新NISAのつみたて投資枠でS&P500連動型の投資信託を積み立てていると、投資額を増やす際に「そのままS&P500へ追加するか、オルカンなど別の商品も買うか」で迷いやすくなります。
この2択に万人共通の正解はありません。重要なのは、商品数を増やすこと自体ではなく、米国株へ重点的に投資したいのか、米国以外も含め世界へ広く分散したいのかを決めることです。
S&P500とオルカンを両方買うと分散先は広がりますが、米国株部分はかなり重複します。そのため「2本なら1本より分散できて安全」と単純に考えるのではなく、最終的な資産配分を意識して選ぶことが大切です。
S&P500とオルカンは何が違う?
S&P500は米国の代表的な大型株を中心とする株価指数です。S&P Dow Jones Indicesによると、S&P500は米国大型株市場を代表する指数で、米国株式市場の利用可能な時価総額のおよそ80%をカバーしています。[参照:S&P Dow Jones Indices]
一方、一般に「オルカン」と呼ばれる全世界株式型の投資信託は、日本を含む先進国・新興国など世界各国の株式へまとめて投資するタイプです。具体的な投資対象や連動指数は商品によって異なるため、購入する投資信託の目論見書を確認する必要があります。
大まかにいえば、S&P500は「米国企業を中心に投資する」、全世界株式は「米国も含めて世界へ投資する」という違いです。どちらも株式中心なので、元本保証の商品ではなく、相場によって大きく値下がりすることがあります。
S&P500とオルカンを両方買っても完全な別物にはならない
S&P500と全世界株式を半分ずつ買えば、米国と米国以外へ50%ずつ投資することになるわけではありません。全世界株式の中にも米国企業が大きな割合で含まれているためです。
例えば全世界株式の米国比率を仮に約60%として、S&P500を50%、全世界株式を50%保有するとします。この場合、概算では資産全体の米国株比率は「50%+50%×60%=約80%」になります。
つまり2本を持つ意味はありますが、その意味は「まったく異なる資産へ分散する」というより、S&P500だけの場合より米国以外の株式を加えて、米国への集中度を少し下げることにあります。
S&P500へ全部追加するのが向いている考え方
S&P500への積み立てを増やす選択は、米国企業の長期的な成長力を重視し、米国株への集中を理解したうえで投資したい場合にはシンプルです。保有商品が増えないため、資産管理も分かりやすくなります。
例えば現在月3万円をS&P500へ積み立て、追加できる4万円も同じ商品へ入れれば、毎月7万円を一つの商品へ積み立てる形になります。「どの商品を何%にするか」を頻繁に考える必要がなく、継続しやすいことはメリットです。
ただし、S&P500だけなら投資対象は基本的に米国株です。将来、米国株が他地域より長期間低迷する局面が来れば、その影響をまともに受けます。過去に米国株が高い成長を示したからといって、将来も他国を上回ることが保証されているわけではありません。
オルカンを追加するのが向いている考え方
米国だけに集中することへ不安を感じるなら、追加資金を全世界株式へ振り向ける方法があります。米国以外の先進国や新興国も保有できるため、地域分散を広げられます。
例えば現在のS&P500月3万円はそのまま継続し、新しく投資できる月3万円を全世界株式へ積み立てる方法もあります。この場合、既存の米国株中心の運用を維持しつつ、新規資金によって徐々に世界株式への分散を増やせます。
一方、全世界株式を加えたから必ずS&P500だけより値下がりしにくくなるわけではありません。世界的な株安では両方が同時に下落する可能性があります。「世界分散=元本割れしない」という意味ではない点には注意が必要です。
初心者ほど「どちらが儲かるか」より続けられる設計を考える
将来S&P500と全世界株式のどちらが高いリターンになるかを正確に予測することはできません。今後も米国株が優位ならS&P500が有利になる可能性がありますし、米国以外の市場が相対的に強くなれば全世界株式を保有するメリットが表れます。
そのため初心者の場合、「今年上がりそうなほう」ではなく、10年、20年という期間でも方針を変えずに保有できそうかを考えるほうが重要です。金融庁も安定的な資産形成について、長期・積立・分散投資を有効な選択肢の一つとして説明しています。[参照:金融庁 長期・積立・分散投資の考え方]
