ニュースで「政府・日銀が為替介入を行ったが、その後ドル円相場は元の水準に戻った」という話を聞くと、「結局お金を使っただけで損をしたのでは?」と思う人も少なくありません。しかし、為替介入の目的や国の保有資産の仕組みを理解すると、単純に損得だけでは判断できないことが分かります。
為替介入とは何をしているのか
円安を抑えるための為替介入では、日本政府が保有するドルなどの外貨を売り、その代わりに円を買います。
例えば1ドル160円のときに大量のドルを売り、円を買うことで市場に円の需要を生み出し、急激な円安を抑制しようとします。
これは投資で利益を狙う行為ではなく、為替市場の急変動を緩和する政策手段です。
介入後に円安へ戻ったら損なのか
介入後に為替レートが再び円安方向へ戻ったとしても、それだけで損失が確定するわけではありません。
なぜなら、介入で売却したドルについては売却時点で取引が完了しているためです。
例えば160円でドルを売却した後に165円まで円安が進んだ場合、「もっと高く売れたかもしれない」という見方はできますが、実際に損失が発生したわけではありません。
国は為替介入で利益を得ることもある
日本の外貨準備は、過去に比較的円高の時期に取得したドル資産も多く含まれています。
仮に1ドル100円で取得したドルを160円で売却した場合、円換算では大きな含み益が発生しています。
| 取得時 | 売却時 | 結果 |
|---|---|---|
| 1ドル100円 | 1ドル160円 | 円換算では利益 |
そのため、介入そのものが赤字とは限らず、保有していたドルの取得価格によって結果は変わります。
為替介入の目的は利益ではない
最も重要なのは、為替介入の目的が利益獲得ではないことです。
急激な円安や円高は、企業活動や家計に大きな影響を与えます。輸入価格の急騰や市場の混乱を防ぐため、一時的に相場を安定させることが主な狙いです。
そのため、介入後に為替レートが元に戻ったとしても、「市場の過度な混乱を抑えた」という政策効果があれば一定の意味があったと評価される場合があります。
ニュースで見る「介入額」と利益は別問題
ニュースでは「数兆円規模の介入」と報じられることがありますが、この金額は使った資金の規模を示しています。
使った金額がそのまま損失になるわけではありません。
実際の損益を判断するには、売却したドルの取得価格やその後の資産運用状況なども考慮する必要があります。
まとめ
為替介入後に円安が再び進行したとしても、日本政府が直ちに損をしたとは言えません。介入で売却したドルの取得価格次第では利益が出ている可能性もあります。また、為替介入は投資ではなく市場の安定化が主な目的です。そのため、介入の成功・失敗は単純な損益だけでなく、市場への影響や政策効果も含めて評価する必要があります。
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