ソフトバンクグループが2026年9月に発行を予定している第70回無担保普通社債は、7年・年4.30~4.90%という仮条件が提示されており、円建ての運用先として目を引く水準です。一方、「7年間固定ならインフレに負けるのでは」「同じ7年間なら高配当ETFやREITの方が値上がりと増配を期待できるのでは」と考える人もいるでしょう。この比較で大切なのは、社債と高配当ETF・REITは、利回りの数字だけを比べる商品ではないという点です。社債は発行体が債務を履行すれば決められた利息と満期償還を期待できる一方、ETFやREITは価格も分配金も将来確定していません。この記事では、2026年9月1日時点で公表されているソフトバンクグループの社債条件を確認しながら、インフレ、税金、価格変動、信用リスクまで含めて7年間の運用を考えます。
- 今回のソフトバンクグループ社債はどんな商品?
- 年4.3~4.9%は確かに高いが「預金の高金利版」ではない
- 今回の社債は劣後債ではなく普通社債
- インフレを考えると年4%台でも実質的な価値は下がる?
- 税引後で考えると利率はもう少し低くなる
- 高配当ETFならインフレに強いとは限らない
- 「7年後にはETFの基準価額も上がっている」は十分あり得るが確定ではない
- 「分配金利回りが向上する」の意味には注意
- REITはインフレに強そうに見えるが金利上昇には弱い面もある
- 社債・高配当ETF・REITの違いを比較
- 社債は満期まで持てば価格変動を気にしなくていい?
- 金利上昇も7年固定社債の見えにくいリスク
- 100万円を投資した場合のイメージ
- 実は「社債かETFか」の二択にする必要はない
- 高配当だけでなく広範囲の株式ETFとも比較したい
- NISAで株式・ETFを運用できる点も比較材料
- ソフトバンクグループ社債が向いている人
- 高配当ETFや株式ETFが向いている人
- 2026年9月1日時点では最終利率がまだ決まっていない
- まとめ:社債4%台と高配当ETFは「どちらが得か」より目的で選ぶ
今回のソフトバンクグループ社債はどんな商品?
対象となるのはソフトバンクグループ株式会社の「第70回無担保普通社債」で、愛称は「福岡ソフトバンクホークスボンド」です。ソフトバンクグループの2026年8月24日の発表では、発行総額1兆円、各社債100万円、年限7年、償還期限2033年9月16日となっています。[参照:ソフトバンクグループ・第70回無担保普通社債の発行に関するお知らせ]
2026年9月1日時点では利率はまだ確定しておらず、年4.30~4.90%はあくまで仮条件です。正式な利率は9月4日に決定予定とされています。そのため「4.9%もらえる社債」と確定したものとして判断してはいけません。
SBI証券の案内では、取得予定格付はJCRのA、購入単位は100万円以上100万円単位、発行価格と償還価格はいずれも額面100%、利払いは原則として毎年3月17日と9月17日の年2回です。募集は9月7日から予定されています。[参照:SBI証券・ソフトバンクグループ第70回無担保社債]
年4.3~4.9%は確かに高いが「預金の高金利版」ではない
例えば最終利率が年4.6%になったと仮定すると、額面100万円に対する年間利息は税引前で約4万6,000円です。単純計算なら7年間で約32万2,000円の税引前利息になります。発行体が予定どおり利払いと償還を行い、満期まで保有すれば額面100万円が償還されます。
しかし、ここで重要なのが「なぜ銀行預金より高い利率を出せるのか」です。社債は預金ではなく、投資家がお金を企業へ貸す有価証券です。発行企業の信用リスクを負う代わりに、それに見合う利率が設定されます。
4%台という利率を「ほぼノーリスクで毎年4%台もらえる」と解釈するのは適切ではありません。発行体の信用状況が悪化した場合には、社債価格が下落したり、極端なケースでは利息や元本の支払いに影響が出たりする可能性があります。SBI証券も債券は預金と異なり元本保証ではないと明記しています。
今回の社債は劣後債ではなく普通社債
ソフトバンクグループは過去に個人向けのハイブリッド社債も発行しているため、商品を混同しないことも大切です。今回の第70回は「無担保普通社債」であり、劣後特約付きのハイブリッド社債とは異なります。
例えば2026年5月に発行が案内された第9回ハイブリッド社債は、35年債で劣後特約や利払繰延条項、期限前償還条項が付いた別の商品です。[参照:ソフトバンクグループ・国内ハイブリッド社債]
「ソフトバンクの社債」という会社名と表面利率だけを見るのではなく、普通社債なのか劣後債なのか、満期は何年なのか、途中償還条件があるのかまで確認する必要があります。
インフレを考えると年4%台でも実質的な価値は下がる?
固定利率の債券を7年間持つ場合、インフレは重要なポイントです。仮に年4.6%の利息を受け取れても、物価が毎年上昇すれば、その利息と7年後に戻ってくる100万円の「買える物の量」は現在より少なくなります。
例えば物価が毎年2%ずつ上昇すると仮定すると、現在100万円で購入できるものは、7年後には単純な複利計算で約114万9,000円必要になります。つまり7年後に額面100万円がそのまま戻ってきても、その100万円の購買力は現在より低くなっています。
ただし「インフレ率2%だから4.6%-2%=必ず実質2.6%儲かる」と単純に考えることもできません。利息には税金がかかり、将来のインフレ率そのものも確定していないためです。
税引後で考えると利率はもう少し低くなる
個人が受け取る一般的な公社債の利子には、通常20.315%の税金がかかります。そのため表面利率と実際の手取り利率は異なります。
| 税引前利率 | 税引後の概算利率 | 100万円の年間税引後利息の目安 |
|---|---|---|
| 4.30% | 約3.43% | 約34,300円 |
| 4.60% | 約3.67% | 約36,700円 |
| 4.90% | 約3.90% | 約39,000円 |
上表は20.315%課税として単純計算した概算です。実際の税務上の扱いは口座や個人の状況などによって異なる場合があります。
例えば税引前4.6%なら、税引後ではおおむね3.67%です。インフレが年2%程度続けば、それでも購買力ベースで一定のプラスを期待できますが、インフレ率がさらに高くなれば固定金利の魅力は低下します。
高配当ETFならインフレに強いとは限らない
ここで候補になるのが高配当株ETFです。企業の利益が物価上昇とともに成長し、配当も増えていけば、長期的にはインフレへの対応力を期待できます。また株価自体が上昇すれば、分配金だけでなく値上がり益も得られます。
しかし「7年間持てば株価は上がる」「7年後には分配金も増えている」と保証されているわけではありません。企業業績が悪化すれば減配する可能性がありますし、景気後退や金融危機などが起こればETF価格が大幅に下落することもあります。
社債の4%台と高配当ETFの4%を同じ「利回り」として比較しないことが重要です。社債のクーポンは契約上決められた利息ですが、ETFの分配金は保有企業の配当などによって変動します。
「7年後にはETFの基準価額も上がっている」は十分あり得るが確定ではない
高配当ETFについて「7年持てば基準価額も上昇しているのでは」という期待には合理的な部分があります。企業利益が長期的に成長すれば、株価と配当の両方が増える可能性があるからです。
例えば100万円でETFを購入し、7年間で分配金を受け取りながら価格が100万円から130万円へ上昇すれば、固定利息だけを受け取る社債より大きなトータルリターンになる可能性があります。
しかし逆もあります。7年後に金融危機や景気後退が重なり、ETF価格が70万円になっている可能性もゼロではありません。社債には原則として満期という明確なゴールがありますが、ETFには「7年経てば元の価格に戻る」という仕組みはありません。
「分配金利回りが向上する」の意味には注意
高配当ETFを長期間保有し、1口当たりの分配金が増えていけば、最初に投資した金額に対する利回り、いわゆる取得価格ベースの利回りが上昇することがあります。
例えば100万円で購入したETFから年間4万円の分配金を受け取っていたものが、企業の増配によって年間6万円になれば、当初投資額に対する分配金は4%から6%相当へ増えたことになります。
ただし市場価格も100万円から150万円へ上昇していれば、その時点で新たに購入する人から見た分配金利回りは4%です。「自分の取得価格に対する利回り」と「現在の市場価格に対する利回り」を混同しないことが大切です。
REITはインフレに強そうに見えるが金利上昇には弱い面もある
REITは不動産へ投資し、賃料収入などを原資として分配金を支払うため、インフレ対策として検討されることがあります。物価上昇とともに賃料が上昇すれば、収益が増える可能性があるからです。
一方、REITは借入金を利用して不動産を取得することが多いため、金利上昇によって資金調達コストが増える場合があります。また市場金利が上昇すると、より安全性の高い債券の利回りが上がり、REITの相対的な魅力が低下して価格が下落することもあります。
不動産価格の下落、空室率の上昇、災害、物件の老朽化などのリスクもあります。「不動産だからインフレになれば必ず上がる」という単純な関係ではありません。
社債・高配当ETF・REITの違いを比較
| 項目 | ソフトバンクG7年社債 | 高配当ETF | REIT |
|---|---|---|---|
| 収益 | 固定利息 | 配当・分配金+値上がり益 | 分配金+値上がり益 |
| 収益の確定性 | 発行体が債務を履行する限り比較的高い | 変動 | 変動 |
| 満期 | 7年 | なし | なし |
| 満期償還 | 額面100%予定 | なし | なし |
| 価格変動 | 途中売却ならあり | 大きい | 大きい |
| インフレ対応 | 固定金利なので高インフレには弱い | 企業成長・増配により対応できる可能性 | 賃料上昇などで対応できる可能性 |
| 主なリスク | 発行体信用・金利・流動性 | 株価下落・減配・為替など | 不動産市況・金利・災害・価格下落など |
こうして比較すると、「どれが最も儲かるか」ではなく、将来の収益がどの程度確定していることを重視するかによって選択が変わることが分かります。
社債は満期まで持てば価格変動を気にしなくていい?
