日米協調介入後もドル円が160円台へ戻った理由は?155円割れの可能性と今後の為替シナリオを解説【2026年】

外国為替、FX

2026年夏のドル円相場では、日本と米国による異例の協調介入が実施された後も円安圧力が続き、再び1ドル=160円近辺まで円が下落する展開となりました。大規模な介入があったにもかかわらず円安へ戻ったことで、「介入は効かなかったのか」「もう155円を割ることはないのか」と疑問を持つ人も多いでしょう。

結論として、ドル円が今後155円を割らないと判断することはできません。155円割れは十分起こり得る一方、再び160円台を上昇するシナリオも残っています。為替介入だけで方向が決まるのではなく、日米金利差、FRBと日銀の金融政策、米国景気、日本の物価・財政、投機的なポジションなどが複合的に影響するためです。

ここでは2026年8月時点の情報を基に、日米協調介入後のドル円と155円割れの可能性を整理します。

2026年の日米協調介入では何が起きたのか

財務省は2026年8月3日、米国東部時間7月31日に米国財務省と協調して円買い介入を実施したと公式に発表しました。財務省は、円の過度な変動や無秩序な動きへの対応だったと説明し、必要なら今後さらに協調介入することも躊躇しないとの姿勢を示しています。[参照:財務省 片山財務大臣談話]

さらに財務省が8月28日に公表した月次データでは、7月30日から8月26日までの外国為替平衡操作額は15兆3,993億円でした。これは非常に大きな規模です。[参照:財務省 外国為替平衡操作の実施状況]

報道では協調介入によってドル円が一時155円台まで円高方向へ動いたものの、その後は再び159~160円近辺へ円安が進んでいます。つまり介入には短期的な円高効果があったものの、その後の市場では再びドル買い・円売り圧力が強まったと考えられます。

なぜ大規模介入をしても再び160円近くまで戻ったのか

為替介入は非常に大きな売買ですが、それだけで中長期の為替レートを固定できるわけではありません。財務省自身も、為替相場は基本的には各国経済のファンダメンタルズを反映し、市場の需給によって決定されるものと説明しています。[参照:財務省 外国為替平衡操作]

現在の円にとって大きな問題の一つが日米の金利差です。米ドルで運用したほうが高い金利を得られる状況では、円を調達してドルなどの高金利通貨・資産へ投資する取引が行われやすくなります。この構造が残っていると、介入で一度円高になっても再び円売りが入りやすくなります。

つまり介入は「160円を超えたら永久に155円以下へ戻せる政策」ではありません。市場参加者が円を売る経済的な理由そのものが変わらなければ、介入後に元の水準へ戻ることがあります。

155円を割る可能性は十分にある

現在160円前後だからといって「もう155円以下にはならない」と考えるのは危険です。ドル円で160円から155円への変化は約3%程度です。為替市場では経済指標や金融政策の変化によって、この程度の値幅が生じることは珍しくありません。

実際、2026年夏の協調介入後には一時155円台まで円高が進んだと報じられています。したがって155円という水準そのものが、現在の市場から極端に遠い価格というわけではありません。

「160円を超えたから155円はもう来ない」という考え方には根拠がありません。重要なのは現在の数字そのものではなく、ドルを買う理由と円を売る理由が今後強まるのか弱まるのかです。

155円割れにつながりやすい材料

今後ドル円が155円を割るシナリオとして考えやすいのは、日米金利差が縮小するケースです。特に日銀の追加利上げ観測が強まり、日本の金利が上昇すれば円買い材料になる可能性があります。

2026年8月には、日銀が9月に政策金利を1%から1.25%へ引き上げるとの予想が市場で強まっています。ただし実際の政策決定は経済・物価情勢を踏まえて行われるため、利上げが事前に保証されているわけではありません。

また米国景気が予想以上に悪化し、FRBの利下げ観測が強まれば米国金利が低下し、ドル売りにつながる可能性があります。さらに急激な円安に対して日米が再び協調介入を実施すれば、短期間に大きく円高へ動くことも考えられます。

