投資詐欺のニュースで「数千万円をだまし取られた」「1億円以上を送金した」と聞くと、なぜ途中で怪しいと気付かなかったのか疑問に感じることがあります。しかし現在の投資詐欺、とりわけSNS型投資詐欺は、最初から大金を要求する単純な手口とは限りません。著名人を装った広告、もっともらしい投資グループ、偽の取引画面、少額の利益や出金を経験させる仕掛けなどを組み合わせ、時間をかけて信用させるケースがあります。警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺は認知件数9,523件、被害額約1,288億円に達しました。被害は年配者だけの問題でもなく、「判断力が鈍った人だけがだまされる」と考えていると、むしろ現代型の手口を見落とす可能性があります。この記事では、投資詐欺がなぜ巧妙なのか、なぜ数千万円まで被害が膨らむのか、どの年代が狙われているのか、そして本当に信用できる投資先を確認する方法を公的機関の情報をもとに解説します。
- 投資詐欺は本当に巧妙なのか
- 2025年のSNS型投資詐欺は被害額約1288億円
- 被害者は年配の人ばかりなのか
- なぜ50代・60代で高額被害が起きるのか
- 数千万円も払うほど「信用できる何か」があるのか
- 投資グループに「成功者役」がいることもある
- 偽の投資アプリや取引画面で「利益」を見せられることもある
- 最初から数千万円を要求しないことが高額被害につながる
- 一度お金を入れると「取り戻したい」という心理も働く
- 「自分は投資に詳しいから大丈夫」とも限らない
- 有名人が紹介しているから安全、も危険
- 2025年は広告とDMが入口の約8割を占めた
- 本当に信用できる投資先か確認するには何を見る?
- こんな投資話には特に警戒したい
- 「利益が出たから本物」とは限らない
- 被害者を「判断力がない人」と決めつけるのが危険な理由
- 家族の投資詐欺を防ぐなら「投資するな」より確認ルールを作る
- すでに送金してしまった場合は追加送金を止める
- 投資詐欺を避けるためのチェック表
- まとめ:数千万円の投資詐欺は「一度の判断ミス」だけで起きるとは限らない
投資詐欺は本当に巧妙なのか
現在の投資詐欺には、かなり作り込まれたものがあります。典型的なのがSNSの広告やダイレクトメッセージを入口として、LINEなどのグループへ誘導する手口です。
金融庁は、著名人になりすましたSNS上の偽アカウント・偽広告では、公式サイトなどに掲載されている本人の写真を無断転載して本人を装うケースがあると注意喚起しています。[参照:金融庁・SNS等を通じた投資勧誘への注意喚起]
つまり、知らない人から突然「1000万円振り込んでください」と言われるような分かりやすい詐欺だけではありません。普段利用しているSNS→有名人の広告→投資の解説→グループチャット→投資という、一見すると自然な流れが作られることがあります。
2025年のSNS型投資詐欺は被害額約1288億円
投資詐欺が社会問題になっていることは警察庁の統計からも分かります。警察庁が2026年6月に公表した確定値によると、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9,523件でした。前年より3,110件、率にして48.5%増加しています。[参照:警察庁・2025年SNS型投資詐欺の認知・検挙状況]
さらに驚くのが被害額で、約1,288億円です。前年より約416.9億円、47.9%増加しています。
単純計算すると、1件当たりの被害額は約1,350万円です。もちろん少額被害から億単位の被害まで含まれているため「平均的な被害者が必ず1,350万円失う」という意味ではありませんが、SNS型投資詐欺が非常に高額な被害につながりやすい犯罪であることは数字からも確認できます。
被害者は年配の人ばかりなのか
「高齢者がお金を持っていて判断力も低下するから狙われる」というイメージを持つ人もいます。しかし、SNS型投資詐欺については「高齢者だけが被害者」と考えるのは正確ではありません。
警察庁が令和5年1月から令和6年9月までのSNS型投資詐欺を分析した資料では、男女ともに50~60歳代の被害が半数を超えているとされています。[参照:警察庁・SNS型投資詐欺の被害実態]
