全世界の株式へ低コストで分散投資できる投資信託として、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド(以下、楽天オルカン)とeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、eMAXIS Slimオルカン)はよく比較されます。どちらもMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへの連動を目指す商品ですが、投資信託のコストを比較するときは、商品ページに表示された信託報酬だけを見ると実態をつかみ切れません。
投資信託では信託報酬のほか、売買委託手数料、監査費用、海外資産の保管費用などが信託財産から支払われることがあります。そのため、実際にどの程度の費用が発生したのかを確認するには、運用報告書の費用明細や総経費率まで確認することが重要です。
この記事では、楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンについて、信託報酬と実質的なコストの違い、運用報告書のどこを確認すればよいのか、そしてコスト以外に比較したいポイントまで整理します。
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンは何が違う?
楽天オルカンの正式名称は「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」で、2023年10月27日に設定されました。楽天投信投資顧問によると、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目標として運用されています。[参照]
eMAXIS Slimオルカンも、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとするインデックスファンドです。つまり、両商品は運用会社や運用方法などには違いがあるものの、投資家から見た大きな目的は、1本の投資信託で日本を含む世界の株式へ幅広く投資することという点でよく似ています。
そのため両者を比較するときに注目されやすいのがコストです。ただし、ここで「信託報酬が0.01%低いから必ずこちらが得」と単純に判断するのは早計です。
信託報酬と「実質コスト」は同じではない
信託報酬は、投資信託を保有している間に信託財産から継続的に差し引かれる運用管理費用です。一般に年率で表示されるため、ファンド同士の基本的なコストを比較する際には非常に分かりやすい指標です。
しかし、ファンドの運用には信託報酬以外の費用が発生する場合があります。例えば、有価証券を売買するときの売買委託手数料、海外の証券を保管するための保管費用、監査費用、その他の信託事務にかかわる費用などです。eMAXIS Slimオルカンの資料にも、信託報酬とは別に、監査費用、売買時の手数料、海外保管費用、その他の信託事務費用等をファンドが負担する旨が記載されています。[参照]
したがって、目論見書に記載された信託報酬は「事前に確認できる代表的なコスト」であり、運用期間中に実際に発生した費用のすべてを意味するわけではありません。
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンは実質コストならどちらが安い?
この比較で注意したいのは、実質コストは固定された数字ではないことです。信託報酬はあらかじめ定められていますが、売買委託手数料など一部の費用は実際の運用状況によって変動します。そのため、最新の運用報告書が公表されるたびに比較結果を確認する必要があります。
さらに、楽天オルカンは2023年10月設定の商品で、eMAXIS Slimオルカンより運用実績が短いため、過去の費用を比較する場合には対象期間が同じか、年率換算されているかにも注意が必要です。楽天投信投資顧問では楽天オルカンについて2024年、2025年の運用報告書を公開しており、公式サイトから確認できます。[参照]
結論として、両商品のコスト差は非常に小さいため、「信託報酬だけなら楽天」「実質コストなら必ずeMAXIS Slim」といった固定的な理解は適切ではありません。最新の運用報告書で同じ条件の費用を比較することが重要です。また、わずかなコスト差は今後の信託報酬改定や運用状況によって逆転する可能性があります。
実質コストを調べるなら運用報告書のどこを見る?
