「悪貨は良貨を駆逐する」というフレーズで知られるグレシャムの法則は、貨幣経済の歴史や政策を理解するうえで欠かせない重要な概念です。今回は、この法則の意味とその実例を、特に貨幣にフォーカスして具体的に解説していきます。
グレシャムの法則とは?
グレシャムの法則とは、名目価値が同じ2種類の貨幣が市場に流通している場合、実質的な価値の低い貨幣(悪貨)が流通し、価値の高い貨幣(良貨)は市場から退蔵される傾向があるという経済原則です。
この現象は16世紀のイギリス財政官トマス・グレシャムによって提唱されましたが、現象自体は古代から観察されていました。
貨幣におけるグレシャムの法則の具体例
たとえば、昔の銀貨と銅貨の両方が同じ1円として法定通貨とされた場合、銀の含有量が高い銀貨(良貨)と、銅の含有量が高い銅貨(悪貨)が同価値で使える状態になります。
この場合、人々は高価な銀貨を貯めたり溶かして素材として転売したりする一方で、銅貨を日常の支払いに使うようになります。結果として、銀貨(良貨)は市場から消え、銅貨(悪貨)ばかりが流通するようになります。
歴史的な実例:日本の明治期
明治時代の日本では、新政府が金貨と銀貨を1円と同価値で法定通貨にしましたが、国際市場では金の価値のほうが高かったため、金貨は海外に流出し、国内には銀貨ばかりが残るようになりました。
これはグレシャムの法則そのものであり、当時の日本は金本位制への移行に課題を抱えることとなりました。
現代社会における影響と類似現象
現代では金属貨幣の使用は少ないですが、記念硬貨や旧札、特殊なプリペイドカードなどでも同様の行動が観察されます。たとえば、希少価値のある500円白銅貨や旧500円札などを使わずにコレクションとして保管する行動は、まさにグレシャムの法則が作用している例です。
また、仮想通貨の世界でも「使いやすさ」や「送金手数料の安さ」などで評価が分かれ、価値の高い通貨は保存用、使いやすい通貨が日常的な取引用として選ばれる傾向が見られます。
なぜこの法則が重要なのか
グレシャムの法則を理解していると、貨幣制度の設計や金融政策がどのような影響を市場に及ぼすかを予測しやすくなります。とくに法定通貨制度の欠陥や、インフレ・デフレ下での資産行動にも影響を与える理論として、現代の金融リテラシーにも重要です。
まとめ:グレシャムの法則は今も生きている
グレシャムの法則は単なる古い経済法則ではなく、現代にも通じる深い洞察を提供するものです。貨幣制度や通貨政策に興味がある方は、この法則を理解することでより本質的な視点を持つことができるでしょう。
経済学の基本ながら奥深いこの理論を知っておくことで、日常のニュースや金融政策もよりクリアに読み解けるようになります。

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