毎年どれくらいの人が株式投資を始めている?新規投資家数を正確に知る方法とNISA・個人株主の最新動向

株式

株式投資を始める人が増えているという話を耳にすると、「日本では毎年何万人くらいが新しく株を始めているのか」と気になるところです。ところが、この質問には意外にも単純な統計数字がありません。

その理由は、証券口座を新しく作った人、初めて株を買った人、NISAを始めた人、上場企業の株主になった人が、それぞれ別の概念だからです。1人で複数の証券会社に口座を持つこともできるため、口座の増加数をそのまま新規投資家の人数とはみなせません。

したがって「毎年○万人が株取引を始めている」という全国一律の公式人数を示すのは難しく、NISA口座数、証券投資に関する調査、個人株主の動向など複数の統計から実態を見るのが適切です。

「株取引を始めた人数」の正確な統計がない理由

まず「株取引を始める」を何と定義するかによって人数が変わります。証券会社に口座を開設しても、実際には株を買わない人がいます。反対に、以前から証券口座を持っていた人が今年初めて株式を購入するケースもあります。

さらに同じ人がA証券、B証券、C証券と複数口座を開設することも可能です。そのため、年間の証券口座新設件数を合計しても「その年に初めて株式投資をした実人数」にはなりません。

株主数についても同様です。1人が10社の株式を持てば各社で株主として数えられるため、企業ごとの株主数を単純に合計して日本の投資家人口とすることはできません。

日本の個人投資家の実態は日本証券業協会の全国調査が参考になる

投資家人口を把握する資料として参考になるのが、日本証券業協会の「証券投資に関する全国調査」です。この調査は日本における個人の証券保有状況や証券投資への意識を把握するために実施されています。[参照:日本証券業協会 証券投資に関する全国調査]

2024年度調査では全国の18歳以上の男女7,000人を対象に調査が行われました。この調査では株式だけでなく、投資信託、公社債などを含む証券保有の実態を確認できます。[参照:日本証券業協会 2024年度証券投資に関する全国調査]

ただし、この調査も「今年初めて株を買った日本人を全員数えたもの」ではありません。標本調査なので、投資人口の傾向や年代別の違いなどを把握する資料として利用するのが適切です。

NISA口座数を見ると新しく投資を始める人の動きを把握しやすい

近年の新規投資家の動きを見るうえで特に参考になるのがNISAです。2024年から新しいNISA制度が始まり、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる仕組みとなっています。成長投資枠では一定の上場株式も購入できます。

日本証券業協会は証券会社におけるNISA口座の開設・利用状況を継続的に公表しています。2025年12月末の全証券会社を対象としたデータも公開されており、年代別の口座数や買付額などから個人の資産形成がどの程度広がっているのかを確認できます。[参照:日本証券業協会 NISA口座開設・利用状況調査]

ただし、NISA口座を新しく開設した人数=初めて株取引をした人数ではありません。以前から課税口座で株を取引していた人がNISAを開設することもありますし、NISAで投資信託だけを購入する人もいるためです。

個人株主数の変化は東京証券取引所の調査でも確認できる

もう一つ参考になるのが、日本取引所グループが公表する「株式分布状況調査」です。東京証券取引所などの上場会社について、個人、金融機関、事業法人、外国法人などがどの程度株式を保有しているかを継続的に調査しています。

2026年7月には2025年度の株式分布状況調査が公表され、8月には詳細な資料編も掲載されています。個人株主の動きを長期的に確認する場合に有用な一次資料です。[参照:日本取引所グループ 株式分布状況調査]

ここでも注意したいのは、統計上の「個人株主数」と実際の「人の数」が完全には一致しないことです。同じ人が複数企業の株主であれば重複して計上されるため、増加分をそのまま「今年株を始めた人数」とすることはできません。

年間の新規投資家を調べるなら複数の数字を見る

「今年は株を始める人が増えているのか」を知りたい場合、一つの統計だけを見るより、複数の指標を組み合わせると実態をつかみやすくなります。

指標 分かること 注意点
証券口座数 証券会社の利用拡大 1人で複数口座を保有できる
NISA口座数 NISAを利用する個人の広がり 株式以外に投資信託も含む
個人株主数 上場株式を保有する個人の動向 複数銘柄保有による重複がある
全国意識調査 個人の証券保有率や投資意識 全員調査ではなく標本調査

つまり「新規口座が100万増えたから100万人が初めて株を始めた」といった解釈は避ける必要があります。投資統計では、口座数・株主数・実人数を区別することが重要です。

「周囲で投資する人が増えた」という感覚にも理由がある

近年はNISAの普及やスマートフォン証券の登場などによって、以前より少額から投資を始めやすい環境になっています。1株単位など少額で国内株式を購入できるサービスもあり、従来の「株式投資にはまとまった資金が必要」というハードルは下がっています。

またNISAでは投資信託による積立から投資を始め、後から個別株へ興味を持つ人もいます。そのため「投資を始めた人」と「株取引を始めた人」の境界も以前より複雑になっています。

日本証券業協会では個人投資家を対象とする「個人投資家の証券投資に関する意識調査」も毎年実施しており、2026年分まで公表されています。投資家の考え方や保有状況の変化を追う際に参考になります。[参照:日本証券業協会 個人投資家の証券投資に関する意識調査]

投資を始める判断は「何人始めているか」と分けて考える

年間に多くの人が株式投資を始めているとしても、それ自体は株を買うべき理由にはなりません。投資を始める際には、他人の参加人数よりも自分の家計や投資目的を優先する必要があります。

例えば数年以内に使う住宅購入資金、教育費、生活防衛資金まで株式へ投入すると、必要な時期に相場が下落している可能性があります。株式は元本保証の商品ではないため、価格変動を受け入れられる余裕資金で考えることが基本です。

「みんなが始めているから」と焦る必要もありません。株式投資をするなら、投資先、リスク、手数料、税制などを理解し、自分がどの程度の損失まで許容できるのかを考えてから始めるほうが長く続けやすくなります。

まとめ:毎年の「株取引デビュー人数」を一つの数字で示すのは難しい

日本で毎年何人が初めて株取引を始めているかについて、全国の新規投資家を重複なく集計した単純な公式統計はなく、「毎年○万人」と正確に断定することは困難です。

証券口座の新設数には複数口座が含まれ、NISA口座には既存投資家や投資信託だけを買う人も含まれます。また個人株主数にも複数銘柄を持つ同一人物の重複があります。そのため、それぞれを「新しく株を始めた人数」と読み替えることはできません。

実態を知りたい場合は、日本証券業協会の証券投資に関する全国調査やNISA口座統計、日本取引所グループの株式分布状況調査などを組み合わせて見るのが適切です。「何人が始めたか」だけでなく、個人投資家やNISA利用者が長期的にどう変化しているかを見ることで、日本の株式投資人口の広がりをより正確に理解できます。

株式
最後までご覧頂きありがとうございました!もしよろしければシェアして頂けると幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました!もしよろしければシェアして頂けると幸いです。
riekiをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました