2026年9月の米国株は、S&P500やNASDAQが高値圏にある一方、金利、原油価格、地政学リスク、FRBの金融政策をめぐる不透明感が強く、値動きが大きくなりやすい環境でスタートしています。特に9月後半については、過去の季節性から下落を警戒する見方もあります。
ただし、「9月は弱い月だから9月後半に必ず下落する」と予測することはできません。2026年は企業業績やAI関連需要という株価の支援材料もあり、下落要因と上昇要因が同時に存在しています。
そこで、2026年9月1日時点の市場環境を基準に、9月後半に米国株が下落する可能性を考えるうえで重要なポイントを整理します。
2026年9月の米国株は高値圏からスタート
2026年8月末時点のS&P500は7,700ポイント台で、史上最高値に近い水準にあります。NASDAQもAI関連株を中心とした強さが続き、8月の米国株は全体として堅調でした。
一方、8月31日の米国市場では原油価格の上昇やインフレ懸念などを背景に株価が下落しました。Reutersによると、8月31日はダウが0.57%、S&P500が0.36%、NASDAQが0.31%下落しています。[Reuters参照]
つまり9月は、大きく売られた後の安値圏ではなく、かなり上昇した状態から始まっていることが一つのポイントです。高値圏では悪材料が出た際に利益確定売りが増える可能性があります。
9月は歴史的に米国株が弱くなりやすい月
9月の下落が警戒される大きな理由が「季節性」です。長期間の米国株データを見ると、9月はS&P500やダウにとって年間でもパフォーマンスが弱い月として知られています。
2026年9月1日のBarron’sの分析でも、歴史的には9月のS&P500とダウの平均騰落率が約マイナス1.1%、NASDAQも約マイナス0.8%とされています。[Barron’s参照]
ただし、これは長期間の平均にすぎません。「平均すると9月は弱い」と「2026年9月も下がる」はまったく別の話です。実際には9月に上昇した年も数多くあります。
2026年9月はFRBの政策判断が最大級の材料
2026年9月の米国株で特に重要なのがFRBの金融政策です。8月末のジャクソンホールでFRB議長ケビン・ウォーシュ氏がインフレに対して慎重な姿勢を示したことで、市場では9月の利上げ可能性が改めて意識されました。
8月末には9月利上げを織り込む確率が一時50%を超える水準まで上昇したとの報道もあり、債券利回りも上昇しています。金利が予想以上に高くなる場合、株式の理論的な評価には逆風となり、特に高PERの成長株やNASDAQへの影響が大きくなる可能性があります。
反対に、雇用やインフレ指標が落ち着き、FRBが利上げを見送るとの見方が強まれば、長期金利が低下して株式には追い風となる可能性があります。2026年9月後半の方向を考えるなら、季節性以上にFRBと金利を見る必要があります。
9月前半の雇用統計と物価統計が後半の方向を左右する
9月前半には米国の雇用統計や物価関連指標など重要な経済指標が発表されます。これらはFRBの政策判断を左右するため、株式市場にも大きく影響します。
例えば雇用が予想以上に強く、賃金上昇や物価上昇圧力も強い場合、市場では「FRBがさらに金融引き締めを行うのではないか」との見方が強まります。すると米国債利回りが上昇し、株式のバリュエーションが圧迫される可能性があります。
逆に景気指標が適度に減速しながら企業利益が維持される、いわゆるソフトランディングに近い結果なら株式市場には好材料です。したがって、9月後半を予測するには9月前半に発表される数字を確認することが重要です。
原油価格の上昇も2026年9月特有のリスク
2026年は中東情勢が市場の大きなリスク要因になっています。8月31日には軍事的緊張を背景に原油価格が上昇し、Brent原油が1バレル90ドルを超える場面もありました。[Reuters・世界市場参照]
原油価格が上昇すると、ガソリンや輸送費などを通じてインフレを押し上げる可能性があります。インフレが高止まりすれば、FRBが金利を下げにくくなるだけでなく、追加利上げへの警戒が強まることもあります。
2026年9月は「原油高→インフレ懸念→金利上昇→株価下落」という連鎖が起こるかどうかも重要なチェックポイントです。逆に中東情勢が落ち着いて原油が下落すれば、このリスクは弱まります。
NASDAQは金利上昇の影響を受けやすい
米国株と一括りにしても、S&P500、NASDAQ、ダウでは金利への反応が異なります。特にNASDAQには将来の利益成長を高く評価されているテクノロジー企業が多いため、長期金利の急上昇が逆風になりやすい傾向があります。
