NISAや特定口座で投資を始め、毎月のように利益が出ると「銀行に貯金しておくより、全部投資したほうが得なのでは」と感じることがあります。特に数か月間の平均利益が月25万円ほどになれば、預金金利との差は非常に大きく見えます。
ただし、ここで重要なのは「これまで月平均25万円増えた」ことと「これからも毎月25万円増える」ことは別だという点です。預金と投資は単純に利回りだけを比べる商品ではなく、安全性、値動き、使う時期、税金など役割そのものが異なります。
金融庁もNISAについて、投資による利益を非課税にできる一方、投資商品には元本保証がないことを明示しています。資産形成では預金か投資かの二者択一ではなく、生活に必要な現金を確保したうえで長期的な余剰資金を投資する考え方が基本になります。[参照] 金融庁 NISAガイドブック
投資の月平均25万円は「利回り」に直さないと評価できない
まず注意したいのが、「月25万円の利益」という金額だけでは運用成績の良し悪しを判断できないことです。同じ25万円でも、運用元本によって意味がまったく違います。
例えば100万円を運用して1か月に25万円増えたのであれば25%という極めて大きな値動きです。一方、5,000万円を運用して25万円増えたのであれば0.5%です。同じ利益額でも取っているリスクや運用成績は比較できません。
さらに、毎月の「リターン」が確定した売却益なのか、保有商品の含み益なのかも重要です。株価が上昇して評価額が25万円増えていても、翌月に40万円下落すれば含み益は消える可能性があります。
| 運用元本 | 1か月で25万円増加した場合 | 元本に対する割合 |
|---|---|---|
| 100万円 | 25万円 | 25% |
| 500万円 | 25万円 | 5% |
| 1,000万円 | 25万円 | 2.5% |
| 5,000万円 | 25万円 | 0.5% |
したがって投資成績を見る場合は、「何円儲かったか」だけでなく、投入した元本に対する収益率、運用期間、最大でどの程度値下がりしたか、追加投資額はいくらだったかまで確認する必要があります。
数か月の平均利益を年間300万円と考えるのは危険
月平均25万円なら、単純に12倍すると年間300万円です。しかし株式や投資信託の収益は給与のように毎月一定ではありません。「今まで平均25万円だったから、今後も毎月25万円程度」という計算はできません。
例えば半年間の損益が「+20万円、+35万円、+40万円、+10万円、+55万円、-10万円」なら、合計150万円なので平均は月25万円です。しかし実際にはマイナスの月もあります。さらに翌月に相場が急落して100万円下がることもあり得ます。
投資の平均リターンは「毎月もらえる収入」ではありません。短期間の平均値をそのまま将来の固定収入として家計に組み込まないことが大切です。
「貯金より投資のほうが得」と単純比較できない理由
長期的な資産形成では、預金より株式などのリスク資産に期待できる収益が高い場合があります。その代わり、投資には価格下落によって元本を割り込むリスクがあります。
一方、預金の最大の役割は大きな利益を狙うことではなく、必要な金額を必要な時期に確保しておくことです。預金保険制度の対象となる一般預金等なら、原則として1金融機関につき預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。決済用預金は一定の要件を満たせば全額保護されます。[参照] 金融庁「預金保険制度」
つまり預金と投資には異なる役割があります。「増やす可能性」を重視する長期資金は投資、「減らしてはいけない・近いうちに使う」資金は預金というように分けるほうが合理的です。
投資に回さないほうがよいお金もある
投資を順調に続けるうえで意外に重要なのが、十分な現金を残しておくことです。生活費まで株式や投資信託に入れてしまうと、相場が大きく下落したタイミングで現金が必要になり、安値で売却せざるを得なくなる可能性があります。
例えば半年後に100万円の自動車購入代金が必要なのに、その100万円を株式へ投資して80万円になった場合、「いずれ戻るかもしれない」と思っても支払日は待ってくれません。これが長期投資できる余剰資金と、近いうちに使うお金の大きな違いです。
生活防衛資金の適正額に全国共通の正解はありません。会社員か自営業か、毎月の固定費、扶養家族、収入の安定性などによって異なります。少なくとも突然の失業、病気、家電・自動車の故障などが起きても投資商品を慌てて売らなくて済む程度の現金を確保しておく考え方が有効です。
NISAで利益が出ている場合の大きなメリット
NISAの強みは、対象となる投資から得た利益が制度の範囲内で非課税になることです。通常、上場株式等の利益や配当等には課税がありますが、NISA口座で得た対象商品の利益にはNISAの非課税措置が適用されます。
現在のNISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、18歳以上の場合、年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で合計360万円、非課税保有限度額は合計1,800万円です。制度は恒久化され、非課税保有期間も無期限です。
ただし、NISAは利益を保証する制度ではなく、税制優遇制度です。「NISAだから安全」なのではありません。NISA口座でも購入した株式や投資信託の価格が下がれば評価損が発生します。