50代なら現役で仕事をしている人も多く、60代でも投資経験や社会経験が豊富な人は珍しくありません。そのため「認知機能が低下した高齢者だからだまされた」と一括りにすることはできません。
なぜ50代・60代で高額被害が起きるのか
一つ考えられるのが、投資に回せる資産の大きさです。若い世代より預貯金や退職金などの金融資産を持っている人も多いため、詐欺師に信用されてしまうと被害額が大きくなる可能性があります。
また50~60代は老後資金を強く意識し始める年代でもあります。「定年までにもう少し資産を増やしたい」「預金だけでは老後が不安」「新NISAをきっかけに投資を始めたい」といった自然な関心が、悪質な勧誘に利用されることがあります。
したがって、被害原因を単純に「年を取って判断力が鈍ったから」と説明するより、資産額、投資への関心、SNS広告への接触、詐欺側の巧妙な心理誘導など複数の要因で考える必要があります。
数千万円も払うほど「信用できる何か」があるのか
重要なのはここです。被害者から見れば、何の根拠もなく数千万円を渡しているとは限りません。詐欺師側が「信用できそうだ」と感じさせる材料を意図的に作っている場合があります。
例えば警察庁が紹介している実際のSNS型投資詐欺には、インターネット上で著名人が投資を勧めているように見える広告を見つけ、クリックしたことから始まった60代男性の事例があります。最終的な被害額は合計約6,300万円でした。[参照:警察庁・SNS型投資詐欺の実例]
別の50代女性のケースでは、SNS上の投資広告から投資グループへ入り、「先生の言うとおりにすれば必ずもうかる」などと言われ、合計1億円以上の被害に遭っています。
投資グループに「成功者役」がいることもある
SNS型投資詐欺で厄介なのが、一対一で詐欺師から説得されるだけではないケースです。グループチャットに多数の参加者がいて、そこで投資の話が進んでいくことがあります。
警察庁が紹介する事例には、投資グループ内に多数のサクラがいたケースもあります。「先生のおかげで100万円利益が出ました」「今日も買いました」「すごい利益ですね」といった雰囲気を周囲が作れば、自分以外の大勢も本当に投資しているように感じる可能性があります。
これは社会的証明と呼ばれる心理にも関係します。人は判断材料が不足している状況で、多くの人が同じ行動を取っていると、それを正しい選択だと感じやすくなります。ところがオンライン上では、その「大勢の投資家」自体が偽物である可能性があります。
偽の投資アプリや取引画面で「利益」を見せられることもある
投資詐欺で表示される「資産残高」や「利益」が、本当の金融市場で運用された結果とは限りません。詐欺側が用意した偽サイトや偽アプリ上で数字を表示しているだけというケースがあります。
例えば100万円を入金した後、画面上で120万円、150万円と資産が増えていけば、「この投資は本当にもうかる」と感じるでしょう。しかし、その数字が単なる架空表示なら実際には利益など存在しません。
金融庁も、SNS上の投資勧誘を通じて投資した結果、返金を申し出ても返金されない、送金後に相手と連絡が取れなくなる、出金できなくなるといった相談が寄せられていると注意喚起しています。[参照:金融庁]
最初から数千万円を要求しないことが高額被害につながる
もし知らない相手から最初のメッセージで「5000万円振り込んでください」と言われれば、多くの人は警戒します。そのため詐欺では、少額から始めさせて徐々に入金額を増やす手法が使われることがあります。
例えば最初に10万円を投資し、偽の取引画面で13万円になったように見せる。次に「今なら大きなチャンスがある」と100万円を勧める。それも200万円になったように表示されれば、「もっと入れればもっと増える」と思うかもしれません。
さらに500万円、1000万円と追加投資させれば、最初は10万円だった話が最終的に数千万円へ膨らむことがあります。被害者本人の心理としては、一度に数千万円を賭けたのではなく、何度も「成功した」と思わされながら段階的に金額を増やしたという状態になり得ます。
一度お金を入れると「取り戻したい」という心理も働く
途中で少し怪しいと感じても、「すでに1000万円入れてしまったから、ここでやめたら全部無駄になる」という心理が働くことがあります。
これはサンクコスト(埋没費用)に関係する心理です。本来なら今後の判断は過去に使ったお金とは切り離すべきですが、大金を投入した後ほど撤退する決断が難しくなることがあります。