例えばFRBの追加利上げ観測が強まり、米国10年債利回りがさらに上昇した場合、好業績の企業でもPER調整によって株価が下がることがあります。
そのためNASDAQ100やFANG+など米国大型テクノロジー株への投資比率が高い人は、S&P500だけを見て「米国株はそれほど下がっていない」と判断しないことも大切です。
一方で企業業績とAI需要は強い支援材料
下落材料だけを見ると9月はかなり危険に感じますが、2026年の米国企業の業績には強い部分もあります。特にAIインフラへの投資需要は引き続き株式市場を支える材料になっています。
8月末時点でもNVIDIAなどAI関連企業の業績や需要は市場から注目されており、9月前半にはBroadcomなどの決算も予定されています。AI関連企業が市場予想を上回る業績や見通しを示せば、NASDAQやS&P500を押し上げる可能性があります。
つまり、「金利上昇だから株価は必ず下がる」という単純な相場でもありません。企業利益の伸びが金利上昇によるバリュエーション低下を上回れば、高値を更新するシナリオも残ります。
9月後半に下落するシナリオ
弱気シナリオとして考えやすいのは、原油高が続き、インフレ指標が市場予想を上回り、FRBが追加利上げに積極的な姿勢を示すケースです。そこへ9月特有の利益確定売りが重なれば、S&P500やNASDAQが数%規模で調整しても不思議ではありません。
例えば高値から5%程度下落しても、一般的には本格的な弱気相場ではなく通常の調整の範囲です。株式市場では10%未満の下落は珍しいものではありません。
さらに中東情勢が悪化して原油価格が急騰する、企業業績見通しが悪化するなど複数の悪材料が重なれば、より大きな調整につながる可能性もあります。
反対に9月後半も上昇するシナリオ
強気シナリオは、雇用・物価指標が適度に落ち着き、FRBの追加利上げ懸念が後退するケースです。米国債利回りが低下すれば、特に大型テクノロジー株には追い風となります。
さらにAI関連企業の業績が市場予想を上回り、中東情勢も落ち着いて原油価格が下落すれば、「9月は下がる」という季節性を無視して株価が上昇する可能性もあります。
現在は「9月後半の下落リスクは普段より意識しておきたいが、下落を確定シナリオとして売買するほど明確ではない」という状況と考えるのが現実的です。
「9月後半まで待って買う」は意外と難しい
9月が歴史的に弱いなら「今は買わず、9月後半に暴落したところで買えばよい」と考えたくなります。しかし、これはマーケットタイミングを当てる必要があるため簡単ではありません。
例えば9月前半に株価が5%上昇し、後半に3%下落した場合、後半まで待った人は現在より高い価格で購入することになります。逆に前半から大きく下落することもあります。
長期投資を前提とするなら、一度に全額投資するのが怖い場合は購入時期を分散する方法があります。例えば投資予定資金を3~4回に分け、9月前半、FOMC前後、9月後半などに分けて購入すれば、「底値を一度で当てる」必要がなくなります。
短期投資なら9月はイベント日程を確認しておく
短期売買の場合は、季節性より経済イベントの確認が重要です。雇用統計、CPIなどの物価指標、FOMC、FRB関係者の発言では、株価だけでなく米国債利回りやドルも大きく動く可能性があります。
特に2026年9月は金融政策をめぐる市場予想が揺れているため、一つの経済指標で利上げ確率が大幅に変化する可能性があります。高レバレッジでNASDAQなどを取引する場合には注意が必要です。
予想が外れたときの損失を許容できないポジションを持たないことも重要です。相場の方向を予想することと、実際に資産を管理することは別問題だからです。
まとめ|9月後半の下落リスクはあるが「下がる」とは断定できない
2026年9月の米国株には、歴史的に弱い9月という季節性、高値圏の株価、FRBの追加利上げ観測、長期金利上昇、中東情勢と原油高など複数の下落リスクがあります。そのため、9月後半に調整が起こる可能性は十分意識しておきたい局面です。
一方、企業業績やAI関連需要は依然として株価を支える材料です。雇用・インフレ指標が落ち着き、金利上昇懸念が後退すれば、9月の季節性に反してS&P500やNASDAQが高値を更新する可能性もあります。
したがって「9月後半は必ず下がるから全部売る」「暴落するまで一切買わない」と日付だけで判断するより、FRBの政策、米国債利回り、原油価格、雇用・物価指標、企業業績を確認するほうが合理的です。長期投資で下落が怖い場合には、購入時期を数回に分散し、予測が外れても運用計画が崩れない形にしておく方法も有効です。
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