例えば株価が大幅に下落したとき、「米国だけで大丈夫だろうか」と不安になって売ってしまいそうなら、最初から世界へ広く分散する考え方にも合理性があります。反対に米国集中の特徴を理解し、下落局面でも積み立てを続けられるならS&P500一本という選択もあり得ます。
月3万円から6~7万円へ増額してもNISAのつみたて投資枠内
現在のNISAでは、18歳以上のつみたて投資枠は年間120万円です。月額に単純換算すると平均10万円までとなります。金融庁によると、成長投資枠は年間240万円で、両枠を合わせた非課税保有限度額は1,800万円です。[参照:金融庁 NISA制度概要]
月3万円なら年間36万円、月6万円なら72万円、月7万円なら84万円です。そのため毎月3万円からさらに3~4万円増額して月6~7万円にする場合、年間を通してその金額なら現行のつみたて投資枠120万円以内に収まります。
ただし、NISAの枠が余っているからといって無理に満額まで投資する必要はありません。数年以内に使う予定のお金や、急な病気・失業・家電故障などに備える生活防衛資金まで株式投資へ回すと、相場下落時に売却せざるを得なくなる可能性があります。
迷ったときは3つのパターンで考えると分かりやすい
商品名から考えるより「自分はどの程度米国へ集中したいか」で整理すると選択しやすくなります。
| 考え方 | 積立例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 米国を重視 | S&P500に月6~7万円 | シンプルだが米国集中度が高い |
| 米国を中心に世界も加える | S&P500月3万円+全世界株式月3~4万円 | 米国を多く持ちながら他地域にも広げる |
| 世界分散を基本にする | 今後の積立を全世界株式中心へ変更 | 特定国を自分で選ぶ必要が少ない |
例えば「米国と世界のどちらが勝つか分からないので、自分では国を選びたくない」という人には全世界株式中心の考え方が分かりやすいでしょう。一方、「米国集中のリスクを理解したうえで米国企業へ重点投資したい」という人ならS&P500中心でも方針として一貫しています。
なお、S&P500とオルカンを両方保有すること自体に問題があるわけではありません。大切なのは「人気商品だから2本買う」のではなく、重複を理解したうえで意図的に配分することです。
積立額を増やす前に生活防衛資金も確認する
月3~4万円を追加できる余裕があっても、その全額を投資してよいかは家計状況によります。預金がほとんどない場合と、十分な現預金を確保している場合では適切な投資額は異なります。
例えば月7万円を投資できても、突然30万円の出費が発生すると投資信託を売却しなければならない家計なら、追加分の一部を現金で確保する選択肢があります。株式市場は必要なタイミングで値下がりしている可能性があるからです。
NISAは税制優遇制度であり、利益を保証する制度ではありません。「NISAだから安全」ではなく、投資信託の中身に応じた価格変動リスクを負います。投資期間、収入の安定性、近い将来の大きな支出なども含めて積立額を決めることが重要です。
まとめ:S&P500かオルカンかは「米国への集中度」で決める
新NISAでS&P500へ月3万円を積み立てていて、さらに月3~4万円を追加できる場合、追加分をS&P500へ入れる方法と全世界株式へ入れる方法のどちらにも合理性があります。
米国へ重点的に投資したいならS&P500へ追加、米国以外にも投資先を広げたいならオルカンなどの全世界株式を追加する、という考え方が基本です。S&P500とオルカンには米国株という大きな重複があるため、単純に商品数を増やせば分散効果が大きくなるわけではありません。
投資初心者ほど短期的な成績を予想して商品を乗り換えるより、自分が納得できる資産配分を決め、生活に必要な現金を確保したうえで長期的に積み立てを継続できる仕組みを作ることが重要です。最終的には「どちらが将来一番上がるか」ではなく、「どの地域配分なら大きな下落があっても投資を続けられるか」を基準に考えると選びやすくなります。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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