詐欺師はそこへ「あと300万円入れれば出金できます」「税金を払えば利益を受け取れます」「保証金が必要です」などと追加送金を求めることがあります。金融庁は、投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合など、詐欺の可能性が高い典型例について注意を呼びかけています。[参照:金融庁・SNS投資詐欺の手口]
「自分は投資に詳しいから大丈夫」とも限らない
投資知識があることは詐欺対策に役立ちます。しかし、投資経験者なら絶対に被害に遭わないという保証はありません。
詐欺側が株式、FX、暗号資産、新NISA、IPOなど実在する金融用語を使い、もっともらしい市場分析を提示すれば、内容の一部が正しいため全体まで信用してしまう可能性があります。
大切なのは「説明が専門的だから本物」と判断しないことです。金融商品の仕組みを理解することと、その商品を勧誘している人物・会社が本当に金融庁へ登録された正規の業者なのか確認することは別の問題です。
有名人が紹介しているから安全、も危険
著名な投資家、経済評論家、実業家、芸能人などが広告に登場すると、それだけで信用度が高く感じられます。しかしSNS上では本人の写真や動画が無断利用されることがあります。
金融庁も、著名人等になりすました偽広告を含むSNS上の投資広告について多数の被害が発生しているとして、専用の情報受付窓口を設置しています。[参照:金融庁・SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口]
さらに現在は生成AIによる画像・音声・動画の加工も容易になっています。「本人の顔が動画に映っている」「本人らしい声で話している」という理由だけで、投資話そのものを本物と判断するのは危険です。
2025年は広告とDMが入口の約8割を占めた
警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺で最初に接触した手段は、バナー等広告が3,785件、ダイレクトメッセージが3,549件でした。この二つだけで全体のおよそ8割を占めています。[参照:警察庁・2025年確定値]
YouTubeや投資サイト上のバナー広告、Instagram・LINE・Facebookなどのダイレクトメッセージを入口とした被害の増加が確認されています。
つまり、怪しい投資話は「知らない人から突然電話が来る」という形だけではありません。普段見ている動画やSNSの広告欄から始まるため、正規の広告のように感じてしまうところに難しさがあります。
本当に信用できる投資先か確認するには何を見る?
投資話を持ちかけられたときは、相手が見せてくる「信用材料」ではなく、自分で第三者の公的情報を確認することが重要です。
特に日本で金融商品取引業を行う業者については、金融庁の登録を受けているか確認できます。相手から送られてきたサイト内に「金融庁登録済み」と書いてあるだけでは不十分です。実在する正規業者の名称や登録番号を無断使用する可能性もあるため、金融庁側の情報から確認します。
さらに、公式サイトへアクセスするときも相手から送られてきたURLをそのまま信用せず、自分で金融庁や正規業者の公式情報を検索して照合する方が安全です。
こんな投資話には特に警戒したい
一つだけで詐欺と断定できない場合もありますが、複数が重なれば危険性は高くなります。特に次のような特徴には注意が必要です。
- 「必ずもうかる」「絶対に損をしない」「元本保証」と強調する
- SNS広告からLINEなどの投資グループへ誘導される
- 著名人やそのアシスタントを名乗る人物が連絡してくる
- グループ内で利益報告が次々と投稿される
- 一般には知られていない特別な投資情報があると言われる
- 指定されたアプリやサイトでしか資産状況を確認できない
- 振込先として個人名義など不自然な口座を指定される
- 何度も異なる振込先を指定される
- 出金しようとすると税金・手数料・保証金などの追加送金を要求される
- 「今しか買えない」などと考える時間を与えない
金融庁も、類似した特徴を持つSNS上の投資勧誘について、投資詐欺である可能性が高く、入金したお金が戻らない被害が確認されていると注意を呼びかけています。[参照:金融庁・それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!]
