当・分配金などが発生した場合には課税関係が生じ、取引状況によっては確定申告が必要になる可能性があります。[参照:SBI証券 NISA口座の仮開設について]
楽天証券からSBI証券へ変更すれば購入済み商品もNISAになる?
NISAの金融機関は所定の手続きを行うことで変更できます。しかし、金融機関を変更したからといって、すでに課税口座で保有している商品を後からNISA口座へ移すことはできません。
例えばSBI証券の仮NISA口座で10万円分の投資信託を購入し、その後に楽天証券でNISA口座を開設済みだったことが判明したとします。SBI証券のNISA開設が無効となれば、その10万円分の商品は一般口座扱いになります。その後、正式な手続きを経てSBI証券をNISA金融機関に変更できたとしても、すでに一般口座扱いになった10万円分の商品が自動的にNISAへ移されるわけではありません。
NISA口座へ入れられるのは、原則としてNISA口座で新たに買い付けた対象商品です。この「すでに持っている商品」と「金融機関変更後に新しくNISAで買う商品」を分けて考えると理解しやすくなります。
今年からSBI証券へ変更できるとは限らない
楽天証券からSBI証券へNISAを変更するときは、「いつ変更するか」も重要です。金融庁によると、NISAの金融機関変更は可能ですが、変更前の金融機関のNISA口座でその年にすでに上場株式や投資信託などを受け入れている場合、その年分について金融機関を変更することはできません。[参照:金融庁 NISAのよくある質問]
例えば2026年に楽天証券のNISA口座ですでに投資信託を購入している場合、原則として2026年分を途中からSBI証券へ変更することはできません。この場合は、2027年分からSBI証券を利用するための金融機関変更を検討する形になります。
反対に、楽天証券にNISA口座自体はあるものの、その年のNISA枠をまだ使用していない場合には、その年から金融機関を変更できる可能性があります。手続き時期などの条件もあるため、実際の変更可否は楽天証券とSBI証券の案内を確認することが大切です。
NISAの金融機関を変更しても既存の商品は移管できない
もう一つ混同しやすいのが「NISA口座を変更すること」と「保有商品を移すこと」の違いです。金融機関を変更できても、変更前の金融機関のNISA口座で保有している商品を、変更先のNISA口座へNISA扱いのまま移管することはできません。
例えば楽天証券のNISAで投資信託Aを保有したまま、翌年からSBI証券へNISA金融機関を変更することは可能です。この場合、楽天証券で保有している投資信託Aは楽天証券側のNISA口座で引き続き保有し、変更後の年から新規投資をSBI証券のNISAで行うという形になります。
SBI証券も、NISA口座内の商品を他の金融機関のNISA口座へ移管することはできないと案内しています。そのため「NISA金融機関を変更すれば、NISAの商品も全部新しい証券会社へ移る」という仕組みではない点に注意しましょう。
仮開設中に買ってしまった場合に確認しておきたいこと
SBI証券からNISA口座を開設できなかったという通知を受け取った場合は、まずSBI証券の口座画面で、購入した商品の預り区分がどのように処理されているか確認することが重要です。仮開設が無効になった場合、処理が完了するまで一時的に取引が制限される場合もあります。
また、一般口座へ訂正された商品について売却益や配当・分配金が発生している場合は、税務上の扱いも確認しておきましょう。一般口座は特定口座とは異なり、証券会社が年間の損益計算や納税まで自動的に行ってくれる仕組みではないため、状況によっては自分で損益を確認して確定申告する必要があります。
そのうえで、今後SBI証券でNISAを利用したい場合は、現在のNISA金融機関である楽天証券側で金融機関変更に必要な手続きを行い、SBI証券側で変更手続きを進めます。変更する年に楽天証券のNISA枠をすでに使用しているかどうかによって、変更可能な年が変わる点にも注意が必要です。
まとめ:仮NISAでの買付と金融機関変更は別々に考える
SBI証券のNISA仮開設中に商品を購入し、その後、楽天証券など他社にNISA口座があることが判明して本開設できなかった場合、SBI証券でのNISA取引は無効となり、購入済みの商品は原則として当初から一般口座で購入したものとして扱われます。
その後に楽天証券からSBI証券へNISA金融機関を変更しても、仮開設中に購入して一般口座扱いとなった商品が、さかのぼってNISA扱いになるわけではありません。また、その年に楽天証券のNISAですでに買付をしている場合は、その年分についてSBI証券へ変更できない点も重要です。
NISAでは「どの金融機関にNISA口座があるか」「今年すでにNISAで買付をしたか」「仮開設中の商品が現在どの預り区分になっているか」の3点を確認すると状況を整理しやすくなります。個別の処理状況は口座ごとに異なる可能性があるため、SBI証券の重要なお知らせや取引履歴を確認し、不明な場合はSBI証券へ問い合わせたうえで金融機関変更を進めるのが安全です。
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