  • 日銀の追加利上げ・利上げ観測の強まり
  • 米国景気の悪化
  • FRBの利下げ観測の強まり
  • 米国債利回りの低下
  • 追加の円買い介入
  • 円売りポジションの急速な巻き戻し

これらが複数重なれば、155円割れだけでなく150円方向まで円高が進むシナリオも理論上は排除できません。

反対に160円台の円安が続くシナリオもある

一方で、155円割れを前提に取引するのも危険です。日銀が市場予想ほど利上げを進めず、米国の金利が高止まりすれば、日米金利差を意識した円売りが続く可能性があります。

日本の財政政策への懸念や輸入物価の上昇などが円売り材料として意識されることもあります。また介入が実施されても市場が「一時的な円高にすぎない」と判断すれば、介入後の安値でドルを買う動きが強まる可能性があります。

したがって今後のドル円は「160円を超えたから次は165円」という単純な相場でも、「日米介入したから150円へ戻る」という単純な相場でもありません。上下双方への材料が存在しています。

為替介入では「何円で介入するか」を予想しすぎない

「160円を超えたら介入」「165円なら必ず介入」といった固定的な介入ラインを想定することにも注意が必要です。日本政府は一般に特定の為替水準そのものより、過度な変動や無秩序な値動きを問題視する姿勢を示しています。

例えば数週間かけて緩やかに160円から162円へ動く場合と、数時間で160円から164円へ急騰する場合では、当局の受け止め方が同じとは限りません。

さらに2026年の特徴は米国が協調介入に参加した点です。財務省は米国財務省との緊密なコミュニケーションを維持し、さらなる協調介入も辞さないと明言しています。このため急激な円安局面では、以前より介入警戒感が高まりやすい状況と考えられます。

今後のドル円で特に確認したい5つの指標

ドル円の方向を考える場合、毎日の値動きだけを見るより、為替を動かしている材料を継続的に確認したほうが有効です。

確認項目 円高方向になりやすい変化 円安方向になりやすい変化
日銀 利上げ・タカ派化 利上げ先送り
FRB 利下げ・ハト派化 高金利長期化
米国債利回り 低下 上昇
為替介入 円買い介入 介入警戒の後退
市場ポジション 円売りの巻き戻し 円キャリー取引の拡大

特に今後は日銀の金融政策が重要です。円安を止めるには介入を繰り返すだけでなく、日米の金利差を含むファンダメンタルズが円高方向へ変化するかが焦点になります。

ドル円を予想するときは一点予想よりシナリオで考える

為替相場では「年末は155円」「次は165円」と一つの数字を当てに行くより、複数のシナリオを考えておくほうが現実的です。

例えば、日銀が追加利上げを進める一方で米国金利が低下すれば、155円割れの可能性は高まりやすくなります。反対に米国金利が高止まりし、日銀の利上げが市場予想より遅れれば、160円台が定着したり、さらに円安を試したりする可能性があります。

FXなどで実際に資金を投入する場合には、「絶対に155円を割らない」「介入があるから必ず円高になる」といった前提で大きなポジションを取らないことが重要です。レバレッジを利用している場合、数円の急変でも大きな損失になることがあります。

まとめ:155円割れは十分あり得るが、方向を断定できる相場ではない

2026年の日米協調介入後もドル円が再び160円近辺まで円安になったことは、為替介入だけでは中長期の相場を固定できないことを示しています。財務省によれば7月30日から8月26日までの介入額は15兆3,993億円に達しましたが、日米金利差など円売りにつながる構造的な材料は依然として残っています。

それでも「今後155円を割ることはない」と考える根拠はありません。日銀の追加利上げ、米国金利の低下、FRBの政策転換、追加介入、円売りポジションの巻き戻しなどが重なれば、155円を下回る展開は十分考えられます。

逆に日米金利差が縮まらなければ160円台が続く可能性もあります。今後のドル円では155円や160円という特定の数字だけを見るのではなく、日銀とFRBの政策、日米金利差、米国景気、介入姿勢がどちらへ変化しているのかを確認しながら判断することが重要です。

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