「利益が出たから本物」とは限らない
特に注意したいのが、最初に利益を受け取れた場合です。「実際にお金が戻ってきたのだから詐欺ではない」と思いたくなりますが、それだけで安全とは判断できません。
例えば最初に10万円を入金させ、数万円を利益として出金させることができれば、その後500万円を預けてもらえるかもしれません。詐欺側から見れば、最初の少額出金は信用を買うためのコストとして利用できます。
「一度出金できた」「知人も利益が出た」「アプリ上では資産が増えている」という事実だけでは、投資先の安全性を証明できません。最終的には業者の実在性、登録、資金の送金先、金融商品の実態を独立した情報から確認する必要があります。
被害者を「判断力がない人」と決めつけるのが危険な理由
投資詐欺の被害者を「欲深かった」「判断力が鈍っていた」と考えると、自分は大丈夫だと思いやすくなります。しかし、それこそ注意したいポイントです。
詐欺師が利用するのは欲だけではありません。「老後の生活を安定させたい」「家族に迷惑をかけたくない」「物価上昇に備えたい」「退職金を有効に運用したい」といった合理的な目的も入口になります。
また、社会経験が豊富な人ほど自分の判断への自信があり、いったん「この人物は信用できる」と評価すると、その判断を途中で覆すことが難しくなる場合もあります。年齢や知能だけの問題にせず、誰でも心理的な誘導を受ける可能性があるという前提で確認手順を作ることが有効な対策になります。
家族の投資詐欺を防ぐなら「投資するな」より確認ルールを作る
家族、とりわけ親の投資詐欺が心配な場合、「ネットの投資なんて全部やめなさい」と禁止するだけではうまくいかないことがあります。本人が正規の資産運用まで否定されたと感じれば、家族に相談しなくなる可能性があるからです。
そこで「100万円以上を新しい投資先へ送る前には家族へ一度話す」「SNSで知った業者なら金融庁の登録を確認する」「LINEだけでやり取りする投資先には送金しない」など、具体的な確認ルールを共有する方法があります。
第三者に一度説明するだけでも、「なぜ利益が保証されるのか」「なぜ毎回振込先が違うのか」「なぜ出金するのに追加で300万円必要なのか」といった不自然さに気付きやすくなります。
すでに送金してしまった場合は追加送金を止める
投資詐欺の疑いに気付いたとき、最も避けたいのが「これまでのお金を取り戻すため、あと少しだけ払う」という追加送金です。
「出金手数料を払えば全額戻る」「税金を先払いすれば利益を出金できる」「口座凍結を解除する保証金が必要」と言われても、さらに被害額が増える可能性があります。
詐欺が疑われる場合は追加送金を止め、振込先金融機関、警察、金融庁などへ速やかに相談します。相手とのメッセージ、SNSアカウント、広告、振込記録、取引画面、URLなどは削除せず保存しておくことも重要です。金融庁はSNS上の投資詐欺が疑われる広告等について情報受付窓口を設置しています。[参照:金融庁]
投資詐欺を避けるためのチェック表
高額な投資を決める前には、感覚的な「信用できそう」ではなく、確認項目を機械的にチェックすると判断しやすくなります。
| 確認項目 | 安全確認の考え方 |
|---|---|
| 知ったきっかけ | SNS広告・DMなら特に慎重に確認 |
| 著名人の推薦 | 本人の公式情報から事実か確認 |
| 業者 | 金融庁の登録情報などを自分で確認 |
| 利益 | 「必ず」「絶対」「元本保証」などを警戒 |
| 振込先 | 業者名と無関係な個人口座などは要注意 |
| 投資アプリ | 相手から指定された画面だけを信用しない |
| 出金 | 出金のため追加送金を求められたら警戒 |
| 判断期限 | 即決を迫られても送金せず時間を置く |
| 第三者確認 | 家族・金融機関・公的相談窓口などへ相談 |
投資のリターンが魅力的であるほど、「なぜ自分だけにこの機会が提供されるのか」「相手はどのように利益を得ているのか」という逆方向からの確認も有効です。
まとめ:数千万円の投資詐欺は「一度の判断ミス」だけで起きるとは限らない
現在の投資詐欺、とりわけSNS型投資詐欺は、著名人の偽広告、SNSの投資グループ、サクラ、もっともらしい投資情報、偽の取引画面などを組み合わせて信用させるケースがあります。そのため、単純に「そんな怪しい話を信じる人がいるのか」と考えるだけでは実態を捉えにくくなっています。
警察庁によると2025年のSNS型投資詐欺は9,523件、被害額は約1,288億円でした。過去の警察庁の分析では男女とも50~60歳代の被害が半数を超えており、高齢者だけの問題とはいえません。[参照:警察庁・SNS型投資詐欺]
数千万円という高額被害についても、最初から数千万円を一度に渡したとは限りません。少額投資から始まり、画面上で利益が増える、周囲の参加者も成功している、さらに投資すれば大きくもうかる、と信用を積み重ねた結果、追加送金が繰り返されることがあります。
最も重要なのは「信用できそうな人か」ではなく、「第三者の公的情報で事実を確認できるか」です。有名人の写真、専門的な説明、立派なアプリ、グループ内の成功報告、一度出金できたという経験でさえ、それだけでは安全性の証明になりません。
投資話を受けたら、その場で送金せず、金融庁への登録状況、会社の実在性、振込先、商品の仕組みを相手とは独立した情報源から確認することが基本です。そして「絶対にもうかる」「今だけ」「出金するには追加のお金が必要」といった話が出たときは、いったん取引を止めることが高額被害を防ぐ大きな分岐点になります。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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