発行体が利息と元本を予定どおり支払うことを前提にすれば、額面100円につき100円で発行される今回の社債を満期まで保有した場合、途中の市場価格が上下しても最終的には額面100円につき100円で償還される予定です。
ただし、7年間の途中で現金が必要になって売却する場合は話が変わります。市場金利やソフトバンクグループの信用状況によって社債価格が変化するため、額面100万円で購入した社債を100万円未満で売却することもあり得ます。
したがって社債へ投資する資金は、基本的には7年間使わなくても困らない余裕資金で考えるのが重要です。
金利上昇も7年固定社債の見えにくいリスク
もう一つ考えておきたいのが今後の金利です。仮に今回4.6%で購入した後、日本の金利が大きく上昇して、数年後に同程度の信用力を持つ企業の新発社債が6%で発行されるようになったとします。
その場合、4.6%の既発債をわざわざ額面どおりの価格で買いたい投資家は減るため、途中売却価格が下落する可能性があります。満期まで保有できればこの市場価格変動を直接確定させずに済みますが、4.6%に資金を固定している間にもっと魅力的な金利の商品が登場する「機会損失」は発生します。
反対に将来金利が低下すれば、4%台の固定金利を7年間確保できたことが有利になる可能性があります。つまり固定金利7年債を買うことは、ある意味で「現在の金利水準を7年間固定する」という判断でもあります。
100万円を投資した場合のイメージ
仮に最終利率が年4.6%になり、額面100万円を購入して7年間保有するとします。税金や端数処理などを簡略化すると、年間税引前利息は約4万6,000円、7年間で約32万2,000円です。
20.315%の税率で単純計算すると、7年間の税引後利息は約25万7,000円となります。発行体が予定どおり償還すれば、これとは別に満期時に額面100万円が戻ります。
一方、高配当ETFに100万円を投資した場合、7年後の結果は事前には計算できません。分配金を累計25万円受け取り、ETF価格も130万円になる可能性がある一方、分配金が減少し、価格も70万円になる可能性があります。この不確実性を引き受ける代わりに、社債より高いリターンを得られる可能性があるのが株式投資です。
実は「社債かETFか」の二択にする必要はない
資産運用では、すべてのお金を一つの商品へ集中させる必要はありません。むしろ今回の社債で特に意識したいのは、発行体がソフトバンクグループ一社だという点です。
例えば運用資金が十分にあり、リスク許容度にも合うのであれば、一部を固定利息が得られる社債、一部を広く分散された株式ETF、一部を現金や個人向け国債などに分ける考え方があります。どの割合が適切かは資産額、年齢、収入、今後必要になる資金、価格下落への耐性などによって異なります。
「社債が4.6%だから全額社債」「株は長期なら上がるから全額ETF」という極端な選択を避けること自体がリスク管理になります。
高配当だけでなく広範囲の株式ETFとも比較したい
株式投資を選ぶ場合でも「インカムが欲しいから高配当ETF」とすぐ決める必要はありません。長期投資で重要なのは、分配金利回りだけではなく値上がり益を含めたトータルリターンです。
例えば分配金利回り4%で価格がほとんど成長しないETFと、分配金利回り2%でも企業利益の成長によって価格が大きく上昇するETFなら、後者の方が最終的な資産額が大きくなることがあります。
そのため7年間以上の資産形成が目的なら、高配当ETFだけでなく、国内外の株式市場へ広く分散するインデックス型ETF・投資信託も比較対象になります。「現在の分配金が何%か」だけで投資先を決めないことが重要です。
NISAで株式・ETFを運用できる点も比較材料
税金まで考える場合、NISAを利用できる株式・ETF・投資信託には税制上のメリットがあります。NISA口座で対象商品から得た売却益や配当・分配金は一定の条件のもと非課税になります。
一方、一般的な社債はNISAの対象商品ではありません。そのため表面上の利回りだけでなく、「税引後で最終的にいくら残るのか」という観点で比較することが大切です。
ただしNISAだから株式の方が安全になるわけではありません。税制上有利であっても価格変動リスクはそのまま存在します。