特定口座の利益には税金も考慮する
NISAと特定口座を併用している場合、両者の利益を同じように考えないことも重要です。特定口座内の上場株式等の譲渡益には、原則として所得税・復興特別所得税と住民税を合わせた20.315%相当の税負担があります。
源泉徴収ありの特定口座では、証券会社が一定の計算を行って源泉徴収する仕組みになっています。[参照] 国税庁「特定口座制度」
例えば特定口座で25万円の課税対象となる譲渡益が出たケースでは、税引前の25万円がそのまま手元に残るとは限りません。一方、NISAで制度の対象となる利益なら非課税という違いがあります。運用成績を比較するときには税引前と税引後を混同しないようにします。
数か月勝てたときほど「どの程度下がれるか」を確認する
投資を始めて比較的早い時期に利益が続くと、自分の投資方法が市場環境に関係なく通用すると感じやすくなります。しかし数か月程度では、投資手法そのものが優れていたのか、その期間の相場環境と相性が良かったのかを切り分けるのは困難です。
確認しておきたいのは、「今いくら儲かっているか」だけではなく、保有資産が20%、30%と下落した場合に家計や心理状態がどうなるかです。500万円を株式中心で運用して30%下落すれば、評価額は単純計算で約150万円減少します。
それでも生活資金に影響せず、売却せずに運用を継続できるのであれば、長期投資に適した資金である可能性があります。反対に10%程度の下落でも生活費が不足するなら、投資金額そのものが大きすぎる可能性があります。
「利益額」より資産配分を見ることが重要
投資で利益が出ていると、さらに投資額を増やしたくなることがあります。しかし判断材料にしたいのは直近の利益額ではなく、金融資産全体の構成です。
例えば金融資産が1,000万円あり、そのうち現金300万円、国内外の分散された投資商品700万円という人と、現金10万円、特定の個別株990万円という人では、同じ1,000万円でもリスクが大きく異なります。
金融庁も安定的な資産形成の考え方として長期・積立・分散を挙げています。異なる資産や地域などへ分散することで、特定のリスクがポートフォリオ全体へ与える影響を軽減することが期待できます。[参照] 金融庁「長期・積立・分散投資の考え方」
貯金と投資は「どちらか一方」ではなく使い分ける
資産形成では、「預金100%」か「投資100%」かを選ぶ必要はありません。それぞれに役割を持たせる方法があります。
| 資金の目的 | 考えやすい置き場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 毎月の生活費 | 普通預金など | すぐ使えることが重要 |
| 緊急予備資金 | 預金など | 相場下落時にも確保したい |
| 数年以内に使う予定資金 | 預金など安全性を重視 | 必要時の値下がりを避けたい |
| 長期間使わない余剰資金 | NISAなどを活用した分散投資を検討 | 長期的な資産形成を目指せる |
このように目的別に分ければ、相場が下落しても「生活費が必要だから売らなければならない」という状況を避けやすくなります。
投資期間が長く取れる資金については、NISAを利用した長期・積立・分散投資が有力な選択肢になります。一方、近い将来に確実に使う資金まで市場へ投入する必要はありません。
月25万円の利益が出ているときに確認したい5項目
短期間で良好な成績が出ている場合は、投資額を増やす前に次の点を整理すると現在の運用を客観視しやすくなります。
- 元本はいくらか―利益額ではなく収益率を確認する
- 含み益か確定利益か―評価額の増加を収入と混同しない
- 何に投資しているか―特定銘柄・特定業種への集中度を見る
- 30%程度下落しても生活できるか―許容できる損失額を確認する
- 現金を十分残しているか―生活費や近い将来の支出を投資に回しすぎない
特に重要なのは、直近の好成績を前提に生活水準を引き上げたり、借入金を使って投資額を急激に増やしたりしないことです。投資では好調な期間だけでなく、不調な期間にも継続できる設計が重要になります。
まとめ|投資は資産形成に有力だが「貯金より常に得」ではない
NISAや特定口座で月平均25万円の利益が出ていること自体は良好な結果ですが、その数字だけから「今後も貯金より投資のほうが得」と結論付けることはできません。まず運用元本に対する収益率、含み益と確定利益の違い、投資対象、運用期間、下落リスクを確認する必要があります。
預金は大きなリターンを狙うものではありませんが、生活費や緊急資金など「必要なときに減っていては困るお金」を置く重要な役割があります。一方、長期間使わない余剰資金については、NISAの非課税メリットを生かしながら長期・積立・分散投資を検討する合理性があります。
大切なのは「貯金か投資か」ではなく、「守るお金は預金、長期的に増やしたい余剰資金は投資」と役割を分けることです。
数か月間の好調な運用成績は将来の利益を保証しません。月25万円という金額を将来も続く固定収入として考えるのではなく、相場が大幅に下落した場合にも生活と運用を続けられる資産配分になっているかを確認することが、長期的な資産形成ではより重要です。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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