日経平均やTOPIXなどの株価指数が長期的に上昇していると、「株を持っていれば誰でも儲かったはず」と感じやすくなります。しかし、株式市場全体が上昇していることと、すべての投資家・すべての個別株が上昇していることは同じではありません。上昇相場の最中でも含み損を抱えることは十分にあります。
特に重要なのは、「市場平均」と「自分の保有銘柄」を分けて考えることです。TOPIXは日本株市場を広範にカバーする指数ですが、浮動株時価総額加重型で算出されています。つまり、指数が上昇していても、その中には大幅上昇した企業もあれば下落した企業も存在します。[参照] 日本取引所グループ「TOPIX」
上昇相場で含み損になったからといって、必ずしも単純な失敗とは限りません。買った時期、選んだ銘柄、投資期間、分散度、売買方法によって結果は大きく変わります。一方で、含み損が市場平均を大幅に下回る投資行動の結果なら、原因を振り返ることで今後の改善につなげられます。
- 「株式市場が上がった=すべての株が上がった」ではない
- 原因1|上昇した後の銘柄を高値で追いかけた
- 原因2|上がっている業種ではなく下がっている業種へ集中した
- 原因3|話題になってから買う「高値掴み」を繰り返した
- 原因4|少数の個別株へ資金を集中させすぎた
- 原因5|下がった銘柄だけがポートフォリオに残った
- 原因6|ナンピンを繰り返し、下落銘柄の比率が大きくなった
- 原因7|短期売買で上昇相場の途中から何度も降りた
- 指数が上がっているのに個別株が下がるのはなぜ?
- 含み損そのものが「間違い」とは限らない
- 「含み損率」ではなく市場平均との比較もしてみる
- 個別株投資とインデックス投資では目的が違う
- 上昇相場で含み損になったときに確認したいポイント
- 含み損から取り返そうとしてリスクを上げるのは要注意
- 長期・積立・分散が万能という意味でもない
- まとめ|上昇相場で含み損でも不思議ではない。重要なのは市場平均と投資行動を分けて考えること
「株式市場が上がった=すべての株が上がった」ではない
まず押さえておきたいのは、ニュースで「日本株が上昇」「株高が続く」と報じられていても、上場企業の株価が一斉に同じ割合で上昇するわけではないという点です。
TOPIXについて日本取引所グループは、日本の株式市場を広範に網羅するマーケット・ベンチマークと説明しています。算出方法は浮動株時価総額加重型であり、各銘柄が指数に与える影響は均等ではありません。[参照] 日本取引所グループ「株価指数に関するよくあるご質問」
例えば市場にA社、B社、C社という3銘柄しかないと仮定します。A社とB社が大きく上昇して市場全体の指数を押し上げても、C社だけを保有している投資家は含み損になることがあります。「市場は好調なのに自分だけ損をしている」という現象は、仕組み上まったく不思議ではありません。
原因1|上昇した後の銘柄を高値で追いかけた
上昇相場で含み損を作りやすい典型例の一つが、すでに大きく上昇した銘柄へ後から集中投資するケースです。市場全体では数年間上昇していたとしても、自分が買った日を起点にすれば結果は異なります。
例えば株価1,000円から3,000円まで上昇した銘柄を3,000円で購入し、その後2,500円へ調整したとします。長期チャートでは1,000円から2,500円へ上昇しているため「上げ相場」に見えますが、3,000円で買った人にとっては約16.7%の含み損です。
金融庁も資産形成において、一定金額を継続して投資する積立投資には「高いときにだけ買ってしまうこと」を避けやすくする効果があると説明しています。[参照] 金融庁「資産形成の基本」
原因2|上がっている業種ではなく下がっている業種へ集中した
株式市場には業種ごとの強弱があります。半導体、銀行、商社、自動車、小売、不動産、医薬品などが常に同じ方向へ動くわけではありません。
指数が大幅に上昇している時期でも、一部の業種が低迷していることがあります。特定業種の2~3銘柄だけを保有していれば、その業種が市場平均から取り残されたときにポートフォリオ全体が含み損になることがあります。
これは銘柄選択が必ず間違っていたという意味でもありません。市場で人気になる業種は循環するため、ある期間だけを切り取れば市場平均に負けることはあります。ただし、自覚せず一つの業種へ資金を集中させていたなら、ポートフォリオ管理上のリスクとして見直す価値があります。
原因3|話題になってから買う「高値掴み」を繰り返した
株価が大きく上昇すると、ニュース、SNS、動画などでその企業を目にする機会が増えます。「まだ上がりそうだ」と感じて買った直後に調整し、含み損になるケースは珍しくありません。
さらに含み損になった銘柄を保有したまま、次に話題になった銘柄へ資金を移し、その銘柄も上昇後に購入するという行動を繰り返すと、市場全体が上昇していても投資成績は悪化します。
例えばA株を急騰後の2,000円で買って1,600円へ下落、次に急騰中のB株へ乗り換えて3,000円で購入したところ2,500円へ下落、という売買を繰り返せば、指数が右肩上がりでも資産は減少します。問題は「上昇相場に参加しなかったこと」ではなく、上昇した後だけ参加する売買パターンにある可能性があります。
