新窓販国債(新型窓口販売方式による国債)は、国が元本を一定価格で買い取る「個人向け国債」と仕組みが異なります。満期まで保有すれば額面金額で償還されますが、満期前に手放す場合は市場価格で売却するため、購入価格を下回る可能性があります。
一方、保有中の利払日にすでに支払われた利子については、通常、後から市場価格が下落したという理由だけで返還する仕組みではありません。したがって新窓販国債の損益を考えるときは、「受取済みの利子」と「売却時の価格」を分けて考えることが重要です。
ただし「1000万円・年2%なら3年間で60万円を確実に手元に残せる」と単純化するのも正確ではありません。利子には税金がかかり、購入価格が額面100円とは限らず、初回利子の調整額が必要になる場合もあります。ここでは仕組みを順番に整理します。
新窓販国債は半年ごとに利子が支払われる
新窓販国債には固定10年・固定5年・固定2年があり、固定金利で、利子は半年ごとに支払われます。財務省が2026年8月に募集している新窓販国債でも、各銘柄について年2回の利払日が設定されています。[参照:財務省 現在募集中の個人向け国債・新窓販国債]
額面1000万円、表面利率が年2%だったと仮定すると、税引前の1年間の利子は20万円、半年分では10万円です。6回の利払いを受ければ、税引前の利子は合計60万円となります。
ただし個人が受け取る国債の利子には原則として20.315%の税金がかかります。そのため単純計算では、年2%なら税引後の利率は約1.5937%、1000万円に対する3年間の税引後利子は約47万8110円となります。実際には購入した銘柄の条件や初回利子の調整額も確認する必要があります。
3年後に売却しても、それまでの受取済み利子が市場価格下落だけを理由に取り戻されるわけではない
新窓販国債を満期前に手放す場合、「解約」というより市場での売却と考えるほうが正確です。財務省は、新窓販国債について市場でいつでも売却可能であり、その時々の市場価格によって売却損または売却益が発生すると説明しています。
それまでの利払日に正常に受け取った利子については、その後に国債を売却したからといって「過去3年分の利子を返してください」という仕組みではありません。この点は、中途換金時に一定額が差し引かれる個人向け国債と混同しないことが重要です。
したがって、額面1000万円・年2%の債券を3年間保有し、半年ごとの利子を6回受け取った後に売却した場合、損益はおおむね受け取った利子+売却代金-購入に要した金額という全体で考えます。売却価格が下がっていれば、受取利子を含めてもトータルで損失になる可能性があります。
個人向け国債との最大の違いは中途換金時の価格
新窓販国債と個人向け国債は、どちらも日本国が発行する国債ですが、途中で現金化するときの仕組みが大きく異なります。
| 項目 | 個人向け国債 | 新窓販国債 |
|---|---|---|
| 途中での現金化 | 原則として発行後1年から国が買い取り | 市場で売却 |
| 価格 | 額面ベースで中途換金 | その時点の市場価格 |
| 中途換金時 | 直前2回分の各利子相当額を基に一定額を差し引く | 市場価格次第で売却益・売却損 |
| 元本割れリスク | 中途換金でも原則なし | 満期前売却ではあり |
財務省も、新窓販国債は市場でいつでも売却できる一方、その時々の市場価格となるため元本割れのリスクがあると明記しています。[参照:財務省]
そのため「数年後に使う可能性があり、途中で元本割れするのは困る」という資金では、個人向け国債との違いを十分理解してから選ぶ必要があります。
なぜ金利2%の国債でも途中売却すると元本割れするのか
代表的な原因は、市場金利の上昇です。例えば年2%の固定金利国債を購入した後、新しく発行される同程度の国債が年3%程度になったとします。投資家から見れば、同じ条件なら年3%を受け取れる新しい国債のほうが魅力的です。
そこで既存の年2%国債を途中で売るには、その低い利率を補うように価格が下がる方向に働きます。反対に市場金利が低下すると、以前に発行された高い利率の国債の価値が上昇し、購入価格より高く売れることもあります。
つまり「日本国債だから元本割れしない」のではなく、「満期まで保有した場合」と「途中で市場売却した場合」を分ける必要があります。新窓販国債は満期時の償還金額が額面100円につき100円とされていますが、途中売却価格は100円とは限りません。
元本割れの最大は100%なのか
投資した国債そのものについて理論的に考えれば、価格がゼロになれば投資元本を100%失うことになるため、通常の現物国債購入で「投資元本を超えて価格がマイナスになり、さらに追加でお金を支払う」という商品ではありません。
ただし、日本国債の市場価格が現実にゼロになることと、「損失率の理論上の上限」を説明することは別問題です。日本国政府が元本や利子の支払いを行う国債について、通常の金利変動だけで価格が突然ゼロになるという意味ではありません。
また、満期まで保有する場合には財務省が定める償還金額で償還されます。例えば2026年8月募集の新窓販国債5年債は、募集価格が額面100円につき100円45銭、償還金額は100円です。つまり購入価格そのものが100円を超える銘柄もあります。[参照:財務省 新窓販国債5年 2026年8月債]
「1000万円を買ったら1000万円払う」とは限らない点にも注意
新窓販国債では、額面金額と実際の購入代金が一致しない場合があります。発行ごとに募集価格が決まり、額面100円につき99円台で販売されることもあれば、100円を超えることもあります。
例えば額面1000万円の国債が額面100円につき100円45銭なら、単純な債券価格部分だけでも購入代金は1004万5000円となります。一方、満期時の償還金額は額面1000万円です。その差も含めた収益性を見るために「表面利率」だけでなく「応募者利回り」を確認します。
さらに新窓販国債では、購入時に初回利子の調整額を支払う場合があります。財務省によると、発行日から初回利払日までが6か月に満たない一方、初回利払日に6か月分の利子が支払われるため、保有していなかった期間に相当する利子を購入時に調整する仕組みです。[参照:財務省 初回の利子の調整額について]
3年程度で売る予定なら「利子60万円」だけで判断しない
例えば5年や10年の新窓販国債を購入し、最初から3年程度で売却する予定なら、最終的な利益はその時点の市場金利によって大きく変わります。3年間で税引前60万円の利子を受け取ったとしても、売却価格が購入価格より70万円低ければ、単純化した計算では利子を含めても損失になります。
逆に市場金利が低下して国債価格が上昇すれば、受取利子に加えて売却益が出る場合もあります。つまり途中売却を前提とするなら、表面利率2%は「3年間で必ず6%儲かる」という意味ではありません。
数年後に住宅購入、教育費、生活費などで使うことが決まっており、必要な時点で元本割れしていると困る資金なら、満期までの期間を資金の使用予定と合わせることが重要です。
まとめ:受取済み利子と途中売却による損益は分けて考える
新窓販国債を額面1000万円、表面利率年2%で保有したと仮定すると、半年ごとの税引前利子は10万円、6回なら合計60万円です。ただし実際に手元へ残る金額は税引後では少なくなり、購入時の価格や初回利子の調整額なども考慮する必要があります。
すでに利払日に受け取った利子が、その後の市場価格下落だけを理由に返還させられるわけではありません。しかし3年後の売却価格が大きく下落すれば、それまでの利子を含めたトータルの投資収支がマイナスになることはあります。
また通常の現物国債投資では、価格について考える理論上の損失上限は投資した金額までですが、新窓販国債を満期前に売却した際の価格があらかじめ保証されているわけではありません。購入前には「何年間保有する予定なのか」「満期まで保有できる資金なのか」を確認し、元本割れを避けたい場合は中途換金の仕組みが異なる個人向け国債とも比較することが重要です。
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