米国株は本当に24時間取引へ?日本株も24時間化するのか・東証と夜間PTSの今後を解説

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米国では、株式をほぼ24時間取引できる市場への移行が現実味を帯びています。ただし、ニュースで使われる「24時間取引」という表現は、暗号資産のような24時間365日の取引とは少し意味が異なります。米国で進んでいるのは主に、平日に1日23時間程度取引できる「23時間×週5日」の市場です。

一方、日本株については、東京証券取引所が2024年11月に取引終了時刻を15時から15時30分へ延長しましたが、2026年8月時点で東証の現物株を23時間・24時間取引へ移行する具体的な公式計画は確認できません。ただし、日本でもPTSを利用した夜間取引はすでに存在し、取引できる時間帯は以前より広がっています。

今後、日本株の取引時間がさらに長くなる可能性はありますが、いきなり東証が24時間化するより、PTSやデリバティブを含めて段階的に取引可能時間が広がっていくシナリオのほうが現実的です。

アメリカ株の「24時間取引」は本当に24時間なのか

米国市場で進んでいるのは、厳密には24時間365日ではなく、平日のほぼ一日中取引できる体制です。Nasdaqは米国株式の取引時間を1日23時間、週5日に延長する計画を進めており、米SECは2026年4月10日にその規則変更を承認しました。[参照] 米SEC・Nasdaqの23時間取引承認

Nasdaqは、規制当局の承認や清算・市場インフラとの調整を前提に、24時間に近い取引環境を整備するとしています。[参照] Nasdaq 24×5 Trading

NYSE系でも同じ動きがあります。NYSE Arcaでは、夜間、早朝、通常取引、時間外取引を組み合わせることで、ほぼ一日を通した取引環境の整備が進められています。[参照] NYSE Extended Hours Trading

米国ではなぜ株を夜中まで取引できるようにするのか

大きな理由の一つが、米国株が世界中の投資家から売買されていることです。ニューヨーク市場の通常取引時間は、日本やアジアの投資家にとって夜間になります。欧州、アジア、中東など各地域の投資家が自分たちの生活時間帯に米国株を売買できれば、アクセスしやすくなります。

また、企業ニュースや地政学的事件は米国市場の通常取引時間だけに発生するわけではありません。重要なニュースが市場終了後に出たとき、翌日の寄り付きまで待つのではなく、すぐ株式を売買したいという需要があります。

米SEC自身も2026年9月17日に24時間取引に向けた準備をテーマとするラウンドテーブルを予定しており、夜間取引、システムの耐障害性、投資家保護などを議論するとしています。[参照] 米SEC 24時間取引ラウンドテーブル

日本の東京証券取引所は現在何時まで取引できる?

東京証券取引所の現物市場は、2024年11月5日に取引時間を30分延長しました。従来は後場が15時に終了していましたが、現在は15時30分までとなっています。前場は9時から11時30分、後場は12時30分から15時30分です。

東証は、この延長について投資家ニーズへの対応、市場利用者の利便性、国際競争力、障害発生時のレジリエンス向上などを理由として挙げています。[参照] 日本取引所グループ「取引時間の延伸の正式決定について」

つまり、日本でも取引時間を長くする方向性そのものはすでに実行されています。ただし30分の延長と23時間化では、市場インフラへの影響がまったく異なります。

実は日本株もすでに夜間取引できる

「東証が閉まったら日本株は一切売買できない」と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。PTS(私設取引システム)を利用すれば、東証の立会時間外でも日本株を売買できる場合があります。

例えばジャパンネクストPTSでは、2026年時点でデイタイム・セッションを8時20分から16時30分、ナイトタイム・セッションを17時から翌朝6時まで設定しています。[参照] ジャパンネクストPTS

ただし、これは「東証が翌朝6時まで開いている」という意味ではありません。PTSは東京証券取引所とは別の私設市場であり、利用できる時間、銘柄、注文方法、対応証券会社なども異なります。

東証も将来24時間取引になる可能性はある?

可能性自体は否定できません。世界最大規模の米国株式市場が23時間取引へ移行し、それが投資家から支持されれば、日本を含む他国の取引所にも取引時間延長への圧力が強まる可能性があります。

東証自身も2024年の30分延長を「多様化する投資家のニーズ」「利便性」「国際競争力」への対応として実施しています。したがって、将来的にさらに取引時間を延ばす議論が行われても不思議ではありません。

しかし、2026年8月時点では、東証現物株を米国のような23時間取引にする具体的な導入時期は公表されていません。「アメリカが24時間化するから日本もすぐ同じになる」と考えるのは早いでしょう。

なぜ日本株を簡単に24時間化できないのか

株式市場を長時間開けばよいだけに見えますが、実際には取引所だけの問題ではありません。証券会社、清算機関、マーケットメーカー、情報配信会社、銀行、システム運営会社など非常に多くの企業が市場を支えています。

例えば夜中の3時に大規模なシステム障害が発生した場合でも、通常時間と同程度の監視や障害対応が必要になります。不正取引の監視、売買停止、企業の重要情報への対応なども24時間近く行う必要があります。

さらにシステムには日次処理、保守、データ更新などの時間も必要です。米国でも完全な24時間ではなく23時間という設計が多いのは、こうした市場インフラ上の事情もあります。

夜間取引には流動性が少ないという問題もある

取引時間が長くなれば便利になりますが、いつでも通常時間と同じ条件で取引できるとは限りません。重要なのが流動性です。

例えば日中ならある株に「1,000円で買いたい人」と「1,001円で売りたい人」が多数いるのに、深夜には参加者が少なく、「995円の買い」と「1,010円の売り」しかないことがあります。この買値と売値の差をスプレッドと呼びます。