ソフトバンクグループ社債が向いている人
今回の社債が比較的検討しやすいのは、7年間使う予定のない余裕資金があり、株式ほど大きな日々の価格変動を取りたくない一方、企業の信用リスクを理解したうえで一定の利息収入を確保したい人です。
特に「7年後に額面償還されることを前提として、それまで年4%台の固定利息を受け取りたい」という目的には商品特性が合っています。
ただし100万円単位の商品なので、金融資産の大部分が100万円しかない人が全額を一社の社債へ投資するような使い方は、分散という観点から慎重に考えたいところです。
高配当ETFや株式ETFが向いている人
一方、7年という期間だけでなく10年、20年と長期的に資産を成長させたい人や、途中で30~50%程度の価格下落が発生しても保有を続けられる人なら、株式ETFを中心に考える余地があります。
株式には企業利益の成長、増配、株価上昇という上方向の可能性があり、固定利率の社債にはないインフレ対応力も期待できます。ただし、それは「必ず7年後に増えている」という意味ではありません。
特に7年後に住宅購入や教育費などで必ず使う予定のお金であれば、必要になる直前に株式市場が暴落するリスクも考えなければなりません。
2026年9月1日時点では最終利率がまだ決まっていない
今回の社債を検討するうえで忘れてはいけないのが、年4.30~4.90%は仮条件だということです。ソフトバンクグループは正式な利率を2026年9月4日に決定予定としています。[参照:ソフトバンクグループ公式発表]
仮条件の上限4.9%と下限4.3%では、100万円を7年間保有した場合の税引前利息だけでも単純計算で約4万2,000円の差が生じます。そのため購入判断は最終利率を確認してから行うべきです。
また目論見書で発行体の財務状況、信用リスク、期限前償還の有無、途中売却時のリスクなどを確認することも欠かせません。ソフトバンクグループの既発社債については公式IRでも残高や償還期限を確認できます。[参照:ソフトバンクグループ・社債情報]
まとめ:社債4%台と高配当ETFは「どちらが得か」より目的で選ぶ
ソフトバンクグループ第70回無担保普通社債は、2026年9月1日時点で7年、年4.30~4.90%という仮条件が提示されています。正式利率は9月4日に決定予定で、額面100万円以上100万円単位、2033年9月16日満期という商品です。
年4%台という数字は魅力的ですが、預金ではありません。ソフトバンクグループという一つの発行体の信用リスクを7年間引き受けること、途中売却時には価格が下落する可能性があること、固定金利なので高インフレや将来の大幅な金利上昇に弱いことを理解する必要があります。
高配当ETFやREITなら、企業利益や賃料の成長によって分配金が増え、7年間で価格も上昇する可能性があります。その場合には社債を上回るトータルリターンになるでしょう。しかし、「7年あれば基準価額は上がり、分配金も増えているはず」と考えるのは楽観的すぎます。7年後の価格も分配金も保証されていないからです。
結局のところ、7年後に使う可能性がある資金について値動きを抑えながら固定利息を確保したいなら社債には一定の魅力があります。一方、価格下落を受け入れてでも長期的な資産成長とインフレへの対応力を求めるなら、分散された株式ETFなどが有力な選択肢になります。REITについてもインフレ耐性を期待できる面はありますが、金利上昇や不動産市況の影響を受けるため万能ではありません。
そして実際の資産運用では、この三つを二者択一にする必要もありません。安全資産、社債、株式ETFなどへ資金を分散し、それぞれに異なる役割を持たせるという考え方もできます。今回のソフトバンクグループ社債については、まず9月4日に決まる正式利率と目論見書を確認し、「4%台だから買う」のではなく、その利率が7年間の信用リスク・インフレリスク・資金拘束に見合うかを判断することが重要です。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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