個別株の平均パフォーマンスはTOPIXと同じ?平均リターンと指数の違いをわかりやすく解説

株式

日本株への投資を考えるとき、「個別株を平均すればTOPIXと同じようなパフォーマンスになるのでは」と考えることがあります。しかし、これは何を平均するのかによって答えが変わります。

結論からいうと、TOPIX構成銘柄の値動きをTOPIXと同じ方法・同じ比率で組み合わせれば、基本的にはTOPIXに近い動きになります。しかし、個別株の騰落率を単純平均した数字がTOPIXと一致するわけではありません。

この違いを理解するには、TOPIXがどのような指数なのか、「個別株の平均」とは何を意味するのかを分けて考える必要があります。

TOPIXは個別株の単純平均ではない

TOPIX(東証株価指数)は、日本の株式市場を広範にカバーする代表的な株価指数です。JPX(日本取引所グループ)によると、TOPIXは浮動株時価総額加重型の指数として算出されています。[参照:日本取引所グループ TOPIX]

重要なのは「時価総額加重」という部分です。簡単にいえば、指数の中で各銘柄が同じ割合を占めているのではなく、対象となる時価総額が大きな企業ほど指数へ与える影響が大きくなります。

そのため、小型株が10%上昇した場合と大型株が10%上昇した場合では、TOPIXへの影響度は同じではありません。大型株の値動きのほうが指数を大きく動かしやすくなります。

「個別株の平均パフォーマンス」には複数の意味がある

個別株の平均という言葉には注意が必要です。例えば100社について、それぞれ100万円ずつ投資する「等金額投資」を考えれば、各銘柄のパフォーマンスがポートフォリオへ与える影響はほぼ均等になります。

一方、TOPIXのような時価総額加重では、大企業へ実質的に大きな比率を配分し、小さな企業には小さな比率を配分することになります。この2種類のポートフォリオは同じ銘柄を保有していてもリターンが異なります。

例えばA社が+20%、B社が0%だった場合、2社を50%ずつ持つなら単純化したリターンは約+10%です。しかしA社を90%、B社を10%持つなら約+18%になります。構成銘柄が同じでも「何%ずつ持つか」で結果は変わるわけです。

TOPIXと同じ銘柄を持っても均等配分なら違う結果になる

仮にTOPIXの対象銘柄をすべて買えたとしても、各銘柄へ同じ金額を投資した場合、それはTOPIXそのものではありません。大型株も小型株も同じ比率になるため、実質的には「等ウェイト」に近い別のポートフォリオになります。

小型・中型株が大型株より大きく上昇する局面なら、等ウェイト型のほうがTOPIXを上回ることがあります。反対に指数への寄与度が大きい大型株が強い相場では、TOPIXのほうが上昇することもあります。

したがって「日本株をたくさん買えば自然にTOPIXになる」とは限りません。TOPIXへ近づけるには、対象銘柄だけでなく各銘柄の組入比率も指数に近づける必要があります。

少数の個別株ならTOPIXとの差はさらに大きくなりやすい

実際の個人投資家が10銘柄程度を選んで投資するケースでは、TOPIXとの違いはさらに大きくなります。業種や企業固有の影響を強く受けるからです。

例えば銀行株を中心に10銘柄保有していれば、金利上昇によって銀行株が大きく上昇した年にはTOPIXを上回る可能性があります。しかし銀行業界に逆風が吹けば、TOPIXより大幅に悪い成績になることもあります。

TOPIXのように多数の企業へ分散した指数では、ある企業の業績悪化がポートフォリオ全体へ与える影響を小さくできます。金融庁も資産形成の基本として長期・積立・分散投資について情報提供しています。[参照:金融庁 資産形成の基本]

「平均的な株」と「平均的な投資家」も別物

もう一つ注意したいのが、「個別株の平均リターン」と「個別株投資をしている人の平均リターン」は同じではないことです。投資家は全員が同じ銘柄を同じタイミング・同じ金額で購入するわけではありません。

