NISAで投資を始めて3年ほど経ち、資産評価額が790万円、評価損益がプラス180万円になっていると、「これは良い成績なのか」「運用方法はこのままでよいのか」が気になるところです。
数字だけを見ると大きな含み益が出ており、少なくとも現時点の運用結果はプラスです。ただし、評価益180万円だけから投資成績の良し悪しを正確に判定することはできません。途中で何度も積立・スポット購入している場合、単純な利益率と年率リターンは別物だからです。
また、毎月10本の投資信託へ積み立てることが本当に分散投資になっているか、損失が嫌で売却する判断が長期投資と噛み合っているかも確認したいポイントです。NISAでは利益だけでなく「どの程度のリスクを取って、その利益を得たのか」という視点が重要になります。
790万円で評価益180万円なら単純計算では約29.5%の含み益
現在の評価額が790万円、そのうち評価益が180万円だと仮定すると、現在保有している資産の取得金額は概算で610万円です。したがって取得金額に対する現在の評価益率を単純計算すると、180万円÷610万円×100で約29.5%になります。
約610万円の投資元本が現在約790万円になっているという意味では、かなり大きなプラスです。ただし、これは「3年間で年率約10%だった」という意味ではありません。
最初から610万円全額を3年間運用していたのではなく、毎月の積立や30万円程度のスポット購入などで途中から追加投資しているからです。正確な運用成績を知るには、それぞれの入金時期まで反映した収益率を見る必要があります。
本当の投資成績を知るなら入金額と入金時期を分けて考える
積立投資では「資産がいくら増えたか」と「運用がどれだけ上手くいったか」は必ずしも同じではありません。資産790万円の中には自分で追加した資金も含まれるためです。
例えばAさんが3年前に610万円を一括投資して790万円になった場合と、Bさんが3年間かけて徐々に610万円を入金して790万円になった場合では、最終的な利益額が同じ180万円でも運用成績は異なります。
自分の成績を比較したいなら、証券会社で表示されるトータルリターンに加え、必要に応じて入出金の時期を考慮するIRRなどを使う方法があります。ただし個人の長期資産形成では、短期間のランキングを競うより、目的に合ったリスクで継続できているかのほうが重要です。
3年間でプラス180万円でも将来の好成績は保証されない
NISAは利益を保証する制度ではありません。金融庁も、株式や投資信託などには元本割れのおそれがある一方、長期・積立・分散投資によって安定的な資産形成を目指す考え方を案内しています。[参照:金融庁 NISAを知る]
評価益180万円があると「180万円までは下がっても元本割れではない」と感じるかもしれませんが、含み益は確定した利益ではありません。株式や金などの相場が下落すれば、評価益が100万円、50万円と減り、状況によっては評価損へ転じることもあります。
そのため、現在のプラス額を自分の投資能力そのものだと考えないことが大切です。相場環境による追い風と、自分の資産配分・購入判断による成果を完全に切り分けるのは難しいからです。
投資信託を10本持てば10倍分散されるわけではない
毎月1万円ずつ10本の投資信託へ積み立てると、毎月10万円を投資することになります。一見すると非常に分散されているように見えますが、投資信託は本数ではなく「中身」で分散度を判断します。
例えば全世界株式ファンド、米国株式ファンド、S&P500連動ファンド、先進国株式ファンドを同時に持っていると、それぞれ名称は違っても米国の大型企業が何度も重複することがあります。10本保有していても、実質的には特定地域や資産への比重が高い場合があります。
逆に1本の全世界株式型インデックスファンドだけでも、多数の国・企業へ投資する商品であれば、それ自体が幅広く分散されています。大切なのは本数ではなく、株式、債券、金などの資産種類、地域、通貨、業種などを確認してポートフォリオ全体を見ることです。
オルカンとゴールドファンドを持つ意味を整理する
いわゆるオルカンのような全世界株式型ファンドとゴールドファンドでは、投資対象の性質が大きく異なります。全世界株式は世界各国の企業へ投資する一方、金は企業の利益成長へ投資する資産ではありません。
金は株式と異なる値動きをすることがあり、ポートフォリオの分散先として利用されます。一方で、金価格自体が大きく上下することもあります。「金だから安全」「株式より必ず下がりにくい」と考えるのは適切ではありません。
したがって「オルカン50万円、ゴールド60万円」のような購入額そのものより、現在の790万円のうち世界株式が何%、金が何%、その他の資産が何%なのかを確認すると、自分がどのリスクへどれだけ投資しているのか見えやすくなります。
プラチナファンドの18万円損切りから考えたいこと
プラチナファンドで18万円の含み損が発生し、損失を見るのが嫌になって売却したという経験は、自分のリスク許容度を知る材料になります。売却そのものが正しかったか間違っていたかは、その後の値動きだけでは判断できません。
重要なのは「なぜプラチナへ投資したのか」「購入時に何%下落する可能性を想定していたのか」「どの条件になったら売却する予定だったのか」です。購入理由がなく、値上がりへの期待だけで買い、下がったら怖くなって売るという行動を繰り返すと、高値で買って安値で売るパターンになりやすくなります。
例えば18万円の含み損を精神的に耐えられないと感じたのであれば、次に同程度の値動きがある資産へ投資するときは、投資額そのものを小さくする方法があります。リスク許容度とは「理論上どれだけ損できるか」だけでなく、実際に下落したときに冷静に保有を続けられるかという心理面も含みます。
NISAでは損失の扱いにも注意が必要
NISA口座で得た売却益や配当・分配金には一定の条件のもと税金がかからないことが大きなメリットです。一方、NISA口座で発生した損失については、課税口座の利益との損益通算や損失の繰越控除ができません。金融庁もこの点をNISAの注意事項として案内しています。[参照:金融庁 NISAの概要]
そのため、NISAだから頻繁に売買したほうが得という制度ではありません。2024年からのNISAでは売却した商品の簿価分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できますが、その年の年間投資枠が売却によって即座に復活する仕組みではありません。
短期的な値動きで商品を入れ替えるより、最初に自分が長期間保有できる商品と資産配分を決めることがNISAとの相性がよい考え方です。
30万円のスポット投資は「余裕があるから」だけで決めない
まとまった現金ができたときに30万円程度をスポット購入する方法自体に問題があるわけではありません。ただし「最近上がっているから追加する」「下がりそうだから待つ」といった短期予想を繰り返すと、投資判断が相場の雰囲気に左右されやすくなります。
スポット投資をするなら、例えば「生活防衛資金として必要な現金を除き、余剰資金が一定額を超えたら投資する」「目標の資産配分から外れた資産へ追加する」といった自分なりのルールを決めておく方法があります。
数年以内に住宅購入、車の買い替え、教育費などで使う予定のお金まで値動きの大きい商品へ入れると、必要な時期と暴落が重なる可能性があります。投資額を増やす前に、近い将来使う資金と長期運用できる資金を分けておくことが重要です。
今後は「利益額」より資産配分をチェックする
資産790万円・評価益180万円という数字は喜ばしい結果ですが、今後確認したいのは10本の投資信託それぞれの利益順位ではありません。ポートフォリオ全体の中身を一覧にしてみることです。
「全世界株式○%、米国株式○%、日本株式○%、金○%、その他○%」のように分類すると、似たファンドを複数保有することで発生している重複が見つかる場合があります。そのうえで、それぞれを保有している理由を一言で説明できるか確認します。
また「評価額が790万円から600万円になっても積立を継続できるか」と考えてみるのも一つの方法です。答えが明確にNOなら、現在の値動きの大きさが自分のリスク許容度を超えている可能性があります。
まとめ:評価益180万円は大きなプラスだが、3年目の成績は利益額だけでは評価できない
NISA3年目で資産評価額790万円、評価益180万円であれば、現在保有している資産の取得額を約610万円と仮定した単純な含み益率は約29.5%です。現時点で大きなプラスになっていることは確かですが、積立やスポット購入の時期が異なるため、この29.5%をそのまま3年間の運用利回りと考えることはできません。
むしろ今後重要になるのは、10本の投資信託が本当に必要なのか、投資先が重複していないか、ゴールドなどを含めた資産配分が自分の目的とリスク許容度に合っているかを確認することです。プラチナで18万円の損失を経験したことも、自分がどの程度の下落まで耐えられるかを考える有益な材料になります。
NISAでの資産形成は3年間の成績だけで勝敗を決めるものではありません。現在の含み益を喜びつつも、それを将来も続く前提にはせず、長期・積立・分散という基本に立ち返り、相場が大きく下落しても継続できるシンプルな運用方針を作ることが大切です。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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