原因4|少数の個別株へ資金を集中させすぎた
個別株投資では企業固有のリスクがあります。業績悪化、不祥事、増資、競争激化、商品開発の失敗、規制変更などによって、市場全体とは無関係に一社だけ大きく下落することがあります。
100万円を一社へ投資してその企業が40%下落すれば、資産は60万円になります。一方、100万円を多数の異なる企業・業種へ分散していれば、一社の大幅下落が資産全体へ与える影響は小さくできます。
金融庁も、一つの資産だけではなく値動きが異なる複数の資産へ分散することで、価格変動をある程度抑え、安定的な運用を目指せると説明しています。[参照] 金融庁「長期・積立・分散投資」
原因5|下がった銘柄だけがポートフォリオに残った
意外に多いのが、「利益が出た株はすぐ売り、損失が出た株だけ長期間保有する」というパターンです。この場合、過去の売買全体では利益が出ていても、現在の保有画面は含み損ばかりに見えることがあります。
例えばA株を10万円の利益で売却し、B株を5万円の利益で売却する一方、C株の10万円の含み損とD株の8万円の含み損を抱えているとします。証券口座の保有銘柄だけを見るとマイナス18万円ですが、過去の確定利益15万円も含めなければ運用全体の成績は判断できません。
したがって「含み損がある」という事実だけで投資に失敗したとは判断できません。入金額、現在評価額、受取配当、確定損益、税金、手数料まで含めたトータルリターンで確認する必要があります。
原因6|ナンピンを繰り返し、下落銘柄の比率が大きくなった
値下がりした株を追加購入して平均取得単価を下げる「ナンピン」は、株価が回復すれば大きな利益につながることがあります。一方、企業価値そのものが悪化している銘柄へ無計画に追加投資すると、損失額が拡大します。
例えば1,000円で100株購入した株が800円になり100株追加すると、平均取得単価は900円になります。しかし600円でさらに200株追加すると、保有株数は400株となり、その企業がポートフォリオに占める割合も急増します。
その後400円まで下落すれば、「平均単価を下げた」のではなく「下落している一社への投資額を増やした」という結果になります。ナンピンをする場合は、株価が安くなったという理由だけでなく、企業価値や投資前提が維持されているかを確認することが重要です。
原因7|短期売買で上昇相場の途中から何度も降りた
市場が数年間で上昇していても、その途中では何度も下落します。そのたびに怖くなって売却し、再び上昇した後に買い戻す行動を繰り返すと、市場平均を大きく下回る可能性があります。
例えば100で買った指数連動商品を下落時の90で売り、その後105まで回復してから買い直すと、単純な長期保有より不利な位置から再スタートします。この行動を何度も繰り返せば、最終的に指数が150になっていても「指数ほど儲かっていない」という状態になります。
金融庁は市場が大きく変動する局面でも、安定的な資産形成に向けて長期・積立・分散投資の重要性を考慮し、冷静に投資判断することが重要としています。[参照] 金融庁「安定的な資産形成に向けた顧客対応について」
指数が上がっているのに個別株が下がるのはなぜ?
株価指数の仕組みを理解すると、「指数が上がったのだから自分の株も上がるはず」という考え方が必ずしも正しくないことが分かります。
TOPIXは浮動株時価総額加重型です。日本取引所グループによると、構成銘柄の浮動株部分の時価総額の合計の変化が指数値として表され、各銘柄のウエイトも浮動株時価総額によって決まります。[参照] 日本取引所グループ「TOPIX」
そのため大型企業の株価上昇が指数全体を強く押し上げる一方、小型株や特定業種が低迷することもあります。「指数上昇率=上場銘柄の平均的な投資家が全員同じだけ儲かった」という意味ではありません。
含み損そのものが「間違い」とは限らない
投資では含み損が発生すること自体を完全に避けることはできません。どれほど優良な企業でも、購入直後から一直線に株価が上昇する保証はありません。
例えば長期的な企業価値の成長を期待して株を購入した翌日に市場全体が10%下落すれば、その投資家は含み損になります。しかし、それだけで前日の投資判断が間違いだったとは断定できません。
問題なのは「含み損になったこと」ではなく、「なぜその銘柄を買ったのか説明できない」「想定以上に一銘柄へ集中した」「投資前提が崩れたのに株価が戻ることだけを期待している」といった状態です。
「含み損率」ではなく市場平均との比較もしてみる
自分の投資方法が機能しているかを考えるなら、同じ期間のベンチマークと比較すると分かりやすくなります。日本株中心ならTOPIXなどが一つの比較対象になります。
例えば2023年から日本株を運用していて自分の資産が5%減少した一方、同じ期間に比較対象とした指数が大幅に上昇しているなら、「個別銘柄選択や売買タイミングによって市場平均を下回った」という事実は検証できます。
逆に、投資を始めてまだ数週間しか経っていないなら、数年間の指数上昇と比較して「自分だけ負けた」と考えるのは適切ではありません。比較するときは自分が実際に投資を開始した日から同じ期間で見る必要があります。