取引量が少ない時間帯ではスプレッドが広がったり、少量の注文で価格が大きく動いたりする可能性があります。そのため「24時間取引できる=24時間いつでも同じ価格条件で安全に売買できる」という意味ではありません。

決算発表後すぐ売買できるメリットとリスク

日本株が夜間まで活発に取引されるようになれば、会社員の個人投資家にとって大きなメリットがあります。仕事が終わった後に株を売買できるほか、15時30分以降に発表された決算へすぐ対応できる可能性があります。

例えばA社が18時に予想を大きく上回る決算を発表した場合、現在の東証では翌営業日の取引開始まで待つことになります。夜間市場に十分な流動性があれば、その日のうちに売買できます。

一方、決算直後は価格が激しく上下することがあります。情報を十分に分析しないまま飛びつき、その後価格が逆方向へ動く可能性もあります。取引可能時間が長いことそのものが利益につながるわけではありません。

日本で24時間化が進むなら「東証一気に24時間」以外も考えられる

日本市場の将来を考える場合、東証が突然23時間化するシナリオだけを見る必要はありません。すでにPTSによる夜間取引が存在しているため、複数の形で取引時間が広がる可能性があります。

考えられる展開 内容
東証の時間をさらに延長 15時30分以降へ段階的に立会時間を延ばす
PTSの夜間取引拡大 証券会社の対応や流動性が増え、夜間取引が一般化する
先物などを長時間化 現物株より先にデリバティブの取引時間が拡大する
ほぼ24時間市場へ移行 市場インフラ全体を整え、将来的に23時間前後まで延ばす

特にPTSはすでに夜間市場を提供しているため、個人投資家にとっては「東証の24時間化」を待たなくても、日本株の時間外取引に触れられる環境があります。ただし対応する証券会社や注文条件は確認が必要です。

米国が24時間化しても土日は基本的に休み

もう一つ誤解しやすいのが、「24時間取引=ビットコインのようにいつでも売買できる」という点です。Nasdaqなどで進められている仕組みは基本的に週5日です。

そのため、金曜日の夜から月曜日まで完全に途切れなく取引できる24時間365日市場とは異なります。また1日の中にもシステム処理などのため取引できない時間帯が設定されます。

ニュースを見る際には「24時間取引」という見出しだけでなく、実際には「23時間×週5日なのか」「どの市場・銘柄が対象なのか」を確認すると理解しやすくなります。

日本の投資家には米国株23時間化のメリットが大きい

米国株の長時間化は、日本に住む投資家にとって特に意味があります。現在の米国株通常市場は日本時間の深夜帯に重なるため、リアルタイムで売買するには夜遅くまで起きている必要があります。

23時間取引が証券会社を通じて広く利用できるようになれば、日本の昼間でもApple、Microsoft、NVIDIAなどの米国株を売買できる可能性があります。これは日本の個人投資家にとってかなり大きな変化です。

ただし取引所が23時間対応していても、日本の証券会社がその全時間帯の注文を直ちに取り扱うとは限りません。投資家が実際に利用できる時間は、利用している証券会社のサービス内容にも左右されます。

24時間取引になっても一日中チャートを見る必要はない

取引時間が長くなると、「寝ている間に株価が動くからずっと見なければならない」と不安になる人もいるかもしれません。しかし長時間市場になったからといって、一日中取引する必要はありません。

長期投資家であれば、企業価値や資産配分を重視する基本姿勢は変わりません。短期トレーダーでも、自分が得意な時間帯だけ取引する方法があります。

取引できる時間が23時間になることと、23時間取引し続けることはまったく別です。選択肢が増えるものとして考えるのがよいでしょう。

まとめ|日本株の24時間化は将来あり得るが、現時点では東証に具体的計画なし

米国株では24時間に近い取引への移行が実際に進んでいます。Nasdaqについては米SECが2026年4月に1日23時間・週5日の取引時間延長を承認しており、NYSE Arcaなどでも夜間取引拡大の取り組みが進んでいます。

ただし、これは暗号資産のような24時間365日の取引ではありません。「米国株が24時間化」というニュースは、正確には平日にほぼ24時間取引できる市場へ近づいていると理解するとよいでしょう。

日本では、東京証券取引所が2024年11月に現物株の取引終了を15時から15時30分へ30分延長しました。一方、2026年8月時点で東証が現物株を23時間・24時間取引にする具体的な実施計画は確認できません。

もっとも、日本株にはすでにPTSによる夜間市場があり、ジャパンネクストPTSでは夜間セッションも提供されています。そのため、日本も「日中しか株を売買できない市場」のままというわけではありません。

将来的には米国市場の長時間化、海外投資家からの需要、システム技術の進歩などを受けて、日本でもさらに取引時間が延びる可能性はあります。ただし、流動性、市場監視、清算、システム保守、証券会社の運用体制など課題も多いため、近い将来に東証が一気に24時間化すると決めつけるより、PTSを含めて段階的に取引可能時間が広がる可能性を見るのが現実的でしょう。

※本記事は2026年8月30日時点で公表されている米SEC、Nasdaq、NYSE、日本取引所グループ、ジャパンネクスト証券等の公開情報をもとに、株式市場の取引時間について一般的に解説したものです。制度や各証券会社の取扱時間は今後変更される可能性があるため、実際の取引前には利用する取引所・証券会社の最新情報をご確認ください。

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