オルカンは円高になると大損する?為替の影響と20年の長期投資で考えたい対策を解説

資産運用、投資信託、NISA

全世界株式に分散投資できる、いわゆる「オルカン」を長期保有する場合でも、為替相場は運用成績に影響します。特に日本円で基準価額が表示される為替ヘッジなしの全世界株式ファンドでは、円高になると海外資産の円換算価値が低下するため、株価が変わらなくても基準価額が下がることがあります。

ただし、「円高になったら必ず大損する」というほど単純ではありません。全世界株式への投資では、為替だけでなく世界各国の株価、企業利益、配当、国・地域ごとの構成比など複数の要因が運用結果を左右します。20年程度の長期運用を想定するなら、短期的な為替予想よりも、どの程度の為替変動なら保有を続けられるかという視点が重要です。

オルカンはなぜ円高の影響を受けるのか

一般に「オルカン」と呼ばれる全世界株式型の商品には日本株も含まれていますが、資産の大部分は海外株式です。海外企業の株価がドルなどの外貨で変わらなくても、外貨を円に換算するときの為替レートが変化すれば、日本円で見た資産価値も変動します。

単純化した例を考えてみましょう。1ドル150円のときに100ドル相当の海外資産があれば、日本円では1万5000円相当です。その後も海外資産が100ドルのままで、為替だけが1ドル120円まで円高になった場合、円換算では1万2000円相当になります。このケースでは海外株そのものが値下がりしていなくても、円換算額は20%低下します。

反対に1ドル150円から180円へ円安になれば、100ドルの資産は1万8000円相当になります。このため、為替ヘッジなしの海外資産は円高が逆風、円安が追い風になりやすいと理解すると分かりやすいでしょう。

円高になっても必ず大損するわけではない

為替の影響だけを取り出すと円高はマイナスですが、実際の投資信託の値動きでは株価と為替が同時に動きます。そのため「円高=基準価額が必ず下落」という関係ではありません。

例えば、為替によって円換算価値が10%程度押し下げられても、同じ期間に海外株式が20%程度上昇すれば、その他の要因を無視した単純計算では株価上昇の効果が為替のマイナスを上回ります。反対に、世界的な株安と円高が同時に起これば、円ベースの評価額が大きく下落する可能性があります。

したがってオルカンのリスクを考える際には、為替リスクだけを見るのではなく、株価変動リスクと為替変動リスクの両方があると考える必要があります。

20年の長期投資なら為替を気にしなくてもいい?

20年という長期投資でも為替リスクそのものが消えるわけではありません。20年後の売却時に現在より大幅な円高になっていれば、その時点の円換算評価額にはマイナス要因となります。「長期なら為替は関係ない」と断定するのは適切ではありません。

一方で、20年間の為替レートを正確に予測して売買タイミングを決め続けることも現実的には困難です。円高になる時期、円安になる時期、その幅まで事前に当てる必要があるためです。

毎月一定額を積み立てる場合には、円高局面では同じ円資金から相対的に多くの海外資産を取得しやすくなります。積立期間中の円高は保有資産の評価額には逆風である一方、これから購入する資産については必ずしも悪いことばかりではありません。

為替が心配な場合に考えられる4つの対策

為替変動を完全になくす必要があるとは限りませんが、円高による評価額の変動が心理的に耐えられない場合には、資産配分を調整する方法があります。代表的な考え方を整理すると次のようになります。

方法 期待できること 注意点
円預金・個人向け国債などを組み合わせる 円建て資産の比率を高められる 株式だけの場合より期待リターンが低下する可能性
日本株を追加する ポートフォリオの日本株比率を高められる 日本株固有のリスクが増える
為替ヘッジ型の商品を利用する 為替変動の影響を抑えやすい ヘッジコストなどを考慮する必要がある
積立を続ける 購入時期と為替水準を分散できる 為替リスクそのものが消えるわけではない

どの方法が適切かは、投資期間や生活資金、リスク許容度によって異なります。特に長期投資では「円高を予想して対策する」というより、円高が来ても計画を変更しなくて済む資産配分を最初から作るという考え方が実践しやすいでしょう。

日経225やTOPIXを追加すれば為替対策になる?

オルカンとは別に日経平均株価やTOPIXに連動する日本株ファンドを追加すると、ポートフォリオ全体に占める日本株の割合が増えます。その意味では、海外資産への依存度を下げる方法の一つにはなります。

ただし、これは純粋な「為替ヘッジ」とは異なります。日本株でも海外売上高の大きい企業は為替の影響を受けますし、日本株の比率を増やせば、その分だけ日本市場への集中度が高くなります。

また、全世界株式指数にはもともと日本株が一定割合含まれています。そこへTOPIXなどを追加することは、世界市場の時価総額比率から意図的に日本株を上乗せする、いわゆるホームバイアスを強めることになります。それ自体が間違いというわけではありませんが、「円高が怖いから」という理由だけで日本株を増やすのではなく、資産全体で何%を円建て資産にしたいのかから考えるほうが整理しやすくなります。

為替対策なら日本株より円預金・債券という考え方もある

将来日本円で使う予定のお金を守ることが目的なら、日本株を増やす以外にも円預金や円建て債券などを保有する方法があります。株式は日本株であっても価格変動が大きいため、生活防衛資金や数年以内に使う予定のお金の置き場所としては性質が異なります。

例えば、20年以上使わない資金を全世界株式で運用し、数年以内に必要になる生活資金や住宅・教育などの予定資金を円預金等で確保する方法があります。こうすると投資部分では世界経済への分散を維持しながら、近い将来に円で必要になる資金を為替変動から切り離しやすくなります。

さらに運用終了が近づいた段階で、株式の一部を徐々に円建ての低リスク資産へ移す方法も考えられます。20年後に全額を一度に売却する必要がなければ、取り崩す時期を分散することも選択肢になります。

円高を予想して売買することには別のリスクがある

「これから円高になりそうだからオルカンを売り、円安になったら買い戻す」という方法が成功すれば為替損失を避けられます。しかし実際には、売却と再購入という2回のタイミング判断が必要です。

例えば円高を予想して売却した直後に世界株が大幅上昇した場合、その上昇を取り逃す可能性があります。また、予想通り円高になったとしても、どの水準で再投資すればよいのかという新しい判断が発生します。

長期の資産形成では、短期的な為替予測を繰り返すより、株式・現金・債券などの比率を自分のリスク許容度に合わせて決め、必要に応じてリバランスする方法のほうが管理しやすいケースがあります。

まとめ:オルカンの円高リスクは「予想」より「資産配分」で考える

為替ヘッジなしの全世界株式は海外資産を多く含むため、円高になれば円換算の評価額には下落圧力がかかります。ただし、実際の運用成績は世界の株価と為替の両方で決まるため、円高だけを理由に将来の損益を判断することはできません。

20年程度の長期投資でも為替リスクは残りますが、その為替を長期間正確に予測することも困難です。積立による購入時期の分散、円預金や円建て債券の保有、日本株比率の調整、必要に応じた為替ヘッジ商品の利用など、対策には複数の方法があります。

重要なのは「円高になるか」を当てることではなく、「円高や株安が同時に起きても20年間保有を続けられるか」を基準に資産配分を考えることです。オルカンだけでなく、生活防衛資金を含めた金融資産全体でリスクを確認すると、長期投資の方針を決めやすくなります。

※本記事は一般的な投資・為替の仕組みを解説するもので、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資信託には元本割れの可能性があり、最終的な投資判断は商品の目論見書等を確認したうえで行ってください。

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