個別株投資とインデックス投資では目的が違う
個別株を選ぶということは、市場平均とは異なるポートフォリオを自分で作ることです。そのため、市場平均を上回る可能性がある一方、大幅に下回る可能性もあります。
一方、TOPIXなど広範な指数へ連動するインデックスファンドなら、多数の企業へまとめて投資できます。個別企業の選択によって市場平均から大きく外れるリスクを抑えやすくなります。
これは「個別株は間違いでインデックス投資が正解」という意味ではありません。企業分析をして市場平均以上のリターンを狙うなら個別株にも合理性があります。ただし、その場合は市場平均を下回る可能性も引き受けることになります。
上昇相場で含み損になったときに確認したいポイント
含み損を見てすぐ売却や買い増しを決めるより、まず何が原因だったのかを分類すると今後の判断に役立ちます。
| 確認項目 | チェックする内容 |
|---|---|
| 購入時期 | 急騰後の高値で購入していないか |
| 銘柄分散 | 1~2銘柄へ資金を集中させていないか |
| 業種分散 | 同じ業種ばかり保有していないか |
| 購入理由 | 業績・企業価値ではなくSNSの話題だけで買っていないか |
| 投資前提 | 購入時に期待した成長シナリオが現在も成立しているか |
| ナンピン | 下落銘柄だけ買い増して比率が高くなっていないか |
| 売買行動 | 安値で売り、高値で買い戻す行動を繰り返していないか |
| 比較期間 | 自分の投資開始日と同じ期間の指数を比較しているか |
| 総合損益 | 含み損だけでなく確定利益・配当も含めているか |
この中で複数項目に当てはまるなら、単に「運が悪かった」で終わらせず、投資ルールを見直す価値があります。
含み損から取り返そうとしてリスクを上げるのは要注意
含み損が大きくなると、「早く取り返したい」という心理から、さらに値動きの激しい銘柄へ乗り換えたり、信用取引やレバレッジ商品を利用したりしたくなることがあります。しかし、必要なリターンが大きくなるほど一般に取らなければならないリスクも大きくなります。
例えば100万円が50%下落すると50万円です。元の100万円へ戻るためには、そこから50%ではなく100%の上昇が必要です。大きな損失ほど回復に必要な利益率が急激に高くなります。
そのため「一発で取り返す」より、ポジションサイズや分散方法、購入基準など、損失が大きくなった原因を修正するほうが長期的な資産形成では重要です。
長期・積立・分散が万能という意味でもない
金融庁は資産形成の基本として長期・積立・分散投資を紹介しています。積立によって高値だけで買うリスクを抑え、分散によって特定の資産から受ける影響を軽減し、長期投資によって複利効果を期待する考え方です。
ただし、長期・積立・分散を行えば必ず利益になるわけではありません。株式や投資信託には元本割れの可能性があり、金融庁もその点を明記しています。[参照] 金融庁「資産形成の基本」
重要なのは「絶対に損をしない方法」を探すことではなく、一つの銘柄や一回の購入タイミングによって資産全体が大きく左右されない仕組みを作ることです。
まとめ|上昇相場で含み損でも不思議ではない。重要なのは市場平均と投資行動を分けて考えること
株式市場全体が数年間上昇していたとしても、個別株を保有する投資家が全員利益を得るわけではありません。株価指数は複数の構成銘柄から計算されており、上昇銘柄と下落銘柄が同時に存在します。
上昇相場で含み損になりやすい原因としては、急騰後の高値掴み、特定銘柄・業種への集中、話題株への追随、無計画なナンピン、利益銘柄を早く売って損失銘柄だけ残す行動、下落時に売って上昇後に買い戻す行動などが考えられます。
一方、購入して間もない銘柄が一時的に下落しているだけなら、含み損そのものを「投資の間違い」と判断することもできません。企業への投資前提が維持されているのか、ポートフォリオ全体のリスクが適切なのかという視点が重要です。
「相場が上がっていたのに、なぜ自分は含み損なのか」を検証する最も分かりやすい方法は、自分が投資を開始した同じ日からの市場指数と、自分の配当・確定損益を含めたトータルリターンを比較することです。
その結果、市場平均を継続的に大きく下回っているのであれば、銘柄選択や売買タイミング、集中投資の程度を見直す材料になります。反対に短期間の含み損だけなら、市場の通常の価格変動の範囲である可能性もあります。「含み損があるか」ではなく、「当初の投資方針に対して現在の状態が合理的か」で評価することが大切です。
※本記事は2026年8月時点の日本取引所グループ、金融庁等の公開情報をもとに、一般的な投資の考え方を解説したものです。特定の銘柄・金融商品の売買を推奨するものではありません。株式・投資信託等には価格変動による元本割れのリスクがあります。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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