値上がりした後に買ったり、下落時に売却したり、特定の銘柄へ資金を集中させたりすれば、投資家自身のリターンは市場指数から大きく離れます。売買手数料や税金なども実際の運用成績へ影響します。

そのため「個別株投資をしている人は平均するとTOPIXと同じくらい儲かる」と単純化することもできません。市場そのもののリターンと、個々の投資家が実際に得るリターンは分けて考える必要があります。

配当込みかどうかでも比較結果が変わる

株式のパフォーマンスを比較するときには、株価だけでなく配当にも注意が必要です。株価が1年間まったく変わらなくても、その間に配当を受け取っていれば投資家の収益はゼロではありません。

TOPIXにも通常の価格指数だけでなく、配当を考慮したTOPIX配当込み指数があります。そのため個別株について配当込みリターンを計算するのであれば、比較対象にも配当込み指数を使うほうが条件をそろえやすくなります。JPXはTOPIXを含む指数情報や算出方法を公開しています。[参照:日本取引所グループ 株価指数]

長期になるほど配当再投資の影響は積み重なるため、「株価だけのTOPIX」と「配当込みの個別株」を比較するといった条件の違う比較は避ける必要があります。

なぜ個別株では一部の大幅上昇銘柄が重要になるのか

株式のリターンには銘柄間で非常に大きな差が生じます。ある銘柄は何倍にも上昇する一方、別の銘柄は大幅に下落することがあります。そのため「平均値」だけでは個別株投資の実態を十分に表せません。

例えば10銘柄のうち8銘柄が小幅下落していても、残る2銘柄が何倍にも上昇すれば、ポートフォリオ全体ではプラスになる可能性があります。逆に大幅上昇する銘柄を保有していなければ、市場全体の指数を下回ることもあります。

これは分散投資を考えるうえでも重要です。銘柄数を絞るほど大当たり銘柄を保有した場合の恩恵は大きくなる一方、外した場合の影響も大きくなります。TOPIX連動型の運用では多数の企業をまとめて保有することで、この「どの会社が将来大きく伸びるか」を個別に当てる必要性を小さくできます。

TOPIXを基準に個別株の成績を評価すると分かりやすい

個別株投資の成績を評価する場合、「利益が出たか」だけでなく、同じ期間のTOPIXと比較すると投資判断の結果を把握しやすくなります。

例えば1年間で個別株ポートフォリオが+8%だったとしても、同じ期間のTOPIXが+15%なら、市場全体へ投資する方法より成績が低かったことになります。逆にTOPIXが+5%で個別株が+12%なら、市場を上回ったことになります。

ただしリターンだけではなくリスクも比較する必要があります。個別株がTOPIXより少し高いリターンでも、そのために非常に大きな価格変動や集中リスクを負っていたのであれば、単純に「個別株のほうが優秀」とはいえません。

まとめ:個別株の単純平均とTOPIXは同じではない

個別株の平均パフォーマンスがそのままTOPIXになるわけではありません。TOPIXは対象銘柄を単純平均した指数ではなく、浮動株時価総額加重型の株価指数だからです。

TOPIXと同じ対象銘柄をTOPIXとほぼ同じウェイトで保有すれば、コストや追随誤差などを除いてパフォーマンスはTOPIXへ近づきます。一方、全銘柄を同じ金額で買う等ウェイト投資や、一部の個別株だけを選ぶポートフォリオではTOPIXとは異なる結果になります。

個別株とTOPIXを比較するときは、①単純平均か時価総額加重か、②銘柄数と組入比率、③配当込みか株価だけか、④比較期間、⑤リスクの大きさ、という条件をそろえることが重要です。「個別株の平均=TOPIX」と覚えるより、TOPIXは多数の日本株を一定のルールで加重平均した市場指数と理解すると整理しやすいでしょう。

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