投資信託の実際の費用を確認するときに役立つのが、運用会社が公表する「運用報告書(全体版)」です。商品紹介ページや証券会社のランキングだけでなく、一次情報である運用会社の資料を確認することで、より正確に比較できます。
まず探したいのが「1万口当たりの費用明細」です。ここでは信託報酬だけでなく、売買委託手数料やその他費用など、その期に発生した費用の内訳を確認できます。
もう一つ便利なのが「総経費率」です。総経費率は一定のルールに基づき、運用・管理にかかった費用を年率で示した参考情報です。ただし、売買委託手数料や有価証券取引税など、総経費率に含まれない費用もあるため、総経費率だけを「完全な実質コスト」と考えないことが大切です。
チェックしたい項目
| 項目 | 確認できること |
|---|---|
| 信託報酬 | 継続的に発生する基本的な運用管理費用 |
| 1万口当たりの費用明細 | 信託報酬や売買委託手数料、その他費用などの実績 |
| 総経費率 | 一定の計算方法による運用・管理費用の年率換算値 |
| 売買委託手数料 | ファンドが株式等を売買する際に負担した費用 |
| その他費用 | 保管費用、監査関連費用など |
「隠れコスト」という言葉には注意が必要
ネット上では信託報酬以外の費用をまとめて「隠れコスト」と呼ぶことがありますが、本当に秘密にされている費用という意味ではありません。運用報告書などで開示されているものが多く、正確には信託報酬以外の運用上発生する費用と理解したほうが分かりやすいでしょう。
また、「信託報酬+その他費用を単純に足せば実質コストになる」とも限りません。報告書の数字には対象期間や年率換算の有無などの違いがあるため、異なるファンドを比較するときには計算条件をそろえる必要があります。
特に設定から間もないファンドでは最初の運用報告期間が1年間に満たないケースがあります。その数字を、丸1年間運用された別のファンドとそのまま比較すると誤解につながることがあります。
コストだけでなくベンチマークとの連動性も確認したい
インデックスファンドでは、費用が安いことに加えて、対象指数にどの程度きちんと連動できているかも重要です。同じMSCI ACWIへの連動を目標としていても、運用方法、現金比率、売買タイミング、配当や税金などによってファンドと指数の値動きにはわずかな差が生じます。
そこで月次レポートや運用報告書を見るときには、コストと一緒にファンドの騰落率とベンチマークの騰落率も確認するとよいでしょう。費用が非常に安くても指数から継続的に大きく乖離していれば、インデックスファンドとしての実際の運用成果を別途検討する必要があります。
反対に、信託報酬の差が年0.01%未満といった極めて小さな水準なら、100万円の保有額に対する単純計算では年間100円未満の差です。わずかな費用差だけで頻繁にファンドを乗り換えるより、長期的な運用方針、利用する証券会社、ポイント制度、積立のしやすさなどを含めて判断するほうが実用的な場合もあります。
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンを選ぶときの考え方
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンは、どちらも低コストで全世界株式への分散投資を目指せる商品です。そのため、数ベーシスポイント程度の費用差だけで優劣を断定するより、複数の要素を合わせて比較するのが合理的です。
例えば、最新の信託報酬、運用報告書に記載された費用実績、純資産総額、資金流入、ベンチマークとの乖離、利用している証券会社でのポイント制度などが比較材料になります。長期保有を前提とする場合には、現在の小さな差だけではなく、安定して運用を続けられるかという視点も重要です。
なお、信託報酬やポイント制度などの商品条件は変更されることがあります。購入を決める際には、ブログや比較サイトの数字だけではなく、楽天投信投資顧問と三菱UFJアセットマネジメントの最新の目論見書・運用報告書を確認してください。
まとめ|オルカンのコスト比較は「信託報酬+運用報告書」で考える
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンのコストを比べる場合、商品ページに掲載された信託報酬だけでは十分ではありません。実際の運用では売買委託手数料や保管費用なども発生する可能性があるため、運用報告書の「1万口当たりの費用明細」や「総経費率」を合わせて確認することがポイントです。
ただし、総経費率にも含まれない費用があるため、単一の数字だけで完全な実質コストを表すことは難しい面があります。信託報酬、費用明細、総経費率、ベンチマークとの連動状況をセットで見ると、より実態に近い比較ができます。
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンはいずれもコスト水準が低く、その差は小さいため、最新資料を確認したうえで、コストだけでなく運用実績や利用環境まで含めて選ぶことが大切です。投資信託には元本保証がなく、株価や為替などの変動により元本割れする可能性があります。最終的な投資判断は、最新の目論見書などを確認したうえで自身の資産状況やリスク許容度に応じて行いましょう。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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